学校で役に立ちそうにもない知識を学ぶ意味が分からない
勉強や読書が嫌い
将来は普通のことじゃなくてクリエイティブなことがしたい
今回は、誰もが一度は疑問を抱くけど大人は誰も答えてくれない「学校の勉強をする意味」について考えてみました。
「役に立たなさそうな知識も、クリエイティブな仕事をする上では欠かせないんだよ~」というお話です。
※クリエイティブな仕事:発想力を活かして新しいことを考える仕事。キャラクターを考えたり、曲を作ったり、アイデアを企画したりなど。
あなたの発想力は?この謎が解ける?
急で申し訳ないのですが、ある謎解きをしてもらおうと思います。
「カール・ドゥンカーの課題」という認知心理学の分野で非常に有名な課題です。
- あなたは医師で、胃に悪性の腫瘍がある患者を担当している。
- 手術は不可能だが、腫瘍を退治しなければ患者は死亡する。その腫瘍を破壊できるある放射線がある。
- もし、放射線が十分な強さで腫瘍に到達したら、腫瘍を破壊できる。しかし、その強さだと、放射線が通過する部分にある健康な細胞も破壊される。
- 逆に放射線の強さが不十分だと、健康な細胞に被害はないが、腫瘍への効果もない。
- さて、腫瘍を放射線で破壊して、同時に健康な細胞の破壊を避けるためには、どんな方法を用いればよいか
少しの間考えてみてください。
ムズムズすると思いますが、考えても分からなかった方は、ちょっと別のエピソードを見てみましょう。
- 昔、ある国の将軍が、残忍な独裁者から土地の中心部に位置する要塞を奪おうとしていた。
- すべての兵士をその要塞に同時に到着させることができれば、問題なくその要塞を奪える。
- 要塞からは、多くの道が延びていた。しかし、道には地雷がばら撒かれていたので、少人数のグループでなければどの道であってもうまく進めそうになかった。
- 将軍は計画を思いついた。兵士を少人数のグループに分け、各グループが別々の道を通って要塞に向かう。兵士たちは時計を合わせて、別々の道を通ってきても同時刻に要塞に到着するようにする。
- 計画はうまくいき、将軍は要塞を占拠し、独裁者を追放した
どうでしょうか?「この将軍頭いいなぁ」って感じですかね。
もうひとつだけ面白いエピソードを紹介します。
- 小さな町の消防署長が薪小屋の火災の現場に到着した。早く消し止めなければ、近くの家屋に火が 燃え広がってしまう。
- 近くに消火栓はなかったが、湖がすぐ近くだったので水がたくさんあった。すでに近所の人たちが何十人も集まってバケツリレーで水を汲んでは小屋に水をかけていた。しかし効果は全くなかった。
- ここで消防署長は驚くべき行動をとった。みんなに水をかけるのを止めさせて、全員に湖に行かせて バケツで水を汲んでもらった。
- 全員が戻ってくると小屋の周りを取り囲むように並ばせ 、一斉に水をかけた
- 火はすぐには落ち着き、やがて鎮火した
どうでしょうか?「消防署長頭いいなぁ」って感じですね。
さて、そろそろ腫瘍を破壊するアイデアが浮かんできましたか?
まだピンと来ていない方は、要塞を陥落させたエピソードと、火事を鎮火したエピソードをヒントにもう一度考えてみてください。
【答え合わせ】一見関係のない知識がアイデアを生む
さて、そろそろ課題の答えを言いましょう。
答えは「複数の弱い光線を様々な方向から腫瘍に当てる」です。
こうすることで健康な細胞を傷つけず、腫瘍だけを破壊することができます。
「自力で正解できたよ」という方は素晴らしい。僕はまったく分かりませんでした。
「正解できたよ」という方のなかには、要塞のエピソードや火事のエピソードを知ってから思いついた方もいると思います。
そうなんです。将軍が兵士を分散させて要塞で合流させたのと同じだし、消防署長が近所の人たちを薪小屋の周囲に並ばせて一斉にバケツの水をかけたのと同じ仕組みで解決できますね。
つまり、一見関係が無さそうなエピソードが、問題解決に役だったということです。
もっと言うと、役に立ちそうにない知識であっても、思いもよらないアイデアをもたらしてくれる可能性があると言えます。
知識を活用しようとする姿勢が大事
幅広い知識を持っていれば、それだけ発想が広がりやすくなります。
ですから、知識を他の分野に「転用」しようとする姿勢が大事なのです。
ドゥンカーの放射線問題を解いてもらった実験では、正解率の推移は以下のようになります。
- ドゥンカーの放射線問題を最初の段階で溶ける人はわずか10%ほど
- 要塞の話を聞くと約30%が正解し、さらに火事の話を聞けば約50%の人たちが正解する
- 要塞の話と火事の話を聞いた後、「放射線の問題解決に活用してみて!」と言われると約80%の人がひらめきます。
逆に言えば、要塞の話と火事の話を聞いた後でも50%の人は閃かないのです。
閃かないのはエピソードを問題解決に転用しようとしていないからです。「学校の勉強なんて何の役に立つの?」と言っている人と似ています。
せっかく知識があっても、活用しようという姿勢がなければ、実際に役立つことはないと言えるでしょう。
あらゆる知識で遊べ!「アナロジー思考」
今取り組んでもらった謎解きは、「アナロジー思考」を体験してもらうためのものです。
アナロジー思考とは、表面上ではほとんど別物に見えるものの間に、共通点を見つけて応用することです。
アナロジー思考を使いこなせば、あらゆる知識をアイデアに変えることができます。
今回、要塞や消防長のエピソードを応用して、腫瘍を破壊するアイデアが閃いたように。
「抽象化」で共通点を見つけよう
共通点を見つけるときには、「抽象化」というテクニックが重要になります。
抽象化とは、概念の仕組みを言葉に直すことです。
ピンと来ないですよね。例として、今回取り組んでもらった「カール・ドゥンカーの課題」の思考のプロセスをみてみましょう。
抽象化というのがどんなテクニックなのか分かっていただけたでしょうか。
「知識を抽象化」することで、他の分野に応用し、新しいアイデアを得ることができるのです。
学校の教科書もアイデアに変わる!
「確かに教養がある人ほどアイデアも得やすいんだね。でも学校で習う知識も役立つの?」と思われましたか?
役立ちます。
その一例と言えるのが、「バイオミメティクス(生物模倣)」です。
バイオミメティクスとは、動物や植物などが持つ特徴を様々な研究に活かす手法のことです。
例えば、日東電工という会社はヤモリの足の裏からヒントを得た接着テープ「ヤモリテープ」を開発しています。
ヤモリが垂直の壁にくっついていられる理由は「ファンデルワールス力」という力が働いているからです。
ファンデルワールス力とは、原子や分子の力の間に働く小さな力のことです。ファンデルワールス力は物体との距離が近いほど強く働きます。
実はヤモリの足の裏にはめちゃくちゃ小さい毛がびっしりと生えています。小さい毛が壁の凹凸と噛み合うと、ファンデルワールス力が働き壁にひっついていられるのです。
僕たちが普段目にしているアイデアも、一見関係なさそうな知識が原点となっているのです。
ファンデルワールス力自体は、学校の物理の授業で習った人もいるでしょう。まさにどんな知識でも役立つと言えます。
知識で遊ぶノート術
知識を増やすことは解決策を増やすことです。
幅広い知識を身につけて、抽象化しておくと、あらゆる問題のヒントとして使える武器になります。そこでノートを活用しましょう。
日常は宝の山!?アイデアを書き貯めろ!
ここまで、幅広い知識を得ていろんなことに応用することが大事だよ~とお伝えしてきました。
しかし、「自分には専門知識なんてないし、気の利いたエピソードも知らない」とお困りの方もいるでしょう。知識を得たいなら読書をするのが最善策ですが、もっと手軽な方法もあります。
それは、メモです。日常の些細な気づきでもアイデアに変わることがあります。
例えば、テレビを見ていて「温泉に入るカピバラがかわいい」と思ったとしましょう。であればノートにメモしておきます
次にメモを抽象化します。抽象化とは、「概念の仕組みを言葉に直すこと」でしたね。
「なぜ温泉に入るカピバラはかわいいのか?」と考えてみましょう。
抽象化の例はこんな↓感じです。
そして、抽象化したらアイデアに転用させてみましょう。
あくまで一例ですが、こんな↓感じです。
例えば、スポーツジムとペットショップを組み合わせてみたらどうか?
ルームランナーで走っているときに、ハムスターが回し車をカタカタ走っている光景や、犬が人間の真似をしてルームランナーで走っている光景が見れたら癒されるのではないか?
実現できるかどうかは別として一応面白そうなアイデアは出てきましたね。
思いつく快感を味わえ!
役に立たなさそうな知識にしても、日常の些細な気づきにしても、深めて考えていけば優れたアイデアに変身するのです。
アイデアを書き貯めておけば、将来企画系の仕事で大活躍間違いなしです。起業することだって夢ではありません。
何より新しいことを考えることはそれ自体楽しいです。「いいこと思いついた!」という快感を味わってほしいです。
「なんで勉強するかって?そりゃ、アイデアを得るためだよ。なんでアイデアを得るかって?そりゃ、アイデアを思いつくことが快感だからだよ」と言えるようになれば、強いです。
【今日のクエスト】ノートを用意しよう。本を読んで「面白いな」と思った知識や、日常の気づきをメモしよう
知識で遊ぶアナロジー思考を実践してみましょう。
- 知識を集める:本を読んで「面白いな」と思った知識や、日常の気づきをメモ
- 抽象化する:仕組みを言葉で表す
- 転用する:他のアイデアに活かす
1つでいいからメモして自分なりのアイデアを考えてみましょう。
【獲得経験値】
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