ビッグファイブ性格特性「勤勉性」とは?人事に活かすポイントを解説

今回は人事担当者やマネージャーに向けた内容です。

勤勉性の高さは達成欲や計画性と関わっています。勤勉性が高い人は勤勉性が低い人を「やる気がない」「指示通りやらない」と低い評価をしがちです。逆に勤勉性が低い人は高い人のことを「融通が効かない」と評価しがちです。

勤勉性の高さによる食い違いを防ぐためにも、自分とメンバーの勤勉性のレベルをきちんと把握しておきましょう。メンバーの勤勉性を把握することで、几帳面さが求められる作業とアドリブが求められる作業を適切に振り分けることができます。

 

ビッグファイブとは?

ビッグファイブとは人間の性格は5つの要素の組み合わせで構成されているという考え方のことです。心理学者であるルイス・ゴールドバーグが提唱しました。特性五因子とも呼ばれています。
 
ビッグファイブの5つの特性は以下の通りです。
  1. 外向性:社交的、活発的かどうか
  2. 協調性:他人への思いやりや共感力が高いかどうか
  3. 勤勉性:意志力や責任感が強いかどうか
  4. 神経症傾向:不安やストレスを感じやすいかどうか
  5. 経験への開放性:知的好奇心や想像力が高いかどうか

ビッグファイブの特徴は「型」で判断するわけではない点です。MBTIやエニアグラムなどのように「あなたは◯◯タイプ」という判断はしません。例えば、「この人は外向性が高いから外向型」という表現ではなく、「この人は外向性が高く協調性も高く勤勉性は中ぐらい、神経症傾向は中ぐらい、開放性は低い」というように判断します。

5つの特性を数値で評価して総合的に判断するので、より多様な性格を説明することできます。
 

勤勉性の6つの特徴を徹底解説

NEO-PI-Rで示される勤勉性の6つの特徴

実は勤勉性の中にも下位特性(勤勉性を構成するより細かい特性)があります。

NEO-PI-R(ビッグファイブを本格的に診断できる240項目の診断ツール)の日本語版では、勤勉性の下位特性は以下のように示されています。

 
  1. 自己効力感:物事を達成するために必要な知能ややる気が自分にあると思っているか
  2. 秩序:日課やスケジュールに従って生活することを好むか
  3. 良心性:道徳的責任を強く感じる傾向があるか
  4. 達成追求:何かに卓越するために懸命な努力をするか
  5. 自律性:難しいことや辛いことを最後までやり抜く力を持つか
  6. 慎重さ:決断する時に十分な時間をかけるか

 

勤勉性が高い人の特徴

一般的に、勤勉性が高い人は6つの下位特性がすべて高めです

  • 自己効力感が高い:熱意を持って物事に取り組む、課題を達成するために努力を惜しまない。(例:新しい趣味やスポーツに挑戦。)
  • 几帳面である:仕事や私生活に計画性がある。整理整頓されているのが気持ちいい。(例:毎朝同じ時間に起床する。手帳やアプリで予定を管理し、締め切りを忘れない。本棚の漫画本は一巻から順番に並んでいる方がしっくりくる。)
  • 忠実である:責任感が強く、与えられた仕事をきっちりとこなす。(例:約束や納期を守り、相手に迷惑をかけないよう注意する。)
  • 達成努力をする:キャリアアップを目指し、成果を重視する。(例:資格取得やスキルアップの勉強を自主的に続ける。)
  • 自律性が高い:面倒なタスクも自分を律してやり切る。途中で困難があっても最後まで諦めない。(例:毎日ランニングを欠かさず、目標に向かって努力を続ける。)
  • 慎重である:意思決定前に情報収集や検討を重ね、リスクを最小化する。(例:契約や書類を細かく確認してからサインする。買い物をする前に口コミや比較サイトを徹底的に調べる。)

 

勤勉性が低い人の特徴

一般的に、勤勉性が低い人は6つの下位特性がすべて低めです

  • 自己効力感が低い:「どうせ自分には無理」と最初から挑戦を避ける。難しそうな仕事は他人に任せがち。
  • 几帳面ではない:寝坊や遅刻が多く、予定を覚えていないことがある。「気分で動くから細かいスケジュールはいらない」と考える。(例:散らかった部屋でも気にせず生活できる。)
  • 忠実ではない:いい加減なところがあり、怠惰で先延ばししがち。締め切りを過ぎても「まあ、なんとかなるでしょ」と放置。他人に迷惑をかけてもあまり気にしない。
  • 達成努力をあまりしない:「今のままで十分」と考え、昇進や専門性の深掘りに関心が薄い。努力するより楽しい時間を優先する。
  • 自律性が低い:「飽きたからもうやめよう」と途中で投げ出すことが多い。誘惑に弱く、集中が続かない。(例:ダイエットや習い事を始めても三日坊主になりやすい。)
  • 慎重ではない:深く考えずに即決し、「まあ大丈夫でしょ」と進める。確認不足でミスが増える(衝動買いをするなど)。

 

勤勉性の特徴まとめ
下位特性 高い 低い
自己効力感 挑戦を恐れず成長しやすい。過信して無理をしやすい。 リスクを避け堅実に行動できる。機会を逃しやすい。
秩序 計画的で効率的に進められる。柔軟性に欠けやすい。 柔軟で創造的に対応できる。忘れ物や遅延が起こりやすい。
良心性 責任感が強く信頼されやすい。自分を縛り疲れやすい。 おおらかでストレスを抱えにくい。信頼を損ないやすい。
達成追求 成長意欲が高く成果を出す。結果にこだわり燃え尽きやすい。 プレッシャーに縛られにくい。キャリア成長が遅れやすい。
自律性 粘り強くやり抜き成果を出す。自分に厳しく疲れやすい。 柔軟に方向転換できる。継続力に欠け信頼を得にくい。
慎重さ 失敗が少なく堅実な判断ができる。決断が遅くチャンスを逃す。 即応力がありスピーディー。準備不足でミスをしやすい。

 

勤勉性による働き方やキャリアの特徴

勤勉性が高い人の働き方・キャリアの特徴
  • 自己効力感が高い:難易度の高いプロジェクトでも「自分ならやり遂げられる」と信じて挑戦。結果、リーダーや専門職に抜擢されやすい。
  • 秩序が高い:タスク管理やスケジューリングを徹底。納期遵守や計画力を評価され、プロジェクトマネジメントに強み。
  • 良心性が高い:組織のルールや倫理観を重視し、不正を見逃さない。ガバナンスや内部統制の業務で信頼を得る。
  • 達成追求が高い:昇進や資格取得に積極的。成果主義の職場でキャリアを伸ばしやすい。
  • 自律性が高い:困難な業務や長期プロジェクトでも粘り強く継続。研究開発や経営企画など持続力が求められる領域で成果を出す。
  • 慎重さが高い:リスクを見極め、拙速な意思決定を避ける。経営判断や法務関連で堅実さが強みになる。

 

勤勉性が低い人の働き方・キャリアの特徴
  • 自己効力感が低い:挑戦よりも安全策を選びがち。「自分には難しい」「面倒だ」と思うことで新しい業務を避け、定型的な業務にとどまりやすい。
  • 秩序が低い:ルーチンや時間管理に苦手意識。クリエイティブな仕事(広告、デザイン、スタートアップ)では柔軟さとして活きる。
  • 良心性が低い:倫理やルールよりも状況対応を優先。交渉や営業の現場で突破力になるが、組織の規律との摩擦が起きやすい。
  • 達成追求が低い:何かを達成する意欲が低く、昇進や専門性の深掘りは遅くなりやすい。
  • 自律性が低い:困難に直面すると軌道修正や撤退を早く決断。複数の業務を軽快に回すマルチタスク型で強みを発揮する。
  • 慎重さが低い:即断即決が得意でスピード感がある。営業や顧客対応などの現場で臨機応変に動ける。

 

 

【実践】自分とメンバーの勤勉性を把握してみよう!

ステップ1:勤勉性を診断してみよう

BFI2-J(ビッグファイブ診断>勤勉性)

 

 

ステップ2:人事担当としてメンバーと話すときのコミュニケーションギャップに注意しよう

事例①勤勉性が高い人事担当×勤勉性が低いメンバー
  • 高い人事担当:「期日までにきっちり仕上げることが大切。業務プロセスを守ってもらいたい」
  • 低いメンバー:「締め切りギリギリでいいし、もっと効率的にやれば余計な手順はいらないと思う」

人事担当は「責任感が足りない」と感じ、メンバーは「融通が利かない」と不満を持つ食い違いが起きています。人事担当者として以下のような解決策が考えられるでしょう。

  • タスクを「最低限必須」と「柔軟に対応可」に分ける。
  • 成果ベースで評価基準を共有し、プロセス遵守に加えて効率的な工夫を歓迎する姿勢を示す。

 

 

事例②勤勉性が低い人事担当×勤勉性が高いメンバー
  • 低い人事担当:「大枠を押さえておけばOK。多少遅れてもなんとかなる」
  • 高いメンバー:「決められた通りに進めないと不安。曖昧な指示では動きづらい」

人事担当は「柔軟に動けない部下」と感じ、メンバーは「上司がずさんで不安」とストレスを感じています。人事担当者として以下のような解決策が考えられるでしょう。

  • 高い勤勉性のメンバーには「具体的な指示」「明確な優先順位」を与える。
  • 自由度を持たせる場合は「成果の基準」を丁寧に示し、不安を軽減する。

 

 

事例③勤勉性が高いマネージャー×勤勉性が低いメンバー
  • 高いマネージャー:「報連相は定期的にしてほしい」
  • 低いメンバー:「問題がなければ報告はいらないでしょ」

人事担当者として以下のような解決策が考えられるでしょう。

  • 両者に「報告の基準」を明確に設定。
  • 必要な頻度と内容を決めておくことで、過剰な報告・不足の両方を防ぐ。

 

 

事例④勤勉性が低いマネージャー×勤勉性が高いメンバー
  • 低いマネージャー:「もっと柔軟に進めていい」
  • 高いメンバー:「柔軟と言われても基準が曖昧で困る」

人事担当者として以下のような解決策が考えられるでしょう。

  • マネージャーには「部下の勤勉性に応じた指示スタイル」を研修で伝える。
  • 高いメンバーには「完璧を求めすぎず、進捗を見せながら修正してもよい」と安心感を与える。

 

ステップ3:性格によって人事配置を工夫してみよう

勤勉性が高い人の人事配置の例
  • 人事(労務管理):規律や責任感を持って組織運営を支える。就業規則の運用や勤怠管理に向く。
  • プロジェクトマネージャー補佐:計画通りに進めるタスク管理能力を活かせる。納期を守る責任感が強い。
  • 営業企画・マーケ戦略:データ分析や市場調査など、地道な作業を積み重ねる力が発揮される。

 

勤勉性が低い人の人事配置の例
  • 営業・カスタマーサポート:柔軟な判断と即断即決を強みとして、顧客対応や提案営業に活きる。
  • 広報・クリエイティブ職(デザイン、ライティングなど):秩序に縛られず自由な発想を出せる。アイデア創出やブランディングに適性。
  • 新規事業・ベンチャー的部署:挑戦や変化を受け入れる柔軟さが求められる場面で強みを発揮。
  • 現場オペレーション(イベント対応・店舗管理など):臨機応変な対応力が活きる。状況に応じて判断する仕事で力を出せる。

 

まとめ

  • 勤勉性の高低によって、働き方や評価のされ方に大きな違いが生まれる。
  • 高い人は計画性・責任感・粘り強さを活かして、管理・企画・規律重視の仕事に強みを発揮する。
  • 低い人は柔軟さ・即断即決・臨機応変さを活かして、営業・顧客対応・クリエイティブ領域で力を出せる。
  • 人事担当者は、勤勉性によるコミュニケーションギャップに注意し、指示や評価を調整することでメンバーの力を最大化できる。
  • 人事配置や研修で「勤勉性に応じた強みの活用」を意識することが、組織の成果や個人の満足度につながる。

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