今回紹介する恐竜は「テリジノサウルス」です。
狂暴そうな爪とは裏腹に、意外とベジタリアン
テリジノサウルスは70センチにも及ぶ長い爪が特徴的な獣脚類の恐竜です。獣脚類はティラノサウルスやベロキラプトルなどの肉食恐竜が多いですが、テリジノサウルスは植物食恐竜です。
「え?植物食ならその爪なんのために使うん?ウルヴァリンみたいに敵を切り裂くんじゃないん?」とツッコみたくなる気持ちは分かります。
一説によると他の恐竜の肉を切り裂くためではなく、植物を引き寄せるために使っていたとか。肉を切り裂くための爪なら先端がフック状になっていないと使えないでしょう。テリジノサウルスの爪はそうなっておらずただ長いだけです。
メタボの秘密は長い腸!?
テリジノサウルスは長い爪の他にも特徴的な点があります。それがめっちゃメタボなんです。
長い爪にダラしなく膨れた腹…
なんだか不衛生ですね。現代に生きていたら若い女子たちに「生理的に無理!」と言われそうな気もしてきます。
しかし、実は太った腹には秘密があります。樽のような太った腹の中には長い腸を収めていたんじゃないか?と言われているのです。
最古のテリジノサウルス類と言われている「ファルカリウス」という恐竜がいます。
テリジノサウルスと同じ長い爪を持っており、フォルムもそっくりです。
といってもテリジノサウルスは全長10メートルに対して、ファルカリウスは全長4メートルですので、サイズ感は異なりますし、ファルカリウスの方がほっそりしていますが。
ファルカリウスはすでに植物食の恐竜でした。というのもファルカリウスには植物を食べるのに適した歯を持っていたからです。
肉食恐竜が持っているナイフのような歯ではなく、植物を噛み切るのに適した形の歯です。(スプーン状の歯という表現がされます。同じく植物を食べる竜脚類と形状が似ています)
しかし、テリジノサウルスには歯がありません。ですのでテリジノサウルスは植物を丸呑みするしかなかったのです。
植物を丸呑みすると消化は大変になります。だからこそ長い腸を持ち、ゆっくりと消化していたのではないか?長い腸を収めておくために腹が出ているのではないか?と言われているのです。
植物食で歯がない恐竜には、テリジノサウルスの他にオルニトミモサウルス類がいます。
オルニトミモサウルス類は歯がない代わりに胃石を使っています。そこら辺に落ちている石を飲み込んで胃の中で植物とぶつけて消化を助けているのです。詳しくは↓
テリジノサウルスは歯もなければ、胃石も使っていない(発見されていない)ため、長い腸を持っており消化に時間をかけていたと考えられるのです。
ですからテリジノサウルスの腹は内臓脂肪が詰まっているのではなく、腸が詰まっているだけなのです。
事実テリジノサウルスは植物食のベジタリアンですし、太った中年のオヤジのように酒を飲んだり、油ものを食べたりしません。ポッコリお腹も内臓脂肪ではないと分かれば、なんだか可愛らしく思えてきますね。
長い爪だって70センチともなれば、もはやカッコいいです。でも武器ではないという絶妙なライン。
やっぱりテリジノサウルスは現代に生きていたらマスコット的な存在になり女子人気が出たのかもしれません。
コメント