やってはいけない間違ったストレス解消法

子どもと自分を鍛えるコース

酒を飲みまくる→アルコールはストレスの記憶を強める

ストレス解消としてお酒を飲む方は多いかと思います。「パーッと飲んで忘れよう!」なんて言ってガブガブ酒を飲む人がいますが、実は逆効果です。

「パーッと飲んで忘れる」どころかアルコールにはストレスの記憶を強める効果があると指摘されています。

  1. マウスに電気ショックを与える実験。
  2. 一部のマウスにはアルコールを注射する
  3. 結果、アルコールを注射されたマウスは電気ショックの記憶を強め、より臆病になる傾向が見られた

という内容です。ただこれは動物実験ですから信頼性は高くありません。

 

次にセロトニンに注目してみます。そもそもお酒を飲んでストレス解消されている気がするのは、お酒自体の効果というよりも、一緒に飲んでいる仲間と喋る効果といえます。

喋ることによって安らぎホルモンであるセロトニンが分泌されるからです。

 

しかし、アルコールにはナイアシンという成分が含まれており、ナイアシンはセロトニンの合成を邪魔してしまうとされています。

ですのでお酒を飲んで愚痴を言えば、短期的にはスッキリしますがアルコールを取りすぎるとセロトニンを合成しづらくなり不安に弱くなります

 

アルコールの力を借りなくても話し込めるような親しい友人と楽しく話す方が合理的です。

 

怒りを現す→解消されるどころか増幅する

ストレス解消の手段として何かしらの方法で怒りを発散するほうがいいと思い込んでいる人は多いです。

例えば、サンドバックを殴るとか、怒鳴り散らす、暴力を振るうとか。

 

 

実際は怒りをあらわにして発散しようとすると逆に怒りの感情が増幅してしまうことが分かっています。

 

 

理由としては人間は自分の行動が感情に影響を与えるからです。これはアズイフの法則と呼ばれます。アズイフの法則で有名なのはフェルトペンを噛ませて口角を無理やり上げた状態で漫画を読ませる実験です。フェルトペンを噛んでいない人よりも漫画を面白く感じたという結果が得られています。

つまり、「楽しい→笑う」のではなく「顔が笑っている→脳が『楽しい』と認識する」という影響が確認されたということです。

 

アズイフの法則を怒りに当てはめても同じ現象が起こります。「怒りを現す→脳が『怒っている』と認識する」という影響が出て、余計にストレスが溜まってしまうのです。

 

愚痴を言いまくるのも逆効果

愚痴を言いまくるのはストレス解消に良いという認識も間違いです。先ほどのアズイフの法則を当てはめると、「愚痴を言っている→『脳が怒っている』と認識する」という影響が考えられるからです。

 

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが行った実験を見てみましょう。

  • 大量解雇の予定を通告された地元の建築会社で行われた実験(被験者となる従業員は3年契約で雇用されているので1年で解雇されてしまう自体には怒りを感じている)
  • 怒りを感じているであろう従業員を2つのグループに分けて実験者が面接を行う
  • ①実験者が被験者に怒りを口に出させるような質問をする(「今回の会社の仕打ちに関してどう思っていますか?」など)
  • ②実験者が被験者にまったく関係のない質問をする(「会社の資料室にはどのような文献がありますか?」など)
  • その後、両方のグループの会社に対する敵対心や怒りの度合いを計測
  • 結果、愚痴を言った①のグループのほうが敵対心や怒りが強かった

という内容です。愚痴を言ってスッキリするのであれば、①のグループは怒りが解消されているはずですが、そうはなりませんでした。

 

ですから「愚痴を言ってストレス発散」の効果は科学的には否定されてしまったのです。

 

 

居酒屋で酒を飲みながら上司の悪口を言うなんてものは、まったく合理的と言えない意味不明な行動と言えます。酒を飲むことでストレス記憶を強め、セロトニンの合成を邪魔した挙げ句、悪口を言うことで怒りも増幅してしまうからです。

同僚とコソコソ悪口を言ったり、傷を舐め合ったりするぐらいなら上司に直接意見すればいいのでは?と言いたくなります。

 

科学的に正しいストレス解消法

怒りを鎮めるには無の状態になるのが一番です。深呼吸をして自分の行動を落ち着けることで、脳が自分は落ち着いていることを認識してくれます。

感情のコントロールに関してオハイオ大学で行われた実験を見てみましょう。

  • 被験者を集めて、実験の仕掛け人がわざと被験者を怒らせるような挑発をする
  • 怒りを感じている被験者の次の行動を3パターンに分ける
  • ①挑発してきた仕掛け人の顔写真が貼ってあるサンドバックを好きなだけ殴ってもらう
  • ②エクササイズをしているところを想像してもらう(気を紛らわす)
  • ③2分間座ってじっとしていてもらう
  • それぞれの行動をとってもらったあと、感じている怒りを音の大きさで表してもらう
  • 結果、①のグループはもっとも音が大きく長く続いた。③のグループは最も落ち着いていた

 

ポイントは怒りをあらわにしたり、他のことで紛らわせたりするよりも、何もせずじっとしておくことが感情のコントロールがうまくいくという点です。

ですので「イライラしたときには深呼吸」と決めておきましょう。

 

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