繊細さは才能だった!HSPにはどんな性格の人が多い?

探究力

ちょっとした音や人の表情、まわりの空気にとても敏感で、疲れてしまうことはありませんか?

でも、それは決して悪いことではありません。実は、繊細さを持つ人は、普通の人よりも美しいものに感動したり、すてきなアイデアを生み出したりする力を持っています。

実際に、2019年に発表されたロンドン大学クイーンメアリー校などの研究によると、感受性が高く敏感な性質を持っている人は、不安になりやすい性格であるものの、新しいことに対する好奇心が強く、美的センスに優れることがわかっています。

 

今回は、HSP(=とても敏感な人)がどんな性格や感情を持ちやすいのか、そしてその魅力的な特徴についてわかりやすく紹介します。

『ただの気にしすぎ』ではない自分の性質に、自信が持てるようになるはずです。

 

HSP気質は繊細な芸術家肌

SPSやHSPとは

SPS(Highly Sensitive Person)とは、「感覚処理感受性」のことです。

感覚処理感受性は、外からの刺激にとても敏感で、物事を深く考え、感情も大きく動く性質のことです。周りの環境や出来事に対してどれくらい敏感に反応するかを表す特性です。

 

感覚処理感受性が高い人のことを「HSP(=周りの刺激にとても敏感な人、Highly Sensitive Person)」と呼びます。それぞれ言葉の違いをまとめると以下のようになります。

  • SPS:感覚処理感受性という特性
  • HSP:その特性を持つ人

 

感覚処理感受性が高い人は、周りのささいな刺激に疲れてしまい、考えすぎてしまうことも多いです。しかし、普通の人よりも優れた特性も持ち合わせています。

 

不安になりやすいが、美的センスに優れる

2019年に発表されたロンドン大学クイーンメアリー校などの研究によると、感受性が高く敏感な性質を持っている人は、不安になりやすい性格であるものの、新しいことに対する好奇心が強く、美的センスに優れることがわかっています。

ScienceDirect

 

内容

感覚処理感受性(=刺激にどれくらい敏感か)と、性格や感情の関係を、過去の多くの研究結果を集めて調べました。特に、子どもと大人でどんな違いがあるのかも見ました。

 

また、この研究では感覚処理感受性を細かい3つの特徴に分けて調べました。

  1. 美しいものに感動しやすい(=音楽や芸術に心を動かされやすい)
  2. 刺激に圧倒されやすい(=いろいろなことが一度に起きると疲れやすい)
  3. 小さな刺激にも強く反応する(=大きな音やまぶしい光にびっくりしやすい)

 

結果
  • 感覚処理感受性は、他の性格や感情と少しだけ関係があるけれど、かなり独立した特徴だった。
  • 子どもにおいて、
    • 感覚処理感受性が高いほど神経症傾向(=不安になりやすい)が高い
    • ネガティブな気持ちもポジティブな気持ちもどちらも持ちやすい
  • 大人において、
    • 感覚処理感受性が高いほど神経症傾向(=不安になりやすい)が高い
    • 開放性(=新しいことに興味を持ちやすい)もやや高い
    • ネガティブな気持ちを持ちやすい

 

また、感覚処理感受性のより細かい3つの特徴については以下のことが分かりました。

  • 子どもにおいて、
    • 美しいものに感動しやすいほど、外向性が高くポジティブ感情を持ちやすい。
    • 刺激に圧倒されやすく、小さな刺激に反応しやすいほど、外向性が低く神経症傾向が高い。ネガティブ感情を持ちやすい。
  • 大人において、
    • 美しいものに感動しやすいほど開放性が高い。神経症傾向も高い。ポジティブな気持ちもネガティブな気持ちもやや持ちやすい。
    • 刺激に圧倒されやすく、小さな刺激に反応しやすいほど、神経症傾向が高く、ネガティブな気持ちを感じやすい

 

対象 特性 開放性 外向性 神経症傾向 ポジティブ感情 ネガティブ感情
子ども SPS(総合) 高い 高い 高い
  >感動しやすい 高い 高い
  >圧倒されやすい 低い 高い 高い
  >反応しやすい

低い 高い 高い
大人 SPS(総合) やや高い 高い 高い
  >感動しやすい 高い 高い やや高い やや高い
  >圧倒されやすい 高い 高い
  >反応しやすい 高い 高い
※子どもと大人で違った傾向を持つものは太字で表記しています。

 

考察

やはり、敏感な感性を持っているほど不安になりやすい性格の持ち主でネガティブな気持ちも抱きやすいことがわかります。ただ、子どもの時にはネガティブな気持ちだけでなくポジティブな気持ちにもつながりやすいようです。なぜなら、敏感な感性を持つ人は美しいものに対しての感性を持ち、子どものうちは美しさへの感性が前向きな気持ちにつながりやすいからでしょう。

 

美しいものに対して感動しやすい特性は子どもと大人でそれぞれ違った傾向が見られました。

感動しやすい子どもは外向性やポジティブな感情と結びつきやすいようです。つまり、子どもの間は美的感覚が外の世界への関心に結びつきやすいと言えます。例えば、自分が好きな絵を描いたり、ものを作ったりするために、外に出かけたり友達と交流したりなどです。

 

それに対して、感動しやすい大人は好奇心やポジティブな感情と結びつきやすいようです。しかし、不安な気持ちやネガティブな感情と結びつきやすいのがポイントです。つまり、大人になってからは、美的感覚が強いほど作品に対しての好奇心を持ちやすいですが、気持ちが落ち込む経験も多いと言えます。

例えば、ドロドロした小説を読んで気持ちがひどく落ち込んでしまったり、バッドエンドのドラマを見て自分の過去と重ね合わせてしまったりなどです。

 

【まとめ】

「HSP(とても敏感な人)は、不安や疲れを感じやすい分、人よりも深く考えたり、強く感動したりできる力を持っています。

それは、あなたの大切な個性であり、長所でもあります。もし今、敏感すぎて生きづらいと感じているなら、「自分は美しいものに気づける特別な力がある」と少しだけ思ってみてください。これからも、そうした感性を大切にしながら、自分に合った環境や生き方を見つけていけるといいですね。

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