今回は、SNSを眺めて他人の性格をつい推測してしまう人に向けた内容です。
- いいねが多いのに、あまり他ユーザーとの交流がない人はどんな人なんだろう?
- SNSの投稿から人柄を予測することはできないんだろうか?
SNSを見ていると、投稿主の人物像が気になることはありますよね。実は、SNSの投稿だけでも性格や知能、精神疾患の有無などをある程度予測することができるのです。
自閉スペクトラム傾向のある人は「いいね!」されやすい!?
2020年に脳情報通信融合研究センターや大阪大学などの研究者たちが発表した論文によると、SNSの情報によって性格や知能を予測することができたようです。

Differential ability of network and natural language information on social media to predict interpersonal and mental health traits - PubMed
These results reveal that the different types of SNS information can collectivity predict wider human traits and attribu...
内容
239人分(平均年齢22.4歳)の日本人のデータを対象。以下のSNSからわかる4種類の情報について調べた。
- ネットワーク情報:いいねの数やリツイート数、何人とやり取りしているかなど。
- 時間情報:投稿する際の時間間隔、利用頻度、時間帯、曜日など。
- 言葉の使い方:単語や文の長さ、ポジティブな単語やネガティブな単語の割合など。
- 単語の特徴:どのような単語を使っていたか。
52項目の性格や特性に関する質問紙に回答してもらった。主な項目は以下の通り。
- 性格:ビッグファイブの5つの特性。
- 社会経済的地位:所得や職業、学歴など。
- 社会的価値志向:自己利益を犠牲にして他人を助けたり協力的に振る舞ったりするかどうか。
- 共感的関心:他者の不幸に同情したり、助けたいと感じたりするか。
- 自閉スペクトラム傾向:社会的スキルの低さ、コミュニケーションの苦手さ、細部への注意の傾向など。
- 社会的スキルの低さ:社交的な場面が苦手、自分の置かれている社会的な状況が理解できない。
- コミュニケーションの苦手さ:雑談ができない、話を始めたり終えたりするタイミングがわからない、一方的に話をする。
- 細部への注意:ほかの人が気づかない物事に気づく、数字や時刻表など数値へのこだわりが強い。細かい点を気にして全体的なものの見方ができない。
- 統合失調型パーソナリティ:思考や知覚の歪み、対人関係の問題、奇妙な行動など。
- 対人関係の問題:親密な関係への不快感、社会性の欠如、孤立傾向。
- 奇妙な行動:風変わりな話し方や態度、奇異な空想への没頭など。
- メンタルヘルス:統合失調症傾向、妄想、サイコパシー、マキャベリズム、強迫性障害、抑うつ、不安、ストレスなど。
- 知能:
- 流動性知能:新しい情報を処理する能力。直感や推理、問題解決のスピード。
- 結晶性知能:経験や学習を通じて蓄積した知識や知恵の多さ。
- 生活満足度:幸福感や自尊感情。
- 飲酒・喫煙の有無:アルコールやタバコの消費行動。
結果
52の下位尺度のうち、SNSの情報だけでも以下のような項目を予測することができた。
- ネットワーク情報:自閉傾向などの予測に強い。ビッグファイブの特性もを予測できる。
- 時間情報:社会的価値志向の予測に強い。
- 言葉の使い方:統合失調症や不安などのメンタルヘルスの予測に強い。
- 知能は4種類全てのSNS情報で予測しやすい。
ネットワーク情報
- 他のユーザーからの「いいね!」が多いほど…
- 自閉スペクトラム特性の社会的スキルの低さに当てはまった。
- 考察:自閉スペクトラム傾向のある人は、映画や音楽、アニメなど特定の話題に特異な関心を持つため、同じ関心を持つ人々を引きつけると考えられます。
- 結晶性知能が高かった。
- 考察:結晶性知能が高い人は知識が多いため、価値のある投稿をしやすく、他のユーザーから情報を保存されやすいと考えられます。また、語彙力が豊かで、文章もまとまっており、評価されやすい投稿になるのでしょう。
- 自閉スペクトラム特性の社会的スキルの低さに当てはまった。
- 一方で、「いいね!」が多いほど…
- 外向性・共感的関心・幸福感は低かった。
- 考察:意外な結果ですが、ポジティブな投稿は見て気分がいいものの、いいねの対象にはなりづらいのかもしれません。
- 外向性・共感的関心・幸福感は低かった。
- 会話のネットワークが大きいほど…
- 外向性と共感的関心が高い。
- 統合失調型パーソナリティのうち、対人関係の問題が出づらい。
- 自閉スペクトラム特性のうち、コミュニケーションの苦手さ、細部への注意、社会的スキルの低さが出づらい。
- 考察:SNS上でやりとりしている人数が多いほど、外向性や共感力が高く、統合失調型パーソナリティや自閉スペクトラムの傾向は低かったようです。こちらは直感通りと言えます。
- ツイート数が多い人ほど、結晶性知能が高かった。
時間情報
- 3月のツイート数が少なかったり、返信する時間が長かったり短かったりせずに安定している人ほど、結晶性知能が高い。
- 考察:結晶性知能が高い人は生活が多忙であり、時間厳守のコミュニケーション傾向があると考えられます。
- 16時から21時に利用時間が増える人ほど、社会的価値志向が高い傾向があった。
- 考察:貢献的で協調的な人は、ユーザーがもっとも増える時間帯にSNSを利用すると考えられます。
- 返信時間にばらつきがある人ほど、社会的価値志向が低かった。
- 考察:他人を助けたり協力的に振る舞う傾向がある人ほど、SNSでのやり取りでも反応が安定していると言えます。逆に、社会的価値志向が低い人は他人とのやり取りが気分によって左右されがちと言えるでしょう。
言葉の使い方
- 文の長さがあまり一定せずばらつきが多く、ネガティブ単語の比率が多いほど、
- 統合失調型パーソナリティのうち、奇妙な行動の傾向があった。
- 妄想の傾向があった。
- 考察:文章の長さのばらつきは思考の不安定さと関連していると考えられます。
- ネガティブな単語の比率が多いほど、妄想や不安の傾向が強かった。
- ポジティブな単語の比率が多いほど、
- 知能(流動および結晶)が低かった。
- 考察:知能が高い人は感情的ではない言葉を使う傾向があるのでしょう。
- 不安や抑うつの傾向が低かった。
- 自閉スペクトラム特性の傾向が低かった。
- 知能(流動および結晶)が低かった。
単語の特徴
- 緊張感や差し迫った状況を想起させる言葉が多いほど、強迫性障害の傾向があった。
- 学業や研究に関連する言葉が多いほど、社会経済的地位が高かった。
- 飲酒や喫煙を連想させる言葉が多いほど、実際にアルコール使用が多かった。
考察
SNSの情報を利用することで、かなり詳しく個人の性格を予測することができそうです。
性格を予測することはコミュニケーションや意思決定に役立ちます。例えば、誰と友だちになるか、消費者に何を売るか、特定の人物が精神疾患にかかっているかなどを判断する際にも役立ちます。
まとめ
- SNSのネットワーク・利用時間・言語特徴などから、性格特性や知能、メンタルヘルス傾向を一定程度予測できる。
- 特に「いいね」数や、やりとりのネットワークは、自閉スペクトラム特性や外向性、共感性と関連していた。
- 返信の時間や言葉の使い方は、結晶性知能や社会的価値志向、精神的安定性と結びついていた。
SNSの何気ない行動パターンには、本人も気づいていない心理的特徴が反映されている可能性があります。ただし、これらはあくまで統計的傾向であり、個人を断定するものではありません。性格推測は便利な一方で、慎重に扱う必要があることも忘れてはいけないでしょう。

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