アジリティトレーニングで記憶力が8.8%アップ!?
「アジリティトレーニング」とは、素早く動いたり反応したりできるように体をコントロールする練習です。例えば、以下のようなトレーニングがあります。
- ライイングスピードドリル:両腕を頭の上に伸ばした状態でうつぶせになり、合図と共に立ち上がってダッシュする
- バウンディング:両足をそろえて数回連続して前方にジャンプする
2013年の空軍研究所の研究によると、アジリティトレーニングによってワーキングメモリなどの認知機能が向上したことが報告されています
- 被験者:18~34歳の41人の訓練生(スクリーニング後)
- 内容:アジリティトレーニングに取り組むことによって、ワーキングメモリや視覚的な注意力の維持などの認知的なパフォーマンスも向上するかどうかを調べた。
測定
被験者に対して以下の項目を計測し、研究の指標にした。
- 持久力:トレッドミルを走ってもらい、最大酸素摂取量と消耗までの時間を計測。
- アジリティ:「イリノイ州敏捷性テスト」によって、敏捷性が求められるコースを何秒でクリアすることができるかで計測(秒数で計測)
- ワーキングメモリ:Nバック課題の正答率によって評価。
- 視覚的な注意力の維持:「視覚ヴィジランス」によって、注意力を切らさずに紛らわしい対象を判別することができるかどうかを計測(正答率で計測)
介入
6週間にわたって、1週間当たり3日の割合でトレーニングに取り組んでもらう。その際、被験者をランダムに2つのグループに分けて比較。
- アジリティトレーニングに取り組んでもらうグループ
- 従来のフィジカルトレーニングに取り組んでもらうグループ
介入の前後には、被験者に対して体脂肪率・持久力・アジリティ・ワーキングメモリ・視覚的な注意力の維持…などの計測を行った
結果
アジリティトレーニングに取り組んだ場合、トレーニング前のベースラインと比べて、トレーニング後では以下の傾向が見られた。
- 最大酸素摂取量は5.4%上昇。具体的には平均で2.6ml/kg/min上昇していた
- アジリティは4.4%向上した。具体的には平均で0.86秒速度が向上した
- ワーキングメモリのテストで正答率が平均で8.8%向上した。また、正しい反応をするまでの速度も9.9%短縮された。
- 視覚的な注意力の維持が向上した。具体的にはテストの正答率が平均で1.9%向上した
なお、コントロール群に関してはトレーニング前のベースラインと比べて、消耗までの時間は向上したものの、ワーキングメモリ・視覚的な注意力の維持といった認知的機能は伸びなかった。
考察
アジリティトレーニングによって、狙い通り持久力やアジリティはきちんとアップするみたいです。それだけでなく、ワーキングメモリや視覚的な注意力の維持などの認知的機能も向上していました。
つまり、アジリティトレーニングによって、よりたくさんの情報を処理することが得意になったり注意力が向上したりすると考えられます。
【実践】アジリティトレーニングに取り組んでみよう
アジリティトレーニングは基本的に自分の身一つで取り組むことができるトレーニングです。筋トレなどと違って高価な器具などを買う必要がありません。せいぜいラダーやコーンなどで済むので初期投資が簡単です。
スペースもそれほど大きくは必要ありません。トラックなどがあれば理想ですが、家の前の庭やまっすぐの一本道、公園、体育館などで充分に実践することができます。
動画などでそれぞれのアジリティトレーニングのやり方を確認して実践してみましょう。
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