今回は好きなことをやる時間がとれない人に向けた内容です。
- 音楽・写真・読書・旅行など、やってみたいことが多すぎる。一つに集中すればもっと上達するのに、と思いつつどれもやめられない。
- SNSで趣味を楽しむ人を見ると、「自分には余裕がない」と落ち込む。
- 昔は夢中になれることがあったけど今は忙しくて時間が取れない。
実は、好きなことを1つに絞って特化する必要はありません。複数の情熱を自在に操って、人生を楽しむ方法を解説します。
情熱はかける時間ではなく、複数持つこと自体が重要!
2014年にマニトバ大学などの研究者たちが発表した論文によると、情熱を注げるものが2つあった人は最も幸福度が高かったことが示されています。そして、実際に情熱にかける時間よりも情熱を注げるものがあること自体が重要だとされています。
また、研究では調和的情熱と強迫的情熱という2つの情熱が用いられています。
- 調和的情熱:その活動を自分がやりたいと思って楽しんで行っている。他の生活領域(仕事・人間関係・健康など)との調和が取れている。活動をやめても罪悪感や焦りを感じず、バランスの取れた形で続けられる。
- 強迫的情熱:義務感・承認欲求・不安などによって行っている。他の生活領域との衝突が起こりやすく、バランスを崩しやすい。活動をコントロールできず、やらないと落ち着かない・罪悪感がある。
内容
調和的情熱と強迫的情熱について、二つの情熱を持つ人がどのように幸福感を感じるかを調べた。1218人の大学生(平均年齢19.4歳)を対象。
- もっとも好きな活動と2番目に好きな活動について尋ねた。
- 情熱を持っている人たちの日頃の幸福感について調べた。
- また、それらの活動が調和的な情熱なのか強迫的な情熱なのかを評価してもらった。
結果
- 1つの活動について情熱を強く持っている被験者は、情熱を持っていない被験者よりも全体的な幸福感が高かった。
- なお、幸福感のなかでも、ポジティブな感情の強さ、ネガティブ感情の発生しづらさ、生活満足度、主観的活力、心理的幸福感などすべての項目において高い傾向があった。
- また、2つの活動で情熱を強く持っている被験者は、1つの情熱しか持たない被験者よりもさらに幸福感が高かった。
- なお、幸福感は情熱的な活動に費やす時間とは無関係だった。
- しかし、活動に対して強迫的情熱が強い人はネガティブ感情の強さを引き起こしていた。
考察
つまり、趣味や楽しみを1つに絞る必要はなく、むしろ2つの情熱を持っていた方が全体的な幸福度が高まるのです。また、忙しい日々の中では趣味にかける時間が取りづらい場合でも、心配はいりません。情熱をかける時間に関係なく、情熱を持つこと自体が重要だからです。
【実践】情熱を持てるものを見つけ、スキマ時間を使って取り組んでみよう!
ステップ1:自分の興味のあるものをピックアップしてみよう
「いくつもやりたいことがある」のは悪いことではありません。自分の世界を広げているサインと受け取れるようにしましょう。時間がない中でもやれそうな活動を2つ選んでみましょう。
例
- カメラを持って街を歩く
- ピアノやギターなど、昔少しやっていた楽器を再開する
- 読みかけの本をゆっくり読む時間をとる
- 家で簡単なパンやスイーツを焼く
- 絵を描く・スケッチブックにアイデアをメモする
- ベランダや室内で植物を育てる
- 外国語の勉強をアプリで少しずつ進める
- 週末に短い動画を撮って編集してみる
- サークルや地域のボランティア活動に顔を出す
- 散歩や軽いジョギングを日課にする
- カフェで一人時間を楽しむ
- 小説や詩など、創作を書いてみる
ステップ2:少しの時間でも取り組める小さなアクションに分割してみよう
実際に手を動かしているときだけが趣味の活動ではありません。活動に関連する小さなアクションを考えてみましょう。
ピアノやギターなど楽器の練習
- 移動中にお気に入りの曲を聴き、コード進行やリズムを耳で追ってみる
- スマホアプリで楽譜を眺める、指の動きをイメージトレーニングする
- 家に帰る前に「今日は1フレーズだけ弾こう」と決めておく
読書
- 寝る前の10分を「本を開く時間」と決める
- 読みたい本をAmazonで探してお気に入りリストに入れておく
- 紙の本にこだわらず、Kindleなどの電子書籍で読む(KindleUnlimitedの月額読み放題サービスを利用するのがおすすめ)
- ブクログでこれまでに読んだ本をながめる
- 電車の中で1章だけ読む
- 徒歩や電車、バスでの移動中にAudibleで本の朗読を聞く



家でパンやスイーツを作る
- 休憩中にクラシルでレシピ動画を見る
- 気になるレシピを保存しておく
- スーパーに行くときに「次に使いたい材料」を一つだけ買っておく
- 作りたいお菓子の写真を眺めて、香りや味を想像してみる

外国語の勉強
- 歩きながら1フレーズだけ口に出す
- 通勤時間に英語のポッドキャストを聞く
- 覚えたい単語をAnkiアプリで学習する
- 自分が内容を知っている海外のドラマを英語字幕で見て、気に入った1フレーズだけ覚える、文法などをChatGPTで調べる

散歩や軽いジョギング
- 移動の一部を「徒歩」に置き換えてみる
- 新しい道を1本だけ変えて歩く
- スマホで「今日の空の写真」を1枚だけ撮る
イラストを描く
- pixivやPinterestで自分が気に入ったイラストをお気に入りする
- 隙間時間に、自分が書こうとしているモチーフの参考画像をスマホで調べて、ダウンロードする
- 移動時間にメモ帳にラフを描いて、写真を撮っておく
- タブレットでクリップスタジオをインストールして、手軽にデジタルイラストを始めてみる



【実践②】趣味をより具体的なプロジェクトにしてみよう
情熱を保てない人は趣味をより具体的なプロジェクトにしてみましょう。しかし、「一つの作品を完成させる」といった大きなプロジェクトのままでは、「まとまった時間がないから無理…」と感じてしまいます。大きなプロジェクトを小さなアクションに分けて一日少しでも取り組んでみるといいでしょう。
例:外国語の勉強
- 具体化:「チャットアプリで外国の趣味の友だちをつくる」
- 小さなアクション:
- 自分の趣味を説明する短い自己紹介文を作成する
- チャットでのテンプレ表現(例:「趣味は何?」「それはどうやって始めたの?」など)を覚えて、単語カードに書く
- 会話で必要な最低限の英単語をアプリで学習する
- チャットアプリで投稿されているメッセージを翻訳して内容を理解する
例:読書
- 具体化:(中世〜近世ヨーロッパの歴史・文化に詳しくなる)
- 小さなアクション:
- 週1冊の章を読む(章の長さに応じて調整)
- 読んだ内容を要約して、ノートや単語カードに書く
- ノートや単語カードで今日学んだ用語や人名を1つ復習
- 歴史トピックの短い動画を1本見る
- 読んだ本の面白かった部分をXの投稿1本分で要約してみる
- 音声版(オーディオブック)を通勤で聴く
- 「完璧に理解しなければ」と思わず、断片知識の積み重ねでゆるく学んでいく
例:プログラミング
筆者も数カ月単位でプロジェクトを設定し、1日30分からでも取り組めるようにしています。最近情熱を注いでいることはプログラミングでアプリを作ることです。
- 具体化:簡単なアプリを作る(3ヶ月ぐらいでゆったり作る)
- 小さなアクション:
- 自分がアプリに実装したい機能をChatGPTで調べる
- 調べた機能のうち、わからない箇所について、さらにChatGPTに質問して調べる
- 新しく知った関数やアルゴリズムをAnkiカードにまとめる(穴埋め問題にする)
- スキマ時間にAnkiカードを復習する
- 実際にアプリ開発環境のソフトウェアを開き、調べたコードを書いてみる。
アプリを早く完成させようとするのではなく、自分が分からない点に関してはじっくりと調べて、技術を伸ばす感覚を重要視しています。開発環境を開くのが面倒なときには、実装する機能を調べるだけの日にするなどしています。
例:楽器
- 具体化:「好きな楽曲を1曲通して弾けるようにする」
- 小さなアクション:
- 曲を「小節ごと」に分解し、最初の1〜2フレーズを確実に弾けるようにする指のストレッチ/コードチェンジだけを速くやる練習スマホで曲のテンポを確認し、頭の中でリズムを取る(イメトレ)
【実践③】複数の趣味を組み合わせて新しい価値を生み出そう
1つの専攻科目ではなく、複数の副専攻科目を持つ人だけが持つ特権があります。趣味を化学反応させることです。
ステップ1:趣味をかけ合わせたらどんな価値を生み出せるか考えてみよう
例えば、アポロ12号の宇宙飛行士だったアル・ビーンを見習ってみましょう。彼は、月面を歩いた宇宙飛行士であるとともに、芸術家でもありました。驚くことに、実際の月の塵を使った月面の絵を描いていました。もっと言えば、超高度な専門技術や訓練が求められる宇宙飛行士でさえ趣味の時間を確保しているのです。工夫すれば趣味を楽しむ時間を作り出すことは必ずできます。
趣味それぞれを完全に極める必要はなく、かけ合わせることでオリジナリティを生んでみましょう。全く違う趣味ほど組み合わせたときの化学反応が面白いです。
例
- 料理✕写真=料理フォトブログ
- 園芸✕数学=幾何学模様を取り入れた造園を行う
- 作曲✕運動=ジムでのワークアウトのモチベーションを高めるような曲を作る
- 外国語勉強✕アニメ=外国語を学んでアニメ好きの友だちを作る
- 心理学✕Web=心理学のWebサイト。心理学に基づく診断や結果を共有できるツール
ちなみにですが、筆者も趣味が多く、一つのことを集中して上達させることが苦手です。特に世の中では「一つでもいいから自分の専門性を磨くべき」という風潮があるため、やりたいことを一つに絞るべきではないかと悩んでいました。しかし、実際には複数の趣味を組み合わせることによって新しいものを生み出せることに気づきました。例えば、このWebサイトも心理学とWebのどちらにも興味があったからこそ楽しく運営できています。
ステップ2:強迫的な情熱に注意する
1つの専門性を極めても、「きっと他にももっと上がいる…」という感覚になりやすく、情熱が強迫的なものに変わってしまいます。例えば、アマチュアが心理学を学んでいるだけでは、心理学者よりも深い知識を身につけるのは難しいでしょう。そこでWebという他の分野を組み合わせることによって、「ウェブページでアクセスできて、わかりやすい心理学のブログ」という新たな価値を生み出すことができています。
1つの専門性で壁に当たったときほど他の分野に興味を向けてみるのが有効でしょう。趣味をかけ合わせて、独自のことをやっていると競争相手がいないので強迫的な情熱になりづらく、純粋に楽しむことができます。
まとめ
- 情熱は時間の長さではなく、持っているかどうかが幸福感を左右する。
- 2つの調和的情熱を持つ人ほど、ポジティブな感情・生活満足度・活力などが高い。
- しかし、強迫的な情熱を持ってしまうと、ネガティブな感情が増えてしまうので注意。
- 趣味を小さな行動に分け、スキマ時間でも取り組むことで、情熱を持続できる。
- 異なる趣味をかけ合わせることで、独自の価値や創造性を生み出せる。
複数の情熱を持つことは、時間の制約があっても幸福度を高める力があります。1つに絞らず、複数の情熱を調和的に育てることが、自分らしく生きる鍵になるでしょう。
参考
↑アル・ビーンのエピソードを参考にしました。


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