メディアの華やかな投稿でメンタルを病む
芸能人やSNSのインフルエンサーを見ると、自分の外見へのコンプレックスが強くなります。例えば「こんな大きな目だったらよかったのに…」「どうしてこんなに肌がきれいなのだろう?自分と何が違うのだろう?」など考えてしまうでしょう。憧れとして見る分にはいいですが、自分の外見と比較してしまうとメンタルを病む原因になります。
SNSなどのメディアを見てメンタルを病んでしまう人は、「メディアに出回っている有名人の美はフィクションなのだ」と理解しておきましょう。
2015年に発表されたイタリアのトリノ大学の研究によると、「メディアの画像は加工されている」と意識することによって、否定的な気分や自尊心の低下などのメンタルヘルスへの影響を減少させることができると示されています。
https://www.researchgate.net/publication/283573106_’I_know_you_are_not_real’_Salience_of_photo_retouching_reduces_the_negative_effects_of_media_exposure_via_internalization。
- 被験者:平均年齢21歳の111人の女子大学生(スクリーニング後)
- 内容:メディアの画像は加工されていることを意識することによって、メディアを見ることによるメンタルヘルスへの悪影響を減少させられるかどうかを調べた。
方法
被験者に「この研究はマーケティング技術の効果を調べるものだ」と説明した上で、雑誌の広告のフルカラーの画像を見てもらう。その際、被験者をランダムに3つのグループに分けて比較。
- 加工された状態の画像見てもらう
- 加工された状態の画像を、画像が修正されていることについて言及した文章つきで見てもらう
- 加工されていない状態の画像を見てもらう
その後、被験者には以下の項目を評価する質問票に回答してもらった。
- ポジティブな気分とネガティブな気分: 気分を表す20項目の質問にどれだけ当てはまるかを回答してもらう
- 自尊心:自尊心を計測する20項目の質問に回答してもらう。なお、自尊心は魅力・社会性・能力の3つのカテゴリーで分類した
- 外見のコンプレックス:「世の中で理想とされている外見に近づくために努力しなければならない」という圧力をどれだけ感じているかを計測する9つの質問票に回答してもらう
結果
- ほかのグループと比べて、画像の修正について言及されたグループでは外見のコンプレックスを感じる傾向が低かった
- 外見のコンプレックスを感じている人ほど、ネガティブな気分が増加していた(相関係数r= 0.29)
- 外見のコンプレックスを感じている人ほど、自尊心のうち魅力・社会性・能力に関する自尊心がすべて下がっていた(相関係数r=それぞれ-0.38、-0.48、-0.37)
要約・考察
メディアにさらされることによって、世の中で理想とされている外見に近づかなければならないというプレッシャーを感じている人は、自分の外見にコンプレックスを持ちやすいでしょう。なぜなら、メディアに掲載されている美しい芸能人やインフルエンサーの画像を見ることによって、「美しさはこうであるべき」という理想の圧力を感じることになるからです。
そして、実際に研究ではメディアの画像を見ることでメンタルの変化が見られました。
- 外見のコンプレックスを持つ人はネガティブな気分や自尊心の低下が見られた。
- また、自尊心の低下は魅力に関してだけでなく、社会性や能力に関しての自尊心にも見られた
- しかし、「メディアの画像は修正されている」と認識しておくことで、外見のコンプレックスを軽減できる
つまり、「メディアに掲載されている画像は人工的に編集されており、詐欺的な要素が含まれているものだ」と知っておくことが重要なのです。
有名人などの優れた人と自分を比較してしまうことを「上方比較」といいます。上方比較とは、自分よりも上の人と自分を比較することです。上方比較は自分を追い込んで上を目指すモチベーションになります。しかし、SNSの場合は目指すものがそもそもフィクションなわけです。例えば、くすみやシミが一つとしてないモデルの綺麗な肌や、痩せていて綺麗なお腹はフィクションです。存在しない幻覚の美に振り回されてしまうと、「自分だってもっと綺麗になれるはず!」と苦しむことになります。
【実践】メディアのキラキラした投稿の真実を知ろう
ステップ1:SNSインフルエンサーのリアルを知ろう
SNSのリアルを知る上では「エセナ・オニール」さんという女性のエピソードがとても参考になります。
エセナ・オニールはインスタグラムのスターでした。ビーチや豪華リゾートでのキラキラした写真を投稿し、50万人以上のフォロワーを獲得しました。しかし、18歳になる頃にはインフルエンサーとしての役割に幻滅していました。数百ものインスタグラムの投稿を一日で削除し、残りの投稿はキャプション(説明文)を変えました。新しいキャプションには、無防備でさりげない雰囲気を醸し出すためのテクニックを暴露しました。
例えば、鮮やかなピンクのビキニを着てビーチでくつろいでいる写真には、「リアルな生活じゃないお腹を綺麗に見せようと似たようなポーズの写真を百枚以上撮った」と暴露。他にも、痩せてキラキラな自分を演出するために使ったあらゆる撮影テクニックや画像編集機能を暴露したのです。
このようなインフルエンサーの暴露エピソードを知っておけば、SNSはフィクションなのだと理解しながら閲覧することができるでしょう。
ステップ2:メディアリテラシーとしてメディアの美を疑おう
メディアの作り物の美を疑うのは1種の「メディアリテラシー」と言えます。メディアリテラシーとはメディアにアクセスし活用する能力のことです。また活用するだけでなく、批判的に評価する能力のことでもあります。
「インターネットの情報は鵜呑みにしてはいけない」と多くの人が知っていますが、インフルエンサーの華やかな投稿にも同じように批判的に見る習慣をつけるといいでしょう。
【獲得経験値】


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