日本語版で精度実証!15分でできるビッグファイブ性格診断がすごい

ビッグファイブ診断

ビッグファイブで性格診断しようとしてもさまざまなツールがあるので、どのツールで診断すればいいか迷ってしまいますよね。

 

そこで、今回はビッグファイブを診断する日本語版の性格診断ツールを紹介したいと思います。

ビッグファイブを診断するツールは、英語で作られたツールをそのまま日本語に翻訳する際に表現がずれてしまうことがあります。そのため、日本語に翻訳した後でも精度が確かめられているツールを選ぶ必要があるのです。

 

今回は、実際に診断ツールも用意したので、自分のビッグファイブを診断してみましょう。理論的な背景は後回しにしてすぐに診断してみたい人は、目次から【実践】に飛んで読んでみてください。

 

60項目の日本語版ビッグファイブ尺度で5つの性格を分析しよう

「ビッグファイブ」とは5つの性格を診断する理論

「ビッグファイブ」とはルイス・ゴールドバーグが提唱した人間の性格は5つの要素の組み合わせで構成されているという考え方のことです。「特性五因子」とも呼ばれています。

 

ビッグファイブで挙げられている5つの因子は以下の通りです
  1. 外向性:社交的、活発的かどうか
  2. 協調性:他人への思いやりや共感力が高いかどうか
  3. 勤勉性:意志力や責任感が強いかどうか
  4. 神経症傾向:不安やストレスを感じやすいかどうか
  5. 開放性:知的好奇心や想像力が高いかどうか
 

 

日本語版ビッグファイブ尺度「BFI-2-J」で15の特性が診断可能!

ビッグファイブを診断する尺度はいくつかありますが、今回紹介するのは「BFI-2-J」という日本語版の尺度です。BFI-2-Jは、2022年に発表された日本の早稲田大学の文学学術院などによる研究で開発されました。「BFI-2」というビッグファイブの尺度を日本語に翻訳したものです。

 

BFI-2は、ビッグファイブの5つの性格特性と、15の下位特性を測定することができる60項目の質問尺度です。
「下位特性」とはビッグファイブの5つの性格特性がそれぞれ3つずつ含む特性です。具体的には、以下のような構造になっています(それぞれの特性の特徴は実践編の分析で使っていきます)。
 
BFI-2で診断できる15の下位特性
  • 外向性
    • 社交性:社交的に接し、面識のない人でも関わりを持とうとする。
    • 自己主張性:進んで自分の意見を示し、他人に影響を与えようとする。
    • 活力:積極的に行動し、感情が高ぶっている。
  • 協調性
    • 思いやり:他人のことを気にかけ、手助けをする。
    • 敬意:他人の権利や価値観を尊重し、自己中心的な振る舞いや他人への攻撃を控える。
    • 信用:基本的に他人のことを信じやすく、他人に対して寛容である。
  • 勤勉性
    • 秩序:決まり事や仕組みを好み、決まりを確立するために勤しむ。
    • 生産性:目標に向かって根気強く取り組み、効率的にタスクをこなす。
    • 責任感:任務や義務を果たそうとする。
  • 神経症傾向
    • 不安:ストレスをうまく扱えず、恐怖や不安、心配を抱えやすい。
    • 抑うつ:物事を前向きに捉えにくく、悲しみや落ち込みを感じやすい。
    • 情緒不安定性:いらだちや不機嫌など気分のムラが激しい。
  • 開放性
    • 知的好奇心:知的な興味があり、考えることが好き。
    • 美的感性:芸術的なことに興味を持ち、美しいものを鑑賞する。
    • 創造的想像力:新しく役に立つアイデアや解決法を生み出す。

 

BFI-2-Jの特徴
  • 日本語版に翻訳されて信頼性が確かめられている診断ツール
  • 60項目で診断。NEO-PI-R(240項目の本格的なビッグファイブ診断ツール)と比べて手軽に実施できる。
  • 所要時間は10~15分程。
  • 5つの性格特性だけでなく、下位特性も診断することができるので自分の性格をそこそこ詳しく知れる

 

参考書籍

 

BFI-2-Jは翻訳後でも本家と同じ精度で診断できる!

さて、日本語版尺度の開発の背景を知っておきましょう。2022年に早稲田大学などの研究者たちが発表した研究では、「BFI-2-J」が英語版のものと遜色ない信頼性を持っていたことが示されています。

Frontiers | A validation of the Japanese adaptation of the Big Five Inventory-2
The purpose of this study was to adapt a Japanese version of the Big Five Inventory-2 (BFI-2-J) to examine its factor st...

 

内容

研究では、平均44.94歳の500名の日本人成人(成人サンプル)と、平均20.01歳の487名の学生(学生サンプル)を対象に、開発した尺度などを試しています。BFI-2-Jの開発に際して、英語版の60項目を日本語に翻訳しました。

  • ただ、性格診断の尺度を作るときには、翻訳する際にニュアンスが表現しきれなかったり、文化に左右されてしまったりするのが問題になります。
  • そこで、英語版の意味を汲み取りつつ、日本語に翻訳する操作が求められます。
  • 翻訳を試した後には、もともとの英語版の項目と翻訳した項目が一致しているかなどを調べて、もともとの意味を反映できているかを慎重に判断しています。

 

結果

その結果、BFI-2-JはBFI-2とほぼ同じ精度でビッグファイブの5つの特性を診断することができると結論づけられています。

 

 

【実践①】BFI-2-Jで診断してみよう!

BFI-2-Jは60項目の尺度です。手作業で診断するのは大変なので、筆者が診断ツールとして作成してみました。

BFI-2-J(ビッグファイブ診断>外向性)
BFI2-J(ビッグファイブ診断>協調性)
BFI2-J(ビッグファイブ診断>勤勉性)
BFI2-J(ビッグファイブ診断>神経症傾向)
BFI2-J(ビッグファイブ診断>開放性)
 

筆者もBFI-2-Jを受けてみた!

筆者が受けてみた結果は以下の通りです。

 

 

 

 

外向性・協調性・勤勉性が低く、神経症傾向が高いという結果になってしまいました。心理学系のコンテンツを作成している身としては、お恥ずかしい結果となってしまいました(笑)。ですが、開放性が高かったのが救いです。

 

【実践②】診断結果を分析してみよう!

15の下位特性を見直しながら、分析してみましょう。

 

ステップ1:特に高い・低いが際立つ特性を分析してみよう

例として、筆者の診断結果で分析してみます。

  1. 外向性:18点/60点→低い
    • 社交性:8点/20点
    • 自己主張性:4点/20点
    • 活力:6点/20点
  2. 協調性:32点/60点→低い
    • 思いやり:16点/20点
    • 敬意:8点/20点
    • 信用:8点/20点
  3. 勤勉性:37点/60点→低い
    • 秩序:16点/20点
    • 生産性:15点/20点
    • 責任感:6点/20点
  4. 神経症傾向47点/60点→高い
    • 不安:15点/20点
    • 抑うつ:16点/20点
    • 感情の不安定さ:16点/20点
  5. 開放性46点/60点→高い
    • 美的感受性:10点/20点
    • 知的好奇心:18点/20点
    • 創造的想像力:18点/20点

特に自分が低かったところと高かったところを太字で表してみました。1つの性格特性の中でも、下位特性まで見てみると高いものがあったり低いものがあったりします。それぞれの性格特性を見直しながら、全体的な性格の解釈をしてみましょう。

 

  • 開放性が高い。しかし、開放性の中でも美的感受性は低いので抽象的な芸術分野よりも知的な分野の方に興味が強いと言えそう。

 

ステップ3:性格特性を組み合わせて解釈してみよう

特に「高低がはっきりしている特性」同士を組み合わせると、より深い分析ができます。実際に自分の体験と絡めながら解釈するとやりやすいでしょう。

  • 開放性✕勤勉性
    • 知的好奇心・創造的想像力が特に高いので、何かを調べることや何か工夫したりすることが好き。
    • 秩序や生産性は高いので、几帳面に情報を整理したり、効率的にタスクをこなすのは得意。しかし責任感が低いので途中で投げ出すこともある。
    • →新しい知識を吸収し、独創的な発想ができる。だが、責任感の低さからアイデア倒れで終わったことも多い。
  • 外向性✕協調性
    • 自己主張性が低いので、人前で意見を言う場面やリーダーシップが必要な場面では疲れやすい。
    • 思いやりが高いが敬意や信用が低い。身近な人には優しいが、信頼関係が薄い相手とは距離を取りやすい。
    • →確かに長期的に付き合いが続くと「優しい」と評価されるが、初対面では「冷たい、自分勝手」と言われたことがある

 

ステップ4:自分の武器と弱点を把握して改善に生かそう

自分の弱点をカバーしつつ、自分の武器となる性格を最大限に生かせるような人生戦略を考えてみましょう。無理に性格を変えようとせず、あるものを活かす考え方が大事です。

  • 全体として、「自分は内向的で繊細だが、創造的な探究心が強い」という性格パターンを把握できた。
    • →無理に外向的になろうとせず、得意な「深い思考」や「創造力」に軸を置く。
    • →一人で集中できる時間を確保すると力を発揮しやすい。
  • 開放性の高さを活かし、執筆・デザイン・研究・新しい企画づくりなど、創造的な活動に挑戦。
  • 神経症傾向が高いので、日記・瞑想・運動などで感情の安定を意識する。
  • 責任感が低めなので人から任された仕事をやりきるのは苦手かも。自分が好奇心を感じることに力を注ぐ。
  • 敬意と信用が低いので、特に初対面では「冷たい」「無礼」と思われやすい。多くの人に気に入られようとせず、少数の信頼できる人間関係を深める方が安心感につながりそう。

 

まとめ

  • ビッグファイブは「外向性・協調性・勤勉性・神経症傾向・開放性」の5つの特性で性格を分析する理論。
  • 日本語版の診断ツール「BFI-2-J」は2022年に開発され、信頼性と妥当性が確認されている。
  • BFI-2-Jは60項目で構成され、5つの特性に加えて15の下位特性も測定できる。
  • NEO-PI-Rのような大規模ツールに比べ、10〜15分で手軽に実施できるのが特徴。
  • 特性の高低や組み合わせから自分の性格を分析し、生活やキャリアに活かそう!

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