缶ビール2杯でひらめき力が16%高まる!?

探究力

缶ビール2杯でひらめき力が16%高まる!?

2012年のイリノイ大学の研究によると、適度な飲酒によってひらめき力が高まることが示されています。

理由としては、脳のワーキングメモリの機能を適度に低下させることができるからです。普段、頭をきびきびと働かせている時にはワーキングメモリの働きによって必要な情報が取捨選択されています。しかし、ひらめきを発揮するときには関係なさそうな情報でも役立つことがあります

お酒を飲むことワーキングメモリの働きが緩くなるので、普段は気づかないような情報を活用できるのだと考えられます。

 

根拠となる研究
Uncorking the muse: alcohol intoxication facilitates creative problem solving - PubMed
That alcohol provides a benefit to creative processes has long been assumed by popular culture, but to date has not been tested. The current experiment tested t...
  • 被験者:21~30歳の40名(スクリーニング前)
  • 内容:適度な飲酒によって連想力が上がるかどうかを調べた

 

介入

被験者に対して、以下の項目の測定を行った。

  1. ワーキングメモリ:「オペレーションスパンテスト(OSpan)」を実施してワーキングメモリの機能を測定。
  2. クリエイティブ思考:「遠隔連想テスト(RAT)」を実施した。なお、RATは様々な難易度をカバーした問題を15項目実施した。
  3. ひらめき度合い:それぞれのRATの問題をこなした後に、被験者に「問題の解答をどのように思いついたか」を尋ね、1から7の7段階で主観的に評価してもらった
ロジ
ロジ

「ひらめき度合い」とはクリエイティブ思考の問題をどのように思いついたかを数値化するものです。突然のひらめきで出した解答なら「7」、分析的に出した解答なら「1」で評価してもらいました。

 

「途中までは分析的に考えたけど、半分はひらめき」といったケースの場合、ひらめきの度合いによって1~7の間の数値で評価してもらいました。

 

 

被験者をランダムに2つのグループに分けて別々の介入を行って比較。

  1. お酒を飲んで取り組むグループ
  2. お酒を飲まずに取り組むグループ

なお、お酒を飲むグループに関しては以下の流れで介入を行った。

  1. まず1度目のOSpanを実施
  2. ウォッカ・クランベリー(ウォッカ:ジュース=1:3の比率)を体重1kgに対して0.88gの容量で飲んでもらった
  3. 気分よく酔っぱらったところで、2度目のOSpanを実施
  4. その後、RATを実施

お酒を飲まないグループに関しても、ウォッカ・クランベリーを飲むところ以外は基本的に同じ流れで行った。

ロジ
ロジ

なお、お酒を飲んだ後の血中アルコール濃度を計測したところ平均して0.075%だったそうです。

 

結果

RATのスコアとひらめきの度合いに関して、お酒を飲まなかったグループと比べて、お酒を飲んだグループには以下の傾向が見られた。

  • 平均的に3.7秒ほど短い時間で回答していた
  • 正解した解答数は全体的に16%多かった
  • 分析的な解答では有意な差はなかったものの、よりひらめきが冴えた解答が多かった。ひらめき度合いの主観的な評価が約19%高かった

 

  • OSpanに関して、2度のOSpanで、お酒を飲んでいないグループはスコアが伸びたのに対して、お酒を飲んだグループはスコアが有意に変わらなかった
ロジ
ロジ

通常はOSpanを2回行うと、1度目のテストが練習となるため、2度目のスコアは上がるものです。しかし、お酒を飲んだグループでは有意なスコアの上昇が見られなかったため、お酒を飲んだことによってワーキングメモリの性能はきちんと落ちていると判断してよさそうです。

考察

つまり、お酒を適度に飲むことによってより早く、質が高いアイデアを出すことができそうです。また、分析的に考えて答えを導くアプローチというより、ビビッと思いつく頻度が増えるようです。

 

ですので、ひらめきを得たい人はお酒を飲んでからアイデアを出してみるといいでしょう。例えば、新しいビジネスアイデアを考えてみる、デザインを考えてみる、ブログのネタを考えてみる…といったタスクの際にお酒の力を借りてみるのです。

 

真っ先に思いつく考えにとらわれず発想を広げる

ただ、「研究で使われたのって単語の連想テストでしょ?そんなの実用性あるの?」と思われる方もいるでしょう。しかし、研究で使われた単語の連想テストの本質は、真っ先に思いつく考えにとらわれず発想を広げる能力を測定できていることです。

 

実際に、ビジネスや科学の世界でも、畑違いの分野の概念から新しいアイデアを思いつくことはよくあります。

だからこそ、論理的思考をあえて緩めてあげることが重要なのです。なぜなら、普段の論理的な頭で考えてしまうと、真っ先に思い浮かぶありがちな考えにしがみついてしまうからです。あえて頭の回転を緩めることによって、関係がなさそうな別のジャンルの知識や過去の経験などが思わぬアイデアを生んでくれるかもしれません。

 

飲む量は缶ビール1~2杯

飲む量は缶ビールなら1~2杯が目安です。

というのも、研究では被験者がアルコールを摂取した後の平均血中アルコール濃度は0.075%でした。だいたい体重60キロの場合、アルコール度数5%の缶ビール350mlで血中アルコール濃度0.03%に達すると言われています。実験と同じぐらいの具合になろうと思えば缶ビール1本から2本ぐらいが適切な量と考えられます。

それ以上飲んでしまうと眠くなってしまったり、頭の回転が落ち過ぎてしまったりなどのデメリットの方が多くなります。ちなみに日本の酒気帯び運転の法的制限値は0.03%です。お酒を1缶飲んだ時点で、アウトなので、実践する際は気をつけてください。

 

コメント