今回は覚えたつもりにならない復習方法について解説します。
形だけで覚えている可能性大!「流暢性の罠」
「覚えたはずなのに思い出せない」という方は「流暢性の罠」という心理にハマっているかもしれません。
流暢性の罠とはスムーズに思いだすことができるようになると「完全にマスターした」と錯覚してしまうことです。勉強したときには「完全に覚えた!」と思い込みますが、実は詳細が抜けていたり、ちょっと聞き方を変えられると分からなくなったりします。
例えば、「世界で一番広い砂漠で1年中雨がほとんど降らない地域は?」→「サハラ砂漠」といった内容を記憶したとしましょう。何度も復習を繰り返すと流暢に思い出せるようになってきます。
しかし、いざ気温と降水量のグラフを出されて、「これはどこの地域のグラフでしょう?」などと形を変えて聞かれると分からなくなったりします。
スラスラと思い出せるようになって油断したときこそ、本当に覚えているかどうかのチェックを行うべきなのです。
知識を本当の血肉に変える復習法
復習するときには形を変えて復習する
流暢性の罠に陥らないためには復習するときに少しだけ変化を加えることが重要です。
例えば単語帳を使って勉強しているなら、いつもは単語カードのオモテからウラを思い出しているなら、次からはウラからオモテを思い出すといった感じです。
順番をシャッフルして思い出す
問題集や単語帳をいつも同じ順番で解いている人は要注意です。
英単語帳や数学の演習などは、内容を覚えているのではなく順番を覚えているから思い出せている可能性があります。
例えば「さっきの二次関数の問題はあの解き方だったから、次のページは確かあの解き方だったな」のように思い出してしまうと、問われる順番が変わったときに対応することができなくなります。
- 数学なら問題をシャッフルして取り組む。乱数メイカーなどを使ってランダムなページの問題に取り組む。
- 英単語帳ならいつもとは逆の順番で復習してみる。例文を読んで和訳できるか試してみる
といった感じで、変化を加えながら復習してみてください。
関連知識も思い出す
復習のときに関連知識を思い出すと複数の知識をセットで覚えることができます。
例えば、「世界で一番広い砂漠で1年中雨がほとんど降らない地域は?」→「サハラ砂漠」という内容なら、「アフリカ大陸には他にも砂漠があったよな。確か『カラハリ砂漠』だ。カラハリ砂漠は8ヶ月ぐらい雨が降らないことがある南部の砂漠だったな。」とか。
関連知識を思い出すと似ている情報をセットで覚えることができるので、混同しなくなりますし、覚えやすくもなります。「アフリカの砂漠と言えば?」→「北はサハラ砂漠。雨がほとんど降らない。南はカラハリ砂漠。サハラほどではないけど雨が降らない」みたいな感じ。
イメージ化記憶を使う
どうしても覚えられない箇所は「イメージ化」というテクニックを使ってみましょう。イメージ化とは言葉をイメージに置き換えて記憶に結びつける記憶法です。
イメージ記憶:例1
例えば「『コペプテリクス』とはペンギンに似てて、翼を使って海のなかを泳ぐことができた古第三紀漸新世に生息した動物」という内容を覚えたい場合。
- 「コペプテリクス」という言葉をイメージ化→「コッペパン」のイメージが湧いた
- 「漸新世」という言葉をイメージ化→「斬られる」というイメージ
→「コッペパンが海に飛び込んでいき、めっためたに斬られる」というストーリーで覚える。
これで簡単に覚えることができます。
イメージ記憶:例2
エヌセイズ(非ステロイド性抗炎症薬)の種類であるアスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキシンを覚えてみましょう。
- アスピリン→何となく鋭いイメージ。
- イブプロフェン→「アダムとイブ」のイブ。女性
- インドメタシン→インド
- ナプロキシン→鍋
とイメージに置き換えて、「足に鋭いピンが刺さったから、イブに治療してもらった。急にイブがインドのダンスを躍りだし、鍋に頭をぶつけた。」というストーリーを作ってみます。
これであっという間に、エヌセイズの代表的なクスリを覚えることができました。
イメージ記憶はとても強力ですが、すべての情報をイメージで覚えようとすると時間がかかってしまいます。どうしても覚えられない場所だけに限定しましょう。
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