SNSで無意識にやっている自己呈示があなたを疲れさせている理由

精神力

SNSで「ちゃんとしている自分」を演出し続けて疲れている人に向けた内容です。

  • 投稿前に何度も写真を撮り直し、加工しないと載せられず、投稿自体がストレスになっている。
  • 「ちゃんとして見える食生活」を見せたくて、外食や間食を我慢し続け、後で一気に食べて自己嫌悪に陥る。
  • 美容・健康系インフルエンサーのルーティンを真似して、睡眠・運動・食事を厳密に管理しようとしてしまう。

自分にとって望ましい印象を与えようとして意図的に振る舞うことを「自己呈示」と言います。実は、自己呈示をしすぎると、極端な食事制限やその反動での過食につながってしまいます

 

SNSでの「自己呈示」は完璧主義や摂食障害につながる!?

SNS上では、自己呈示や上方社会的比較が増えることでメンタルヘルスに問題が出てしまいがちです。

  • 自己呈示」とは、自分にとって望ましい印象を与えようとして意図的に振る舞うことです。偽りの自分を見せるということだけでなく、自分の欠点を隠し長所だけを見せるなども含まれます。例えば、自分のスケジュール帳をびっしりと埋めて相手にさりげなく見せたり、好ましい印象を与えるために他人の意見に合わせたりなどです。
    • 特にSNS上では自己呈示が現れやすいです。例えば、知的なコンテンツを紹介して自分を賢く見せたり、加工の入った写真を投稿して自分を美しく見せたりなどです。
  • 上方社会的比較」とは、自分よりも優れている相手と自分を比較することです。特にSNS上での社会的比較は、ほかのユーザーは「自分よりも充実した生活を送っている」という比較につながりやすいです。例えば、インフルエンサーや著名人のように高い地位の人物と自分を比較するなどです。

 

2024年にノルウェー公衆衛生研究所(NIPH)などの研究者たちが発表した論文によると、自己呈示の行動は完璧主義の考え方を強めてしまい、摂食障害にもつながることが示唆されています。

内容

ノルウェーの高校生3424人(平均年齢17.3歳)を対象。以下の項目を測定した。

  1. 自己呈示や上方社会的比較の度合い:ソーシャルメディアに投稿する前に、よりよく見えるように自分の写真を加工するか、自分が投稿した内容に対する反応が気分に影響するかなど。
  2. 完璧主義と摂食障害的行動の度合い:感情に任せて食事をするか、食行動をコントロールするために厳格なダイエットをするかなど。

 

結果
  • SNS上での自己呈示や社会的比較に注目する行動が多いのは、女性が多く、ソーシャルメディアをより頻繁に長時間使っている傾向があった。
  • SNS上での自己呈示や社会的比較に注目する行動が多いほど、完璧主義と摂食障害的行動の傾向が強かった
    • 考察:SNS上では、特に有名人の投稿などによって「理想的な体型」を意識し、高い理想を設定してしまって摂食障害に陥るという流れが考えられます。また、SNSで自分をアピールする機会が増えると完璧主義的な考えが形成されやすくなると考えられます。
  • 摂食障害的行動は男性よりも女性で関連が強かった
    • 考察:男性よりも女性の方がメディアに影響されて理想の体型を追い求めやすいと言えます。理由は、女性の方が体やスタイルの良さを注目される機会が多いからでしょう。

 

考察
SNSと摂食障害的な行動の関連性は「トリパーティト影響モデル」で説明されます。
トリパーティト影響モデル(TripartiteInfluenceModel)とは、ボディイメージの不満や摂食障害の発症に関連する要因を説明する心理学モデルです。ボディイメージの形成に影響を与えるのは以下の3つがあると考えられます。
  • 家族:親やその家族からの外見に関するコメントやプレッシャー。
  • 仲間:友人からの外見に関するプレッシャーや、仲間内での比較。
  • メディア:テレビや雑誌、SNSを含む理想的な外見の提示。
これらの3つの情報源からの圧力によって、人と外見を比較し自分の身体に対する不満が強くなり摂食障害の症状へとつながるというモデルです。特にメディアでは有名人やインフルエンサーが頻繁に投稿する美しい画像を見ることによって、外見を比べて落ち込むことが多くなるでしょう。

 

【実践】SNSが演出する理想に惑わされないようにしよう!

最も重要なのはSNSの利用時間を減らし、仮初の理想が目に入る機会自体を少なくすることです。

もう1つは、SNSに対する批判的な思考力を身につけることです。別の研究でもSNSの写真が加工されていると知るだけでメンタルヘルスが回復することが知られています。

SNSでメンタルを病む人へ!「メディアの投稿は加工済み」と知っておくとメンタルヘルスにいい?
メディアの華やかな投稿でメンタルを病む芸能人やSNSのインフルエンサーを見ると、自分の外見へのコンプレックスが強くなります。例えば「こんな大きな目だったらよかったのに…」「どうしてこんなに肌がきれいなのだろう?自分と何が違うのだろう?」など...

 

まとめ

  • SNSでの自己呈示や上方社会的比較に強く意識を向けるほど、完璧主義や摂食障害的行動のリスクが高まる。
  • 特に女性では、自己呈示と摂食障害的行動との関連が強く見られた。
  • SNS上の「理想」は現実を歪めやすく、無意識の比較や自己管理の過剰につながりやすい。

SNSで「ちゃんとしている自分」を演出し続けることは、知らないうちに心や食行動を追い込んでしまう可能性があります。SNSとの距離感や見方を少し変えるだけでも、自己否定や無理な自己管理から抜け出すきっかけになるでしょう。

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