「この仕事、自分に向いてる?」よりも大事なことがあります。
それは、「その仕事を選ぶ人って、どんな性格が多いんだろう?」という視点です。
実は、2024年に発表されたNTTアクセスサービスシステム研究所や京都大学の研究によると、ある性格の人たちが、どんな仕事を選びやすいかがわかってきています。もちろん、「選びやすい=向いている」とは限りません。
でも、その仕事に多い性格を知ることは、とても役立ちます。
なぜなら、人は自分と同じような性格や趣味を持つ相手に、自然と親しみを感じやすいからです。
その職場に多い性格タイプを知っておけば、面接でも「話が合いそう」と思ってもらいやすくなり、就職後も人間関係がスムーズになりやすいのです。
このブログでは、あなたの性格に近い人たちがどんな仕事を選びやすいか、そしてその情報をどう活かしてキャリア選びや面接アピールに使うかを、わかりやすく紹介します。
外向性・開放性・協調性の3つの性格で選ぶ職業がわかる!
2024年に発表されたNTTアクセスサービスシステム研究所や京都大学の研究によると、人がどんな仕事を好むか」は性格と関係していることが分かってきました。
特に「新しいことに興味を持ちやすい性格(=開放性)」「人と話すのが好きな性格(=外向性)」「人と協力するのが得意な性格(=協調性)」の3つが、どんな仕事を好むかに強く関わっていることが、大勢の人のデータから明らかになりました。
内容
たくさんの職業の中から、人が「やってみたい」と感じる仕事の傾向を分析しました。その結果、14種類の「仕事の好みパターン」が見つかりました。
- 機械的:機械や装置の設計、組立、点検、修理、交換など
- 手順的身体作業:郵便や荷物の配達、電気ガスメーターの検針、建物の清掃などのルーティン作業
- 手順的作業:原材料の処理、調理、完成品の検査など、手順に従う作業
- サービス:観光案内や商品の販売などのカスタマーサービス
- 芸術的:絵画、ポスター、Webページ、インテリア、広告文、演劇作品のデザイン制作
- 知的:高度な専門知識を要する仕事(法務、会社方針の設定、医療診断治療など)
- 援助的:医療看護、介護施設や幼稚園でのケア補助など
- 手工芸的:着物や衣服、木製革製の手作り品の制作など
- 肉体的:バストラック列車船などの運転を含む肉体作業
- 事務的:行政手続き、書類の準備整理収集などの事務作業
- 販売:営業や販売活動
- 執筆:記事の執筆編集インタビューなど
- 教育:小学校〜高校の教育活動
- 調理:材料からの調理、味付け盛り付け
そして、それぞれのパターンと人の性格との関係を調べたところ、「どんな性格の人が、どんな仕事を好むのか」がはっきり見えてきました。
結果
分類 | 要因名 | 職業の例 | 選びやすい性格 |
---|---|---|---|
手職人系 | 機械的 | 機械や装置の設計、組立、点検、修理、交換など | 開放性が高い、勤勉性が低い
|
肉体的 | バストラック列車船などの運転を含む肉体作業 | ||
手工芸的 | 着物や衣服、木製革製の手作り品の制作など | ||
頭脳系 | 芸術的 | 絵画、ポスター、Webページ、インテリア、広告文、演劇作品のデザイン制作 | 開放性が高い、外向性が高い |
知的 | 高度な専門知識を要する仕事(法務、会社方針の設定、医療診断治療など) | ||
執筆 | 記事の執筆編集インタビューなど | ||
調理 | 材料からの調理、味付け盛り付け | ||
ルーティン系 | 手順的身体 | 郵便や荷物の配達、電気ガスメーターの検針、建物の清掃などのルーティン作業 | 協調性が高い、外向性が低い、勤勉性が低い
|
手順的作業 | 原材料の処理、調理、完成品の検査など、手順に従う作業 | 協調性が高い、外向性が低い
|
|
事務系 | 事務的 | 行政手続き、書類の準備整理収集などの事務作業 | 協調性が高い、開放性が高い |
援助系 | 援助的 | 医療看護、介護施設や幼稚園でのケア補助など | 外向性が高い、協調性が高い |
対人系 | 販売 | 営業や販売活動 | 外向性が高い、開放性が高い |
サービス | 観光案内や商品の販売などのカスタマーサービス | ||
教育 | 小学校〜高校の教育活動 |
考察
- 新しいことを知るのが好きな人(=開放性が高い人)は、頭を使う仕事や創作的な仕事を好む傾向があります。たとえば、研究、アート、文章を書く仕事などです。
- 人と話すのが得意な人(=外向性が高い人)は、教育や営業、介護など、コミュニケーションが大切な仕事に向いています。
- 人と協力してうまくやるのが得意な人(=協調性が高い人)は、決まった手順にそって進める仕事に合っているようです。たとえば、事務や工場の作業などです。
この研究で項目として挙げられた具体的な職業のカテゴリーは以下の通りです。分かりやすいように、以下の六つのカテゴリーで職業して行きたいと思います。
- 職人系(機械的、肉体的、手工業的):開放性が高く、勤勉性が低い人が選びやすい
- 頭脳系(芸術的、知的、執筆、調理):開放性が高く、次に外向性が高い人が選びやすい
- ルーティン系(手順的身体、手順的作業):協調性が高く、外向性が低い人が選びやすい
- 事務系(事務的):協調性が高く、開放性が高い人が選びやすい
- 援助系(援助的):外向性が高く、協調性が高い人が選びやすい
- 対人系(販売、サービス、教育):外向性が高く、次に開放性が高い人が選びやすい
【実践】性格から、自分に合った職業を見つける方法
ステップ1:自分の性格タイプをざっくり診断しよう
性格は細かく見るといろんな種類がありますが、ここでは特に「外向性(=人と関わるのが好きか)」「開放性(=新しいことが好きか)」「協調性(=人と協力できるか)」「勤勉性(=コツコツ物事に取り組めるか)」の4つに注目します。
以下の質問に、あてはまるかどうかでチェックしてみましょう。※当てはまる数が多い項目ほど、その性格が高い可能性があります。
【外向性のチェック】
- 人と話すのが好き
- 知らない人ともわりとすぐ打ち解けられる
- イベントや集まりに参加するのが楽しい
- 思ったことをすぐ言葉にできる
【開放性のチェック】
- 知らないことを知るのが好き
- アイデアを出したり、工夫したりするのが得意
- 旅行や新しい場所に行くのがワクワクする
- 芸術や音楽、本などに興味がある
【協調性のチェック】
- 相手の気持ちを考えて動くのが得意
- もめごとを避けるようにしている
- 誰かのサポートをするのが好き
- チームでの作業に安心感がある
【勤勉性のチェック】
- 締切や時間を守るのが得意
- 一度決めたことは最後までやりとげたいと思う
- 机の上やファイルの中をきちんと整理しておくのが好き
- 人から「まじめだね」と言われたことがある
ステップ2:自分の性格に合った仕事を見つけよう
以下の仕事リストをもとに、さっきチェックした性格の特徴から、自分に合いそうな職業のタイプを見てみましょう。
- リストには、研究でピックアップされた仕事(太字)だけでなく、筆者が独自に追加したものを含みます。
- 複数のカテゴリーに属する職業もあります。
- 例えば、ステップ1の診断で開放性が一番高くその次に外向性が高い人なら「頭脳系」の仕事を見てみるのがおすすめです。
手職人系(開放性が高く、勤勉性が低い人におすすめ)
→ 黙々と作る、修理する。物の仕組みに興味があり、手先を動かすのが好きな人向け。
- 自転車修理工
- 自動車整備士
- 航空整備士
- 機械系技術者
- 電気系技術者
- 鉄道整備士
- 靴職人
- 木工職人
- 仕立て屋(和服)
-
クリーニング職人(染み抜きなど)
-
水道管修理工
-
洋服リフォーム職人
-
路線バス運転手
-
鉄道運転士
-
ダンプ運転手
-
トラック運転手
-
クレーン運転手
- 時計修理工
- 自転車フレーム職人
- 電子基板組立スタッフ
- 冷蔵庫やエアコンの据付工
- ドローン整備士
- 鍛冶職人(工芸品の刃物など)
- ボイラー技士
- 機械加工オペレーター
- 建設機械のメンテナンス作業員
頭脳系(開放性と外向性が高い人におすすめ)
→ 知的な刺激が好きで、人とのやり取りも厭わないタイプが選びやすい。
- 医師
- 弁護士
- 研究者
- 企業経営者
- 政治家
- グラフィックデザイナー
- Webデザイナー
- イラストレーター
-
コピーライター
-
ポスター制作者
- 雑誌記者
- 書籍編集者
- 新聞記者
- 中華料理人
- 洋食シェフ
- 和食料理人
- UX/UIデザイナー
- サイエンスライター
- データサイエンティスト
- 科学教育系YouTuber
- 建築家
- プロダクトプランナー(企画職)
- ゲームディレクター
- フードコーディネーター
- ラジオパーソナリティ
- 料理研究家
ルーティン系(協調性が高く、外向性が低い人におすすめ)
→ 静かで地道な仕事が得意。安定した作業環境を求める人にぴったり。
- 郵便配達員
- 清掃員
- 訪問介護スタッフ(ホームヘルパー)
- 建設作業員
- 駐車場管理人
-
加工食品調理員
-
飲食店の仕込みスタッフ
-
社員食堂の調理スタッフ
-
給食調理員
-
惣菜製造スタッフ
- 工場の品質検査スタッフ
- 検品スタッフ(倉庫)
- テスター(ゲーム製品バグチェック)
- 市役所の文書整理補助
- 会計伝票入力専門スタッフ
- 植物の水やり担当(園芸施設など)
- 郵便仕分けスタッフ
- 交通量調査スタッフ
事務系(協調性と開放性が高い人におすすめ)
→ データ整理などに加えて、少しだけ創意工夫が必要な事務系作業が選びやすい。
-
郵便局窓口スタッフ
-
銀行窓口スタッフ
-
受付係
-
一般事務職
- 図書館司書
- 医療事務(レセプト処理)
- 経理アシスタント
- 広報事務(SNS投稿や簡単なデザインあり)
- 総務スタッフ(備品管理社内イベント企画など)
- 通販会社の受注処理スタッフ
- 不動産管理事務
- 翻訳補助スタッフ(定型文中心)
- 生協窓口スタッフ(注文受付データ入力)
- データ整理、書類作成、スケジュール管理
援助系(外向性と協調性が高い人におすすめ)
→ 人の役に立つことが好きな、社交的で気配り上手な人向け。
-
看護師
-
保育士
-
介護福祉士
- 福祉用具アドバイザー
- 小児病棟のプレイリーダー
- 発達支援教室のスタッフ
- 学童保育スタッフ
- スクールソーシャルワーカー
- 訪問入浴サービススタッフ
- 障害者スポーツのサポーター
- ペット介護士(老犬ホームなど)
- 病院の案内ナビゲーター役
- 訪問介護スタッフ(ホームヘルパー)
- 幼稚園/福祉施設のスタッフ
対人系(外向性と開放性が高い人におすすめ)
→ 新しい人と関わることや、柔軟な対応が得意なタイプにぴったり。
-
書店店員
-
スーパー店員
-
百貨店の販売員
-
不動産営業員
-
高校教師
-
中学校教師
-
小学校教師
-
ファストフード店スタッフ
-
コンビニスタッフ
-
スーパーのレジ係
-
居酒屋スタッフ
-
バーテンダー
- ブライダルプランナー
- 旅行カウンセラー(個人旅行の提案)
- イベントMC司会者
- カスタマーサポート(チャット対応含む)
- 高級時計宝飾品の販売員
- フリースクールのスタッフ
- 地域おこし協力隊
- 外国人向けツアーガイド
- スポーツジムのインストラクター
- マーケティングアシスタント(展示会での説明など)
- 接客カウンセラー
ステップ3:職場の雰囲気を想像して、アピールを考えてみよう
気になった仕事が見つかったら、「その職場にはどんな人が多いのか?」を考えてみましょう。そのうえで、「その仕事で、自分のどんな性格や経験が役に立つか」をアピールすると、面接や志望動機でぐっと説得力が出てきます。
以下に具体例を挙げてみました。
手職人系:自動車整備士
多そうな性格:
- 開放性が高い
- 勤勉性は高くないことも
- 少し性格に癖があるか
職場の雰囲気:
- 黙々と作業に集中する人が多い
- マニュアルよりも感覚や経験を重視する場面もある
- 話し好きというより、職人肌の人が多くものづくりに興味がある印象
効果的なアピール:
→観察力や試行錯誤の経験を語る
アピール例:
「壊れた古い時計や家電を分解して直すのが好きで、原因を探す力が自然と身につきました。自動車整備でも、トラブルの原因を丁寧に突き止める姿勢を活かしたいです。」
頭脳系:UX/UIデザイナー
多そうな性格:
- 開放性が高い
- 外向性も高め
- 発想力と柔軟さが求められる
職場の雰囲気:
- 自由な発言が歓迎される
- 新しいツールやトレンドに敏感な人が多い
- チーム内でのやり取りや発表も多め
効果的なアピール:
→感性+伝える力の両方をアピール
アピール例:
「日々SNSでデザインの事例を集めて、自分なりに分析しています。インターンでは自分のデザイン意図をしっかり言語化する練習を重ねてきたので、今後もチームで意見を交わしながらより良いUIを作っていきたいです。」
ルーティン系:品質検査スタッフ
多そうな性格:
- 協調性が高い
- 外向性は低め
- 内向的で地道にコツコツできる人
職場の雰囲気:
- 安定志向で真面目な人が多い
- 変化よりも正確さを重視
- 無理に話さず、自分の仕事に集中する雰囲気
効果的なアピール:
→丁寧さや観察力、継続力を示す
アピール例:
「高校時代に部活動の備品点検を担当していて、細かいミスを防ぐためのチェック表を自分で作っていました。品質検査でも同じように、小さな異変を見逃さない姿勢を活かしていきたいです。」
事務系:医療事務
多そうな性格:
- 協調性が高い
- 開放性もやや高め
- 物腰が柔らかく勉強にも熱心
職場の雰囲気:
- 正確な書類処理が求められる
- 患者さんや医師と丁寧に接する場面もある
- 調整力や気遣いが重視される
効果的なアピール:
→丁寧な対応+情報整理力をアピール
アピール例:
「アルバイトで受付業務を経験し、患者さんへの声かけや書類の準備を丁寧に行うことを意識していました。医療事務でも相手に安心感を与えつつ、正確な情報処理を心がけたいと思います。」
援助系:介護福祉士
多そうな性格:
- 外向性と協調性がどちらも高い
- 明るくて気配りのある人が多い
職場の雰囲気:
- 利用者との信頼関係が最も大切
- 感情的な気配りや体力のある人が多い
- 連携プレーも多く、明るさが求められる
効果的なアピール:
→「人のために動ける」体験+継続的な関わりの姿勢
アピール例:
「祖母の介護を手伝っていた経験から、相手の立場で考え、必要なサポートを先回りする力がつきました。介護福祉士としても、言葉にならない思いをくみ取りながら寄り添っていきたいです。」
対人系:ブライダルプランナー
多そうな性格:
- 外向性と開放性が高い
- 明るくて新しいことに前向きな人が多い
職場の雰囲気:
- 明るい雰囲気で意見の主張が飛び交う
- トラブル対応力や柔軟な発想も求められる
- 人前での対応が多いので、雰囲気作りが得意な人が強い
効果的なアピール:
→対人の調整スキル+創造的な提案経験を語る
アピール例:
「学園祭の企画運営でリーダーを務め、参加者が感動する演出を考えるのが楽しかったです。ブライダルでも、お客様一人ひとりの思いに寄り添い、特別な時間を一緒に作っていきたいと思っています。」
【まとめ】
職業を選ぶとき、「やりたいこと」や「できそうなこと」だけで決めるのは少しもったいないかもしれません。
その仕事に、どんな性格の人が多いかという視点を加えるだけで、未来の職場にもっとフィットした選び方ができるようになります。
自分に似た性格の人が多い職場なら、話が合いやすく、自然と安心できる環境になるかもしれません。逆に、あえて違う性格の人が集まる職場を選べば、自分にない強みを学ぶチャンスにもなります。
どんな選び方でも、「自分らしさ」と「周りとの相性」を意識しておくことは、働きやすさにつながります。
このブログのステップをヒントに、あなたの性格と、職場の空気感がマッチする仕事を探してみてくださいね。
コメント