ADHDはゴソゴソした方が注意力が向上する!?
注意欠如多動症(ADHD)の子どもは集中するのが苦手です。特に、学習をするときに机にじっとして教科書に向かうことが難しいです。
例えば、指で何かをトントン叩いたり、足を揺らしたり、椅子の上で体をモゾモゾと動かしたり、弾ませたり…など様々な動きをします。なぜなら、彼らはじっと座っている状態では興奮が足りないからです。
親や教師としては、勉強しながらゴソゴソと動く子どもには注意したくなります。しかし、ADHDの子供に関しては、ゴソゴソすることによって知的な作業に取り組むための集中力を高めているのではないかという考え方もあります。
実際に、2016年のカリフォルニア大学デイヴィス校の研究によると、ADHDの子どもは身体的な動きが激しいほど認知テストのパフォーマンスが高まることが示されています。
- 被験者:10~17歳の44人(スクリーニング前)
- 内容:ADHDの子どもたちが認知テストに取り組んでいるときの身体の動きを調べ、認知テストでの成績と比較した。
測定
被験者に対して以下の項目を計測し、研究の指標にした。
- 認知テスト:フランカーテストを実践してもらい、紛らわしい情報を無視しつつ目的の情報を処理する能力を調べた。
- 身体の動き:モーションロガーアクティグラフという腕時計型の計測器を足首に取り付けて、動きの強度と頻度を計測した。
介入
被験者として2つのグループを用意。
- 18名の通常の発達をしている子どもたち
- 26名のADHDの傾向がある子どもたち
認知テストに取り組んでいるときに身体の動きの強度と頻度を計測。認知テストの課題の正答と身身体の動きを比較した
結果
- 通常の発達の子どもたちと比べて、ADHDの子どもは身体の動きの強度が高い方が正解率が高かった。
- 通常の発達の子どもたちでは、身体の動きによって正解・不正解に影響しなかった
- ADHDは身体の動きの頻度も通常の発達の子どもたちと比べて多かったが、認知テストの正解・不正解に影響はなかった
考察
つまり、じっとしていることが苦手な子どもに無理やり座らせるよりも、身体の動きを取り入れながら学習できる環境を整えてあげることが重要だということです。
なぜなら、そもそもADHDの子供がゴソゴソと動いてしまうのは退屈な作業で脳の興奮が足りていないからです。体を動かすことによって脳に適度な興奮を与え、覚醒させていると言えます。脳を覚醒させるために大人たちがコーヒーやエナジードリンクを飲むのと同じようなものです。
なので、ADHDの子どもが何かを触ったり貧乏ゆすりをしたりといった少しの動きをいちいち注意する必要はないということです。また、座って学習するというスタイルも根本的に見直す必要があるかもしれません。詳しくは実践で見ていきましょう。
【実践】身体の動きを取り入れられる学習環境を作ろう
例えば、以下のような学習環境を取り入れてみるのもいいでしょう
- スタンディングデスクを使って立ったまま作業ができるようにする
- トレッドミルの上を歩きながら学習アプリで勉強する
また、前述の研究によるとADHDの子どもが集中力を高める上で、身体の動きの頻度は関係なく、身体の動きの強度が関係するようです。
なので、貧乏ゆすりをしたり、何かを触ったりする動きをやめさせたい場合には、代わりに強度が高い運動を行わせてみるといいでしょう。例えば、ゴムボールや握力グリップなどをぎゅっと握るといった動作です。
実践例
↓
左手で握力グリップを握りながら単語カードで思い出す
【獲得経験値】
【関連知識】
学習に体の動きを取り入れることに関する記事を集めてみました。自分の学習スタイルに合う実践の仕方で取り組んでみてください。
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