「能力」ではなく「努力」を褒めよう
子どもを褒めるときに何気なくその子の「能力」を褒めていませんか?
例えば、「頭がいいね!」「絵のセンスがあるね」「お父さんに似て数学が得意なんだね」といったフレーズは言ってしまいがちですよね。
親として悪気はないのでしょうが、子どもの成長にとっては害になる可能性があります。なぜなら、能力を褒めてしまうと、子どもは「結果は能力によって決まってしまうものなんだ」と認識してしまうからです。
1998年のコロンビア大学の研究では、能力を褒めてしまうと結果にしかフォーカスしなくなり不正を働く傾向も上がったことが示されています。
介入
- 被験者:子どもたち
- 介入:IQテストを実施して、能力を褒めることによって、より難しいIQテストへの取り組み方がどう変わるかを観察した
被験者を2つのグループに分ける。まず両方のグループでIQテストを実施する。その後、IQテストの成績に関してそれぞれのコメントを行う
- 「あなたは頭がいいのね」と元々の能力を褒めるグループ
- 「あなたはよく頑張ったね」と努力を褒めるグループ
その後、難しめのIQテストを受けさせる。さらに最初に受けたのと同じ程度のIQテストを受けさせる2回目、3回目のIQテストで成績の推移を調べた。
結果
- 能力を褒められたグループ1は3回目のテストにおいて成績を落としてしまった
- 努力を褒められたグループ2は3回目のテストにおいて成績を上げた
- また、グループ1は2回目の難しいIQテストを受ける際、試験を受ける目的は「何かを学ぶことではなく良い成績を取ることにある」と考え、良い成績が取れなかった時には成績について嘘をつく傾向が高かった
考察
つまり、能力を褒めると結果至上主義になり何かを学ぶための学習をしなくなるということです。
努力を褒めるのが重要な理由は成長マインドセットを促すからです。成長マインドセットを持っている子どもは失敗したとしても、「努力や工夫が足りなかったのだ」「失敗は成長する機会だ!」と考えて、挑戦をし続けることができます。
それに対して、成長マインドセットを持たない子どもの場合、「自分の能力はこんなものだ」「やってもしょうがない」と考えて、難しいことを放り出してしまいます。
【今日のクエスト】子どもの能力ではなく努力を褒めよう
ステップ1:能力ではなく努力や工夫にフォーカスしたフレーズに変換する
例:
- 「頭がいいね!」→「頑張って勉強したんだね」
- 「絵のセンスがあるね」→「工夫して描いたんだね」
- 「お父さんに似て数学が得意なんだね」→「数学の勉強の仕方が上手なのかもね!」
ステップ2:子どもがやったことに興味を持って認めてあげよう
また、子どもの努力を褒めるのが何となく恥ずかしいと感じる人もいるでしょう。そんなときには褒めるのではなく、興味を持って質問するだけでもいいです。
例えば、「絵が上手に描けたね」と褒めるのが照れくさいなら、「どんなところにこだわって描いたの?」「この部分は時間がかかったんじゃない?」などという感じ。
そうすれば、子どもは「そうなんだよ!」といって自分が努力した過程を誇ってくれるでしょう。子どもの努力の軌跡に耳を傾けてあげることで、子どもは「努力を認めてくれるんだ」とうれしくなるはずです。
コメント