「難解な本をスラスラ読む」「芸術的なセンス」「チェスをやっている2人の横を通り過ぎただけで勝敗を言い当てる」
…などなど、一見天才っぽく見える能力には、実は種があります。
基礎知識こそが最強!「読書」の達人の正体
皆さんは難しい専門書を手にとったことがありますか?専門用語や難しい理論が並んでいる本を見ると、「まったく訳わからん!こんなのをスラスラ読む人は自分と脳みそが違うんだろう」と思ってしまいます。
しかし、実際は難しい概念を理解するのに天賦の才能は必要ありません。
難しい概念の理解度合いは、すでに自分が持っている基礎知識の多さで決まります。
ある研究で、被験者にアメリカンフットボールや野球の試合などについて少し専門性の高い新聞記事を読ませ、その内容をどれだけ覚えているか質問するというものがあります。実験の結果、文章の理解度に被験者の言語能力は関係ありませんでした。記事の理解度を決める最大の要因はそのスポーツに関する予備知識の多さであったそうです。
理由として、そのスポーツのことをよく理解していない人にとっては、難しい記事を読んだ時に まとまりのない情報の寄せ集めにすぎないからです。逆にスポーツに通じている人は、関連性のある自らの知識と結びつけることができます。
難解な文章でも読めてしまう人は、その分野において基礎知識をしっかりと身につけているのです。
数秒で盤面を覚えられるチェスプレイヤーも基礎知識の賜物
基礎知識に関して有名なチェスプレイヤーの実験があります。
プロのチェスプレイヤーはゲーム中の盤面を数秒見ただけで完璧に暗記することができるという内容です。実はこの神業にも種があります。
チェスプレイヤーはチェスの様々な戦略やコマの位置関係を基礎知識として頭に入れています。
例えば、チェスの手の一つでフォーク(両取り)という型があります。フォークとは一つの駒が二つ以上のコマを狙える状態を指したものです。仮に自分のナイトが相手の三つの駒を同時に攻撃できる状態なら、「ナイトがフォークの状態にある」と言えます。
素人なら四つの駒が並んでいるようにしか見えないものの、チェスプレイヤーは四つのコマを「フォークの状態」というまとまりで捉えることができるので簡単に記憶に残すことができるのです。
もちろん簡単に真似できるものではありませんが、決して神業ではなく膨大な基礎知識の賜物なのです。その証拠に、ゲーム中の盤面ではなく適当にコマを並べた盤面では、チェスプレイヤーも素人と同じレベルでしか暗記することができなかったそうです。
センスや才能は「オタク」になってようやく発動できるもの
最初から才能が発揮できるなどと甘っちょろいことを考えてはいけません。先程の研究でも示されているとおり、センスや才能は生まれつきのものではなく、訓練によって基礎知識を身につけた者だけが発動できるのです。
例えば、Twitterなどでオリジナルポケモン(「#オリポケ」とかで検索してみてください。)を投稿している方がいます。彼らのオリポケは本家顔負けのクオリティで、ゲームに登場してもおかしくないぐらいのものもあります。
「すごいなぁ!きっと一般の人だろうに、デザインのセンスがあるんだなぁ」なんて思ってしまいます。しかし、彼らのセンスにもきっと種があります。
オリポケを書いている人に確認したわけではないので定かではありませんが、おそらく彼らは絵を描くのが好きで既存のポケモンのデザインを研究している人です。
様々なデザインがデータベースとして頭に入っているため、アイデアをひねり出すときに使える材料が多いのです。材料が多ければ組み合わせ方も多くなるので、新しい発想も出てきやすくなります。
つまり、一見天賦の才能に見えるクリエイティブさもベースとなるのは基礎知識です。
【今日のクエスト】自分が身につけたい能力にはどんな基礎知識が必要か考えよう
例えば、
「服飾のデザインセンスがほしい」→様々なファッションデザインを見る
【獲得経験値】
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