「完璧じゃなくても、大丈夫」──そう思えたとき、心がふっと軽くなるかもしれません。
テスト勉強、部活、SNS、趣味……がんばっているのに、「まだ足りない」「もっとやらなきゃ」と感じてしまうこと、ありませんか?それって、もしかすると「完璧主義」かもしれません。
実は、完璧主義には「頑張り屋さんタイプ」と「心配しすぎタイプ」の2つがあります。自分がどちらのタイプに近いのかを知ることで、どうすれば心がラクになるのかが見えてくるはずです。
- 簡単なチェック項目で自分がどちらの完璧主義なのか診断!
- 心配しすぎタイプの完璧主義は「未完成でも人の意見を聞く」を意識!
- 頑張り屋さんタイプの完璧主義は「他人のため」を意識することでこだわりを手放せる!
完璧主義には「心配型」と「努力型」の2種類が存在する!
完璧主義とは?
- 完璧主義的懸念:心配しすぎで不安が強いタイプの完璧主義(心配型)
- 完璧主義的努力:頑張りすぎるタイプの完璧主義(努力型)
完璧主義的懸念は、心配しすぎで不安が強いタイプの完璧主義です。
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「失敗がこわい」:少しの間違いでも「もうダメだ」と思ってしまう
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「自分の力を信じられない」:何をしても「きっとできてない」と不安になる
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「周りが自分に完璧を求めている気がする」:親や先生に「ちゃんとやれ!」と言われているように感じる
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「自分の理想と現実にギャップがある」:思ったとおりにできなくて落ちこむ
完璧主義的努力は、がんばり屋さんタイプの完璧主義です。
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「自分にすごく高い目標を立てる」
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「なんでも完璧にやりたいと思う」
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「やりとげたときにうれしくなる」
完璧主義的懸念のチェック項目
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ミスへの心配:「間違えたらどうしよう…」といつも思う
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行動への不安:「これで合ってるのかな?」と不安で動けない
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他人が求める完璧さ:「親や先生が自分に完璧を求めてる」と感じる
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理想とのギャップ:「もっとできるはずなのに!」と自分にガッカリする
完璧主義的努力のチェック項目
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自分に対して高い基準:「これくらいは当たり前でしょ」と思う
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自分の考えで完璧を目指す:「人に言われなくても、自分で完璧を目指す」
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高い目標を持つ:「誰よりも上を目指したい」
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すごさを追い求める:「一番になりたい、優れた人でいたい」
完璧主義的努力はまじめでコツコツタイプ。完璧主義的懸念は…
完璧主義に陥りやすいかどうかは自分の性格からでもわかります。
2019年に発表されたハインリッヒ・ハイネ大学などの研究によると完全主義と性格の関連性について調べられています。
結果
- 完全主義的懸念(=心配しすぎで不安が強いタイプの完璧主義)
を持ちやすい人は…- 神経症傾向(=不安になりやすい)が高い
- 外向性(=人と話すのが好きで活発)と協調性(=人と協力するのが得意)が低いこともある
- 勤勉性(=きっちり計画建てて動く)、と開放性(=新しいことに興味を持ちやすい)が低いこともある
- 完全主義的努力(=頑張りすぎるタイプの完璧主義)
を持ちやすい人は、- 勤勉性が高い
- 開放性・外向性が高いこともある
考察
- 「自分は不安になりやすく殻にこもりがちだ」という人は完璧主義的懸念に気をつけましょう
- 「自分は常に目標を高く持つタイプだ」という人は完璧主義的努力に気をつけましょう。
【実践①】「完璧じゃなくても、まずやってみる」練習
対象:失敗がこわくて行動できない、完璧主義的懸念タイプの人
ステップ1:わざと“完璧じゃないもの”を作ってみる
まずは「100点じゃなくてもいいや」と思って、完璧じゃないものを人に見せてみましょう。なぜなら、いきなり完璧なものを作ろうとするよりも、早めに失敗して周りの人の意見を聞いたほうがいい成果に結びつく場合もあります。
例:
- 資料は最初から完璧に仕上げず、ラフ版で同僚に相談
- 自身がない料理でも試作品と考えて出してみる
完璧じゃない状態でも人に見せて意見を聞く訓練をすることで、周りの人の目を気にして苦しくなってしまう癖を直せます。
ステップ2:それを人に見せて、意見を聞いてみる
「できあがってないけど、ちょっと見てみてくれる?」と、家族や友だちに見せてみましょう。完璧じゃなくても、思ったよりちゃんと伝わっていたり、役に立つことも多いはずです。
【実践②】「誰かのため」を意識して取り組む
対象:自分の理想にこだわりすぎてつらくなる、完璧主義的努力タイプの人
ステップ1:自分が作るものの“目的”を変えてみる
何かを書くとき、描くとき、作るとき、「自分が満足するか」じゃなくて「誰かが助かるか、分かりやすいか」を目標にしてみましょう。
- プレゼンや発表のとき、完璧なスライドではなく「聞き手がわかりやすい」ことを重視する:スライドのデザインにこだわりすぎず、内容をシンプルに。聞き手が「へえ、なるほど」と思ってくれればOKとする。
- 読書ノートを「まとめる」より「人に話すこと」を意識して読む:「本の内容をすべてメモに残さないと…」とがんばりすぎるのではく、「この本のなかで、人に伝えたい1つのポイント」を見つけることを目標にしてみる。
- 完璧なブログ記事より、「役に立つ一言」を届ける:すべての情報を集めた完全なブログを書こうとして、何時間もかけるのではなく、読んだ人がひとつでも持ち帰れるヒントがあるか?」を基準にしてみる。
ステップ2:自分が作ったものを人に伝えてみる
誰かが助かるか誰かにとって分かりやすいかと言う基準で作ったものを、実際に人に伝えてみましょう。実際に人のためになる感覚を養うことで、自分のこだわりを手放すことができます。
例:
「全部ちゃんと書けてないけど、この情報だけでもきっと誰かの役に立つ」と思って、出してみよう。100点じゃなくても、それで十分に価値があることが多い。
- プレゼン発表でどこが良かったかどこが悪かったか意見を聞いてみる→細かいデザインよりも内容に注目してくれることに気づく
- 読書後に、「これ、おもしろかったよ」と友だちにLINEで話したりする。→「他人でも面白いと感じる知識はなんだろう?」と考えると、ノートに残すべき知識は意外と少ないことに気づく。
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ブログでは、「○○で悩んでる人は、まず△△をやってみよう」など、人のメッセージを伝えることに専念する。実際に読者の反応を伺ってみる。→自分がこだわり抜いて完成させた記事よりもシンプルにまとめた記事の方が読者の反応が良かったりするもの。
【まとめ】あえて60点を目指す
完璧を目指すことは、決して悪いことではありません。
でも、「ぜったいに失敗しちゃダメ」と思い詰めたり、「もっともっと」と自分を追いつめてしまったりすると、心も体も疲れてしまいます。
だからこそ、「こだわりの100点じゃなくても、誰かの役に立つ60点でOK」と思えるゆるさを、少しずつ身につけてみませんか?
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