「焼いちゃダメ」はホント?魚の合理的な調理法

ヘルスポイント

 

この記事はこんな方にオススメ
  • 魚の油は熱に弱いって聞くけど 焼き魚しても大丈夫なの
  • DHA や EPA をしっかり摂りたいけど魚はどうやって食べるのがいいの

 

今回は、魚を食べたいなら揚げ物よりも グリル焼きがフライパン焼きが良いぜ~というお話です。

 

 

魚にはDHAやEPAという脳細胞の新成にも関わるオメガ3脂肪酸が含まれています。貴重な脂質なのでなるべく調理でロスしないようにしたいところです。

結論を言うと、脂質のロスを抑えるには揚げ物はNG、焼き魚ならOKと言えそうです。

 

根拠となる研究

実際、ある研究だと高温で揚げると脂質が大幅にロスしたものの、焼いた場合は8割以上保たれたという結果が出ています。

Mechanisms of Docosahexaenoic and Eicosapentaenoic Acid Loss from Pacific Saury and Comparison of Their Retention Rates after Various Cooking Methods - PubMed
The docosahexaenoic acid (DHA) and eicosapentaenoic acid (EPA) contents of Pacific saury (Cololabis saira), a fatty fish and staple of the Japanese diet, have b...
実験の介入

魚一匹を グリル焼き・フライパン焼き・揚げの三つの調理法でそれぞれ調理した。 調理法で用いられた温度は以下の通り。

  1. グリル焼き:グリルの内部が350°cから400°c
  2. フライパン焼き(油なし):フライパンの表面温度およそ250°
  3. 揚げ:揚げるのに使う揚げ油180度

なお、それぞれの調理法で魚の中心温度が75°c・85°c・95°c の状態までになるように調理時間を調整して加熱を行った。

 

脂質のロスの計測

調理後の魚について どれぐらい脂質が失われたかを以下の点で計測。

  1. DHA EPA の含有量
  2. 酸素ラジカルの吸収能の変化

また、どのように脂質が失われてしまったかについて以下の点を計測。

  1. 物理的損失:魚に含まれる脂質が 肉質から漏れてたか
  2. 熱分解:熱によって脂質が分解されたか
  3. 脂質酸化: 熱によって脂質が酸化してしまうか 
実験の結果

調理後の DHA EPA の含有量については以下の通りになった。

  1. グリル焼き(DHA: 84 ± 15%・EPA: 87 ± 14%)
  2. フライパン焼き(DHA: 85 ± 16%・EPA: 77 ± 17%)
  3. 揚げ (DHA: 58 ± 17%・EPA: 51 ± 18%)
  • 揚げ物の場合、グリル焼きやフライパン焼きと比べて 損失が多く、その多くは身から溶け出す物理的損失であった 。特に揚げ物の場合、魚に含まれている脂質が揚げ油に移行する傾向が見られた
  • なお、中心温度が75°→85°→95°になるまでそれぞれ調理時間を変えても調理時間による影響はなかった
  • 加熱によって抗酸化能の変化は調理方法によっては変わらなかった
実験の考察

実験の結果を簡単にまとめると、魚の脂質を合理的に摂るには揚げ物ではなく焼いた方がいいということになります。

この研究の意外なポイントとしては、 グリル焼き など魚をジュージュー焼いてしまう方法は油がたくさん出ているように見えますが、 実際の損失量は全体の2割程度で8割近くが保持されるみたいです。 ただ、この実験の場合切り身の肉ではなく丸ごとの肉が使われているので、切り身の場合だともう少し損失量が大きいのかもしれませんが、基本的にはそこまで恐れず焼き魚にしても良いかと思います。

また、抗酸化能については調理方法によって変わらなかったようです ので、焼き魚であっても揚げ物であっても 脂質が酸化することではなく、魚自体から油が流出してしまうこと自体の問題が大きいようです。

 

 

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