SQ3Rノート術の改良版「QS3R」で知的好奇心を連鎖させよう

探究力
この記事はこんな方にオススメ
  • 読書をした時に全て重要そうに思えてしまってノートに書くのが大変になる
  • 勉強して得た知識をうまくいかせていない
  • これまで読書で得たことをアウトプットしたいと思っている

今回は、好奇心の赴くままに読んで、そのままアウトプットにつなげる読書術を実践しようぜ~というお話です。

 

【予備知識】
好奇心の赴くまま読む読書術「SQ3R」とは?
この記事はこんな方にオススメ 勉強のときに集中力を保ちたい 1つの本を最後まで読みきるのが苦手 本やテキストのノートを取り出すと、全部重要そうに思えてキリがなくなる 今回は探索に重点を置いた勉強術「SQ3Rノート術」をご紹介します。 本を「...

↑SQ3Rについて解説。基本編から押さえたい人は先にこちらを読むといいでしょう。

 

今必要な情報だけをインプットし、速攻でアウトプットする読書術

イギリスの詩人であり、文芸批評家であるトーマス・スターンズ・エリオット
は、「知識に埋もれて知恵が見つからず情報に埋もれて知識が見つからない」という言葉を残しています。
読書をすると、全ての内容が重要そうに思えてメモを取るが、特に内容を活かせていないという人は、まさに知識に埋もれて知恵が見つからない状態です。

 

 

そこで、今回は今必要な情報だけをインプットし、速攻でアウトプットする読書術を解説します。

 

SQ3Rノート術とは?

SQ3Rとは、最速で情報を収集するためのテクニックです。

  1. Survey=調査:本をザッと読んでどんな内容なのか把握する
  2. Question=質問:本を読む上で自分が一番知りたい「問い」をつくる
  3. Read=読解:「問い」に対する「答え」を探しながら読んでいく
  4. Recite=思い出す:本を閉じて「答え」として得られた情報を思い出す
  5. Review=評価:思い出した情報に間違いがないかもう一度本を開いて確認す

今回は、こちらを少し改良して、Surveyの前に先にQuestionを立てるようにします。言わば、QS3Rノート術です。

 

 

実例で解説

ざっくりとQS3Rのやり方が分かったところで、具体例を出しながら解説していきます。

Question:好奇心はアウトプットから始まる

Questionは、本を読む上で自分が一番知りたい「クエスチョン」をつくるステップでした。本を読むための「クエスチョン」を作るためには好奇心が重要です。

なぜなら、「なんで?」「知りたい!」というモチベーションがなければ、新しい本を読むときの目的は立てられないからです。

 

 

好奇心を持つためには、今もっている知識をその知識を深めてみるといいです。知識を深めるためには、自分が持っている知識を結論・根拠や理由・具体例という3つの要素で分析してみましょう。

というのも、要素に分解することによってどの要素が足りていないのかを分析することができます。いわば知識というパズルの中でどのピースがかけているだろうかと考えてみるのです。

 

例えば、心理学の本の中で「美的好奇心が高い人は仕事でもパフォーマンスを発揮することができる」といった内容を知ったとしましょう。

例:

既存の知識:ある研究では、美的好奇心が高い人は仕事でもパフォーマンスを発揮することができることが示唆されている

→ピースで分解
結論:仕事で活躍したいなら美的好奇心を持つべき
理由:?
具体例:?

→不足しているピースからクエスチョンを作る
「どうして美術に興味を持っている人ほど仕事でもいい成績を残しやすいのだろう?知りたい!」

自分が持っている知識のなかで、理由や具体例の要素は未知なのでここが探るべきパズルのピースとなります。

開いているパズルのピースが見つかると、「その知識を埋めたい!」と思うようになります。ここで言えば、「どうして美術に興味を持っている人ほど仕事でもいい成績を残しやすいのだろう?知りたい!」という好奇心が生まれるのです。

 

このように、好奇心は0から生まれるものではなく、自分が今持っている知識の中で何が不足しているかを分析することによって生まれてくるものなのです。

 

Survey:クエスチョンの回答があるか把握する

Surveyは、本をザッと読んでどんな内容なのか把握するステップでした。

 

まずは本を探さなければなりません。先の例では、「美術に関心を持っている人が仕事での成績も良くなるのか」が気になったので、「ビジネス 美術」といったキーワードで本を探してみます。今回は、世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」という本が見つかったので、こちらでQS3Rを回していきます。

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本を開いて前書きや目次を見ながら、「クエスチョンに対する回答はありそうだろうか?」と探していきます。

クエスチョン
「どうして美術に興味を持っている人ほど仕事でもいい成績を残しやすいのだろう?知りたい!」

回答を探しながら本の中身を調査

目次を見てみると4章に「なぜ印象派は受け入れられなかったのか?」という内容があるな。美術を学ぶことによって、最新のトレンドを読み解き商品を売るノウハウを学ぶことができるのではないか

目次をさらっと見て、前のステップで設定したクエスチョンが達成できそうだなと思ったところが決まれば、このステップはクリアです。

 

Read:読む

Readは、クエスチョンに対する回答を探しながら読んでいくステップです。

全ての内容を読もうとするのではなく、Surveyであたりをつけておいた箇所からいきなり読んでしまって構いません。

 

 

「ここはまさに設定したクエスチョンの回答となる箇所だ!」と思ったところには、付箋を貼ったりマークをつけたりしておきましょう。

クエスチョン
「どうして美術に興味を持っている人ほど仕事でもいい成績を残しやすいのだろう?知りたい!」

本の中身を調査

目次を見てみると4章の「なぜ印象派は受け入れられなかったのか?」に答えがありそうだ。

回答を探しながら読む
実際に読んでみて、「印象派の画家たちは、それまでのフランス絵画の常識を覆した斬新な表現方法を武器にしていた」との記述

クエスチョンへの回答を作成
美術師を学ぶことによって世間の常識を疑うマインドが育ちそうだ

読みながらノートを取ってしまうとノートに書く量が増えてしまうので、1つの章を読み終えてから、特に重要なところを絞るなどするといいでしょう。

 

目的が明確に定まっている分、馬鹿正直に最初から読むよりもモチベーションを保ちやすいでしょう。

 

今読むべきではない本

SurveyやReadの段階で、「この本には自分が立てたクエスチョンの回答がなさそうだ」と感じたら、その本は閉じて別の本に移りましょう。

 

本を買ったら、「最後まで読まなければならない」という先入観にとらわれる人がよくいます。今回のテーマは、好奇心に従って知識を収集しアウトプットする読書術なので、そのような縛りは捨ててしまいましょう。

なぜなら、自分が好奇心を感じていない時に読むよりも、必要になった時に読む方がより記憶に残りやすいからです。それに、もし「今必要な内容は書いてなさそうだな」と思ったとしても、また必要になる瞬間は訪れます。別の機会に問いを立てたとき、「そう言えば前途中まで読んだ本のなかに回答がありそうだ!」と思い出したときに再び本を開けばいいのです。

 

つまり、知的生産を止めない限りは無駄になる本というのは存在しないのです。

 

図書館やKindleで読み捨てる勇気を持つ

積読にする勇気がないという人は、無料で本を読める方法を使って読み捨てる勇気を持つ訓練をしてみるといいでしょう。

例えば、図書館で本を借りる、KindleUnlimitedで本を探すといった行動プランがおすすめです。実際に、僕も既存の読書ノートを復習しながら、不足しているピースを探しクエスチョンを立てて、そのクエスチョンを解決してくれそうなキーワードでKindleUnlimitedの本を漁ったりします。

また、図書館に読書ノートを持って行ってアウトプットしながら、不足分のピースを探し疑問に感じたことはすぐに図書館にある文献で調べるという行動プランもおすすめです。アウトプットとインプットを並列で行うようなイメージですね。

 

 

Recite:思い出しながらノートにとる

本を閉じて「回答」として得られた情報を思い出すステップです。

読みたい箇所を一通り読んで、「自分の答えが知れたな」と思った場合には、ノートに取るなり、アプリにメモするなりしましょう。その際、本の内容を見ながら書き写すのではなく本を閉じて内容を思い出しながら書くといいでしょう。

 

Review:アウトプットにつなげる

思い出した情報に間違いがないか、もう一度本を開いて確認するステップです。間違いがあれば、ノートに書き出した内容を修正しましょう。

 

 

Output:受け売り×受け売り+考察=オリジナリティ

今回のテーマは、アウトプットとして形にする読書術なので、得た知識を何かに活用するつもりで記録を行うといいです。

 

例えば、「得た情報をブログに書いて発信したい!」というのはいいアウトプット方法でしょう。

 

「ブログで発信するといっても、他の人の本に書いてある内容を発信するのは受け売りなんじゃないか?」と不安になる人もいるでしょう。確かに文章をそのままパクるのは問題になります。

 

 

でも大丈夫。今回のようにQS3Rに基づいて得た情報は、自然とオリジナルの知恵になっているはずです。

思い出してほしいのが、そもそもQS3Rを通して得た知識は自分のクエスチョンから始まっているという点です。自分が持っている知識から、疑問に感じたことを別の本で調べて新たな知識を得たわけですから、ただの受け売りではなくて、別々の本からの受け売り×受け売りです。組み合わせ自体は新規のものですからオリジナリティと言えます。

クエスチョン
「どうして美術に興味を持っている人ほど仕事でもいい成績を残しやすいのだろう?知りたい!」

本の中身を調査

目次を見てみると4章の「なぜ印象派は受け入れられなかったのか?」に答えがありそうだ。

回答を探しながら読む
実際に読んでみて、「印象派の画家たちは、それまでのフランス絵画の常識を覆した斬新な表現方法を武器にしていた」との記述

→クエスチョンへの回答を作成:
美術師を学ぶことによって世間の常識を疑うマインドが育ちそうだ

アウトプット
美的好奇心が高い人は仕事での業績も良い(=自分が持っていた知識)

なぜなら、美術史について学ぶことで常識を疑うマインドを学ぶことができるから。例えば印象派の画家はそれまでの画家の技法に逆行することで評価を獲得するようになった(=今回読んで得た知識)

だから、仕事で業績を良くしたいなら美術について学び、イノベーションを起こし続けた美術史から教訓を得るべきだ(=オリジナルの主張)

 

【今日のクエスト】QS3Rノート術を実践しよう

【獲得経験値】

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