もともと親切でない人ほど親切のメリットが大きかった!

精神力

「情けは人の為ならず」という言葉があるように、人に親切をすることは長い目でみると自分を助けることにつながります。実は、メンタルヘルスの観点からも親切は効果的なようです。

 

親切でない人ほどメンタルが改善する!親切の科学的メリット

親切な行いには、軽度のうつ病の症状を和らげる効果があるようです。他人に親切な行いをするかどうかは「調和性」という性格特性が深く関わります。

 

調和性とは心理学で用いられる性格の指標で、他人への思いやりや共感力が高いかどうかです。調整を細かく分けると、以下の六つの特性で構成されます。

  1. 信じやすさ:大抵の人は正直で悪気がないものだと信じているか
  2. 実直さ:他の人と関わるときに、ごまかしたり隠したりせず誠実か
  3. 利他性:他人のために何かすることを好むか
  4. 協力性:誰かと対立することを嫌い、上手くやっていくために譲歩したり我慢したりするか
  5. 慎み深さ:自分が他人よりも優っていると主張したがらないか
  6. 優しさ:心優しく憐み深く、ほかの人の痛みに対して同情するか

全体的に見て他人に優しく集団に対して協調的という印象を受けるでしょう。逆にこれらの項目にあまり当てはまらなかったという人は、調和性が低いと言えます。

 

 

調和性が低い人は、他人のために何かをすることはめったになく自分のメリットに基づいて行動する性格の持ち主です。調和性が低いことにもメリットはありますが、少なくともメンタルヘルス的には調和性が高い方が健康的です。実際に、調和性が低い人の方が人生満足度が低く、うつ病のリスクも高い傾向があります。

 

 

しかし、元々の性格的に調和性が低い人だからこそ、親切な行為を増やすメリットはあります。

実際に、2018年に発表されたヨーク大学の研究では、他人に親切な行為をすることによってうつ病の症状が改善することが示されています。

根拠となる研究
https://www.researchgate.net/publication/327567526_Acts_of_kindness_reduce_depression_in_individuals_low_on_agreeableness
  1. 被験者:18~73歳の648人(スクリーニング前)
  2. 内容:調和性の高さがうつ病の減少や生活満足度の増加に関わるかどうかを調べた。

 

低度から中程度のうつ病の症状がある被験者に、他人に思いやりを向ける介入を行ってもらう。その際、被験者をランダムに3つのグループに分けて比較。

  1. 慈悲の瞑想を行うグループ
  2. 親切な行為を行うグループ
  3. 対人関係の日記を書くグループ(対照群)

全てのグループは、それぞれの決められた介入を一日おきにオンラインで実践し、3週間続けた。

なお、実験の前に、ビッグファイブを計測する質問票に回答してもらい、調和性の高さが評価された。また、実験の前・実験後(3週間後)・一ヶ月後・二ヶ月後の計4回のタイミングで、うつ病の程度生活満足度の測定を行った。

 

結果
  • 対照群のグループと比較して、慈悲の瞑想を行ったグループと親切な行為を行ったグループは、3週間後のうつ病の傾向が減少していた
  • 調和性が元々低い被験者ほど、親切な行為による2ヶ月後の抑うつ状態の減少の度合いがもっと大きかった
  • 対照群のグループと比較して、親切な行為に取り組んだグループは2ヶ月後でも生活満足度の持続的な改善がみられた
要約・考察
  1. 親切な行為や慈悲の瞑想などの他人に思いやりを向けるワークに取り組むことで、うつ病を改善できる
  2. もともと調和性が低い人の方が親切な行為をすることのメリットが大きい
  3. 親切な行為でも慈悲の瞑想でも、3週間後では同じ程度の効果が見られるが、親切な行為の方がより長期的な効果が期待できる

もともと調和性が低く、人に親切をしない人の方が親切によるメリットが大きいのは注目ポイントでしょう。理由としては、普段人に親切をしない分、親切な行為をしたときの気分が新鮮で満足感が長続きするからだと思われます。

 

なお、研究に組み込まれた「慈悲の瞑想」とは、自分や他人を思いやる温かい気持ちを高める瞑想の方法です。例えば、「私が幸せでありますように」「私の悩み苦しみがなくなりますように」と自分を思いやるフレーズを唱えたり、「自分の大切な人たちが幸せでありますように」「自分の大切な人たちの悩み苦しみがなくなりますように」と家族や友達を思いやりフレーズを唱えたりします。

慈悲の瞑想に取り組むのは少しハードルが高いなと思う人は、親切な行為を増やすことに集中しましょう。研究でも親切な行為の方が自身の瞑想よりもより長期的なメンタルの改善効果が見られることがわかっているからです。

 

【実践】ちょっとした親切の行動を増やしてみよう

「お人好し」ではなく「親切」をしよう

ポイントはお人好しと親切という言葉を分けて考えることです。

  • お人好し:周りから押し付けられたり、同調圧力をかけられたりしてしぶしぶ人を助ける
  • 親切:「助けてあげたい」という自分の意志を持って人を助ける

 

親切は自分の意思で行動に移すことです。例えば、駅で荷物をひっくり返してしまった人がいたので荷物を拾うのを手伝ってあげたなどです。

お人好しは、例えば自分がやる必要がない残業を任され、正直帰りたいと思っていたが断らずにやってあげたといったことです。自分がやってあげたいと思ったなら別ですが、他人から半ば強制されて行うお人好しはあまり自分の幸福度に繋がりません。

 

ささいな親切でもいい

親切といっても誰かに自分の時間やお金を大幅に咲いたり、ボランティア活動に取り組んだりする必要はありません。ささやかな行為であっても親切としてカウントするようにしましょう。例えば、「今日は相手が話しているときに口を挟まず、集中して聞いてあげられた」といったことでもいいです。

 

【獲得経験値】

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