デジタル性健忘?知ったことか!デジタルを「第2の脳」にする知識術

知的生産

今回は、知識を自由自在に活用したい人に向けた内容です。

  • ノートアプリを使って情報を整理したり、勉強したりしている。
  • Notionやメモアプリにいい感じの知識をまとめたはずなのに、いざ使おうとすると内容が出てこない。
  • 「デジタルでノートをとると記憶しづらい」と聞いて、自分の学習方法に不安を感じている。

直感通り、デジタルでノートを取ると記憶しづらいのは本当です。しかし、知識の活用や発想に重きを置いているなら、知識を頭の中に記憶することはさほど重要ではないかもしれません

これからの時代で知識を活用するための、デジタルノートとの付き合い方について解説していきます。

 

 

「デジタルに残るから」と思うだけで脳が油断して記憶に残りづらい!?

「デジタルに書くと記憶に残りづらい」という指摘はよく耳にしますよね。

理由として、デジタルだと情報を完璧に保存できるので、人間の脳が「覚えなくてもいいや」と記憶の手を抜くからではないかと言われています。この現象は「Google効果」や「デジタル性健忘」と呼ばれています。

 

実際、2011年にコロンビア大学などの研究者たちが発表した論文によると、「情報がデジタルに残ると思うだけで記憶が落ちることが示されています。

根拠となる研究
APA PsycNet

※論文に載せられている実験のうち、実験2と実験4を紹介します。

内容①

被験者にオンラインで調べられそうなトリビア(つい教えたくなるような雑学)の文章を40個読んでもらった。トリビアには2種類が含まれていた。

  1. 新しい知識タイプ:「ダチョウの目は脳より大きい」など。
  2. 概要は知っているが細部は覚えてないタイプ:「スペースシャトルコロンビア号は2003年2月、テキサス上空で再突入時に空中分解した」など。

 

被験者には、トリビアの文章をコンピュータに入力してもらった。その際、被験者を4つのグループに分けて比較。

  1. 「コンピュータに入力した内容は保存される」と伝えられるグループ
  2. 「入力した内容は消去される」と伝えられるグループ

 

さらに、それぞれのグループを半分に分け、別々の指示が与えられた。

  1. 記憶指示をされるグループ:「できるだけ覚えるようにしてください」と指示される。
  2. 記憶指示なしのグループ:特に覚えるようには言われない。

 

その後、被験者は入力した文章の内容を、できるだけ多く書き出すテストを行った。

結果①
  • 「保存される」と伝えられたグループに比べて、「消去される」と伝えられたグループは内容をよく思い出すことができた
  • なお、記憶指示をされるかどうかはほとんど関係がなかった

 

内容②

同じように、被験者にはトリビアの文章を読み、コンピュータに入力してもらった。その際、すべての文章は特定のフォルダに保存されると伝えられた(フォルダ名はFACTS・DATA・INFO・NAMES・ITEMS・POINTSというものだった)。

その後、被験者は2つのテストに取り組んでもらった。

  1. 記憶テスト:入力した文章のうち、覚えている部分をできるだけ書き出してもらった。
  2. 保存場所のテスト:ある文章が、どのフォルダに保存されたかをフォルダ名で答える(例:「ダチョウ」に関する文書はどのフォルダに保存されていましたか?)。

 

結果②
  • 被験者は文章そのものの内容よりも、情報が保存されていたフォルダをよく覚えていた

 

考察

研究のポイントを簡単にまとめると以下のようになります。

  • 「デジタルに情報が保存される」と思うだけで記憶しづらくなる
  • デジタルに情報を保存する場合、情報そのものよりも、情報が保存されている場所を優先して覚える傾向がある

 

理由として、「後でコンピュータで確認できる」と思ったとき、人は積極的に記憶しなくなると考えられます。つまり、検索エンジンやデジタルのノートに頼ると、記憶力が損なわれる可能性があるのです。

例えば、検索エンジンは常に利用できるため、情報を頭の中に保存する必要はないと考えてしまい、調べた内容を覚えることが難しくなります。デジタルのノートについても同じで、紙のノートと比べて検索性が高いため、無意識に覚える努力を怠ってしまうかもしれません。

 

「第2の脳」として、コンピュータとの共生関係を築く

しかし、論文ではデジタルによって記憶が弱くなる現象は必ずしも問題ではないと強調されています。

 

コンピュータを「自分の脳とは別にある記憶システム」として捉え、「必要なときにアクセスすればいい」という考え方もできるからです。

つまり、これからの時代では、自分の頭だけに情報を記憶するのではなく、記憶はコンピュータに任せ自分の頭は発想や問題解決に使うのがいいでしょう。論文では、「私たちはコンピュータという道具と共生関係を築きつつある」という表現もなされています。

 

大事なのは、ノートを作るときに、その知識をどこに保存したかをわかりやすく管理し、覚えておくことでしょう。

研究で示されたように、人間はコンピュータに情報が保存されるとき、どの場所に保存されたかを覚えるのは得意なようです。とはいえ、情報を効果的に取り出せるようにするためには、保管場所をしっかり決めておきましょう。

 

【実践】知識を自由自在に取り出せるようにしよう!

おすすめの習慣プラン
  • 情報を保存するときには…
    • →「この知識はどこで使うか?」を考え、記録用or記憶用のアプリに振り分ける。
  • ノートを見返すときには…
    • →「この知識を何かに活用できないか?」「別の知識と組み合わせられないか?」と考えてみる。
  • 「ブログで紹介する知識を引き出したい」と思ったときには…
    • その知識のキーワードを思い出し、そのキーワードでAnkiアプリを検索してコピペする。

 

ステップ0:知識の活用のイメージを持とう

学校教育での勉強では、「知識は覚えるもの」「受験で使うもの」というイメージが強いので、知識を活用するというイメージがそもそも持てない人も多いでしょう。そこで、筆者が考える知識の活用の例を挙げてみました。

 

知識の活用例:
  • 知識×ブログ:読書で得た知識をブログで紹介する。
    • 「ブログで紹介したら面白そう」と思った知識をAnkiカードにまとめる。
    • Ankiカードで学習し、何度も研究に関する知識を見直す。
    • 「他のどのような知識と組み合わせて紹介するとわかりやすいか?」「どのように日常生活で実践していくか?」を考えて、アイデアを書き足す。
    • ブログを執筆するときには、Ankiカードのカードブラウザから検索して、記事のベースにする。
  • 知識×小説:読書で得た知識やふと思いついたアイデアを創作に活かす。
    • 心理学の本で、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)について知った。
    • 「多重人格のキャラクターをリアルに描写するためにこの知識を使いたい」とひらめいた。
    • 「解離性同一性障害の患者の振る舞いの特徴」「交代人格と対話する治療法」などをまとめたノートを見返して、アイデアを書き足す。
    • アイデアが育ったノートには「小説名」のタグをつけ、一覧できるようにしておく。

どちらの例でも、ノートを書き足す要素や、検索する要素がフル活用されています。デジタルならではの強みと言えるでしょう。

 

ステップ1:80%記憶を目指そう

その分野で専門家になるほどの記憶を目指すのではなく、80%ぐらいの記憶を目指してみましょう

というのも、全く記憶できていないと、その知識を引き出そうとしたときに、そもそもどんなキーワードでノートを書いていたかを思い出すことができないからです。

例えば、先ほどの小説の例なら、「解離性同一性障害」というキーワード自体を忘れてしまえば、せっかくの情報も引き出すことができません。

 

かといって、細部まで知識を覚える必要もないと考えます。特に筆者の場合、「読書をして、知識を楽しみたい」という気持ちが強く、専門家といわれるほどその分野に詳しくなりたいというわけではありません。専門的な本の中で単語が出てきたとき、「この単語はこういう意味で、こんな背景がある概念だったな」とわかれば十分です。

ですので、「勉強するからには完璧に覚えないといけない」と堅苦しく考えず、自分の価値観に則ってバランスをとりましょう。あなたが目指す「記憶」と「記録」のバランスはどれぐらいになるでしょうか。

 

ステップ2:デジタルツールの特徴を知り、少数精鋭のアプリに集約しよう

複数のノートアプリに情報を点在させると、探すときに迷ってしまいます。少数のアプリに絞り、どのアプリがどんな役割なのかを決めておきましょう。

例:

代表的なデジタルノートアプリを挙げてみました。活用例は筆者の主観ですが、おすすめの用途として紹介しています。

  • UpNote:テンプレートの作成やタグ付けなどができ、記録用に便利。番号付きのリスト、チェックボックス、表の作成など使えるレイアウトが多彩。
    • おすすめ用途:同じ型を使いまわし、必要に応じて検索もできる記録用。
    • 活用例:
      • 日記や料理レシピなどをテンプレートを作っておいて、同じ型で手軽に増やす。
      • ブログでよく紹介するアプリやガジェットのリンク一覧を作っておき、必要なときに検索する。
      • ChatGPTによく使うプロンプトをまとめておき、お気に入りに設定して、必要なときにコピペして使う。
      • 企画書の作成。表や箇条書きリスト、見出しなどでレイアウトを作れ、そのままエクスポートもできる。
  • Anki:カードの表と裏に内容を書き、単語カードのように学習できる。検索やタグ付けもできる。
    • おすすめ用途:知識を復習することに便利。情報を引き出すのに便利。
    • 活用例:
      • 外国語の単語と日本語訳を対応させ、単語を学習する。
      • 資格の勉強で、覚えたい単語とその解説を対応させ、単語を見て解説を思い出せるかをチェック。
      • 読書ノートを書き残し、定期的に復習してアイデアを書き足す。
      • テーマごとにタグ付けをして、育ったアイデアを必要なときに取り出す。
  • Notion:データベースの機能が強力。情報の整理や体系化に向いている。
    • おすすめ用途:複数人で情報や知識を共有するのに便利。情報を埋め込めるので、データの更新が反映されるように正規化できる。
    • 活用例:
      • 家族共有のレシピノートを作る。例えば、「麻婆豆腐」「ピリ辛ナムル」などとレシピごとにノートを作る。
      • 「豆板醤の代用調味料の作り方」など、複数のレシピで必要になりそうなノートは別で作って、各レシピに埋め込む。
      • 「豆板醤の代用調味料のレシピ」のノートを更新したときには、埋め込み先のレシピノートでも自動で更新される。
  • 簡易メモアプリ(Appleメモ、Google Keepなど):とにかく開くまでが早く思いつきをすぐに書くことができる。
    • おすすめ用途:散歩中や電車の中などふと思いついたことを素早く書き残すのに便利。
    • 活用例:
      • 散歩中に思いついたことを音声入力で書き残す。
      • その日の終わりに書いたメモすべてをアイデア管理用のノートアプリに移動させる。

 

 

超便利なメモアプリ「UpNote」
UpNote - notes, diary, journal - Apps on Google Play
The most pleasant app for writing and organizing notes
UpNote - notes, diary, journalアプリ - App Store
UpNote Company Limitedの「UpNote - notes, diary, journal」をApp Storeでダウンロードしてください。スクリーンショット、評価とレビュー、ユーザのヒント、「UpNote - notes...

 

デジタルの単語帳を作れるアプリ「Anki」:
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://play.google.com/store/apps/details%3Fid%3Dcom.ichi2.anki%26hl%3Dja%26gl%3DUS%26auao%3Dfalse%26referrer%3Dutm_source%253Dgoogle%2526utm_medium%253Dorganic%2526utm_term%253Dankidroid%25E3%2580%2580android%26pcampaignid%3DAPPU_1_FvMGYseFEY-ImAXClJ2QBQ&ved=2ahUKEwjH6NrV6Pj1AhUPBKYKHUJKB1IQ5IQBegQIAxAF&usg=AOvVaw3XxQsoxcmjUtAPn8A6Hrvf
AnkiMobile Flashcardsアプリ - App Store
Ankitects Pty Ltdの「AnkiMobile Flashcards」をApp Storeでダウンロードしてください。スクリーンショット、評価とレビュー、ユーザのヒント、「AnkiMobile Flashcards」に似たゲーム...

 

体系的なデータベースを作れる「Notion(ノーション)」:
Notion: メモ、タスク、AI - Google Play のアプリ
1つのコネクテッドワークスペースで、メモの作成、プロジェクトの計画、タスクの整理を簡単に行えます
Notion:メモ、タスク、AIアプリ - App Store
Notion Labs, Incorporatedの「Notion:メモ、タスク、AI」をApp Storeでダウンロードしてください。スクリーンショット、評価とレビュー、ユーザのヒント、「Notion:メモ、タスク、AI」に似たゲームを見...

 

スマホのウィジェットから簡単に操作できる付箋メモ「ColorNote(カラーノート)」:
ColorNote Notepad Notes - Apps on Google Play
ColorNote® - Easy to use notepad for notes, shopping list, to-do list, calendar

 

ステップ3:自分なりの活用基準を考えよう

筆者は主にUpNoteとAnkiを使っています。

  • 記憶用:知識とアイデアはAnkiに集約しています。定期的に復習サイクルを組んでくれるので、知識を頭の中に80%ほど残しながら、細部は検索で解決できる仕組みを作れています。
  • 記録用:UpNoteは覚える必要はない記録用で使っています。例えば、料理のレシピ、ガジェットを買うときの比較表、企画段階のアイデアのまとめなどです。

 

自分の基準で使うツールを決めておけば、どこを探せばいいか迷わずにすみます。例えば筆者の場合なら、

  • 「このガジェット、いつか買おうと思って調べておいたんだけど、ノートはどこに行っただろう?」と思ったら、記録用であるUpNoteを探せばいいとすぐにわかります。
  • 「ブログで自己愛性パーソナリティ障害について解説したいんだけど、概要を書いたノートからコピペしたいな」と思ったら、Anki(知識用)を探せばいいとわかります。

 

まとめ

  • デジタルに保存できると思うだけで、人は記憶しにくくなる。
  • 人は情報そのものよりも「どこにあるか」を優先して覚える。
  • 知識を活用するには、100%覚えるより自在に取り出せる設計が重要。

デジタル環境では、人は情報そのものよりも「どこにあるか」を覚える傾向があります。そのため、知識を活用するには記憶力を高めるよりも、取り出しやすい仕組みを作ることが重要です。

デジタルノートを「第2の脳」として活用しながら、自分なりの管理ルールを持つことで、知識はより自由に使えるようになります。

コメント