「人と一緒にご飯を食べるのが怖い」
そのような症状を「会食恐怖症」と言います。
「お偉いさんとご飯は食べるのに緊張する」という経験は誰にでもあると思いますが、会食恐怖症は友達との食事でも緊張してしまったり、食事した後に嘔吐してしまうのではないかと過剰な心配をしてしまったりするような、食事に関して異様な恐怖心を抱く症状のことです。
会食恐怖症の三つのキーワード
自己肯定感
自己肯定感と言うと子供の頃に親から受けた教育でどのぐらい自分に自信を持つかという指標のイメージがありますが、ここでの自己肯定感は少し違います。
会食恐怖症における自己肯定感とは子供の頃に食事に関するトラウマが植え付けられているかどうかです。
子供の頃に「残してはだめだ」「嫌いなものでも食べなさい」などと異常に強制されたり、給食の際に「食べるのが遅い」と叱られたトラウマがあると、会食恐怖症を引き起こす一つの引き金となります。
ノンフロー状態
ノンフロー状態とはフロー状態の逆です。フローとは心がリラックスしている究極の集中状態を指します。
ノンフロー状態はその逆なのでピリピリした状態で落ち着けない状態と言っていいでしょう。
小さい頃から両親の喧嘩が多く、食事の際はピリピリとした空気だったという経験がある人は会食恐怖症の症状を持ちやすいです。
食事に対する恐怖体験
食事をした後に吐いてしまった、などのトラウマがある場合、誰かと食事するたびにそのトラウマが蘇ってきて、手が震えたり汗をかいたり顔が赤くなったりなどの症状が出てきます。
会食恐怖症の克服法
会食恐怖症は積極的な治療が必要です。
なぜなら会食恐怖症の自然治癒率がとても低いからです。うつ病の場合、自然治癒率は2年後に80%ですが、会食恐怖症をはじめとした社交不安症の場合自然治癒率は2年後にわずか20%です。
積極的な介入をして自ら行動を起こさないと変えることができないのです。
まずは自分の前提を理解する
会食恐怖症には様々な間違った前提があります。
例えば、「食事を完食することができなかったらどうしよう」という不安を持っている人は、「食事は全て食べ残してはいけない」という前提を持っています。
「自分と食事をしても面白くないと思われるのではないか」という不安を持っている人は、「食事のときに相手を楽しませなければいけない」という前提思っています。
「食事後に吐いてしまうのではないか」という不安を持っている人は、「自分は食べ過ぎると吐いてしまう」という前提を思っています。
他にも「食事中に不安を感じて手が震えるのが怖い」「自分の食べ方が変だと思われるのではないか」などの不安も同じように間違った前提があるからです。
前提を克服する介入を施す
会食恐怖症の克服に重要なのはこの前提を克服することです。
例えば、「食事を食べ残してはいけない」という前提を持っている人は、近所の定食屋さんに行ってわざと一口残してみるといった行動してみると良いでしょう。
「食事をした後に吐いてしまう」という前提を持っている人は、いつも鞄の中に入れている胃薬の量を減らしてみましょう。
コメント