竜脚類とはたぶん、生命の最高の発明です。

竜脚類(首長い恐竜)は地球上で最大の生物のグループといいでしょう。

全長33メートルの「スーパーサウルス」(ディプロドクスの仲間)、高さ8メートルもある「サウロポセイドン」(ブラキオサウルスの仲間)など今の動物と比べてもスケールが桁違いです。

ただ、体を大きくするのは無条件でできるわけではありません。仮に身長1.7メートルの僕が、30メートルに巨大化するとしたら今と同じ生活では無理です。

 

竜脚類が体を大きくできたのには4つの条件があったのです。

  1. 餌を大量に食べないといけない
  2. できるだけ軽量化しないといけない
  3. 効率的に呼吸をしないといけない
  4. 体温の放熱システムをつくらないといけない

 

餌を大量に食べないといけない

体が大きくなるということは当然餌が大量に必要です。

僕は結構少食で野菜と肉と玄米をチビチビ食べる生活をしていますが、そんなんじゃ巨大化できません。

 

竜脚類がどうやって餌を大量に食べていたのか。それは首の長さを利用して、体を動かさずに広範囲の草をむしり取っていたのです。

体を動かさないのでエネルギーを消耗することもありません。効率的にエネルギーを補給できるというわけです。

休日にベッドに寝転がりながら菓子を貪っている人間と同じです。彼らも体を動かさずに餌を食べるので体はどんどん(横に)巨大化しますよね。

 

できるだけ軽量化しないといけない

体を大きくすれば、その分体への負荷が大きくなります。

竜脚類は首が長いので、首が筋肉隆々だと重たくてすぐにバテてしまいます。

 

そこで竜脚類は首の骨を極限まで薄くして、中身も空洞にするという戦略をとっていたそうです。

空洞になっていたところには「気嚢(きのう)」という袋が入っていました。気嚢には空気をたくさん蓄えてパンパンにしていたんです。

イメージとしてはバスケットボールのような感じです。外側は丈夫な皮でできているので丈夫ですが、なかは空洞で空気が詰まっているので計量です。仮に同じぐらいのサイズの岩石があっても、中身が空洞な分バスケットボールのほうが軽いですよね。

竜脚類の首はバスケットボールで言うところの丈夫な皮の代わりに薄い骨、空気の代わりに気嚢が入っていたんです。

 

効率的に呼吸をしないといけない

体を大きくするとその分必要な酸素も増えます

体中に存在する膨大な細胞ひとつひとつに新しい酸素を送らなければいけないからです。

 

実は呼吸を助けているのも先ほど説明した気嚢です。

竜脚類は気嚢と肺を使う効率的な呼吸システムを使っています。

人間の肺は酸素を吸って二酸化炭素を吐くというシステムです。対して、気嚢を使った呼吸では新しい空気を吸ったうち一部を気嚢に一時的に蓄え、一部を肺に送る。吐くときは二酸化炭素を出しつつ、気嚢に蓄えていた空気を肺に送るというシステムを使っています。

 

簡単に言うと、吸うときも吐くときも酸素を供給できるというわけです。

「鬼滅の刃」の柱も真っ青になるようなすごい呼吸法の使い手だったんですね。

 

ちなみにティラノサウルスなどの巨大な獣脚類(肉食恐竜)も気嚢を持っていたとされています。やはり巨大化のためには気嚢は必須のようです。

気嚢は現在の鳥類も使っているシステムです。空気が薄くなる高いところでも効率的に呼吸ができるように呼吸を効率化したんですね。

 

体温の放熱システムをつくらないといけない

巨大化すると体温を逃がすのが難しくなります。

 

なぜなら、体積が増えると体積に対する空気に触れる表面積の比率が低くなり、体温が冷めにくくなるからです。

これは風呂とコーヒーカップを思い浮かべると分かりやすいです。風呂に溜めたお湯とコーヒーカップに入っているコーヒーでは、冷めやすいのはコーヒーです。

コーヒーは空気に触れている面が冷めると、下もどんどん冷えていきます。対して風呂は空気に触れている表面が冷めても、全体の体積が大きいのでなかなか全体が冷えません。

 

竜脚類も体積が大きいので、なかなか全体の体温が下がらなかったと考えられています。

生物が生きていられるのは体温45度までと言われています。なぜなら、45度を超えると体のタンパク質である酵素が働かなくなるからです。

生きていくためには体がオーバーヒートしないように、冷却システムが必要です。

 

実は体温を逃がすときにも、またまた気嚢が役に立つのです。気嚢は内臓の間に入り込んでいるので、気嚢に入ってきた冷たい空気が内臓を冷やしてくれるのです。

外側は空気に触れることで冷めていき、内側は気嚢に取り入れた空気が間接的に冷やしてくれるというわけですね。

 

まとめ

というわけで、竜脚類が大きくなれたのはいろんな意味で気嚢様のおかげなんですねー。

様々な条件をクリアし、地球上で最大となった竜脚類の体は、「生命の最高の発明である」と言えるのではないでしょうか。

 

同じく気嚢を持っている現在の鳥類もまた、巨大化の可能性を秘めているのではないでしょうかね?翼を生やしたまま、恐竜のフォルムに近づけばもうドラゴンですね。

まぁ巨大化すると自由に飛べなくなるので、陸に降り立つことになるでしょうし、陸で過ごすようになれば翼は退化するのでやっぱりドラゴンは無理か。

 

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