今回は音楽家の友人や恋人がいる人に向けた内容です。
- 夜中に急に創作スイッチが入って寝ない
- 約束の時間に遅れてくるけど、悪気がなさそう
- 自由でいいけど、ちょっと計画性がないかも…
「音楽をやっている人は創造的だけど気まぐれ」という印象がありますよね。音楽家の性格傾向を調べた研究によると、そのような印象はあながち間違っていないようです。音楽家の性格の見抜き方や適切なコミュニケーションの取り方を学んでいきましょう。
音楽家は知的好奇心が強く、勤勉ではない傾向?
2020年にインランド・ノルウェー応用科学大学の研究者たちが発表した論文によると、音楽家は開放性が高く、勤勉性は低いという結果が出ています。
内容
インターネット上で募集した合計833人を対象。対象者を2つのグループに分けて比較。
- 音楽家のグループ(平均年齢28.7歳):毎日楽器の演奏や音楽活動を行っている、自ら音楽を作曲した経験がある。
- 音楽家ではないグループ(平均年齢25.1歳):音楽を作曲したことがない、楽器を演奏した経験がない。
それぞれのグループの対象者に10項目の性格テストを受けてもらい、性格(ビッグファイブ)について調べた。
結果
- 音楽家ではない人と比べて音楽家は勤勉性が低く、開放性がとても高い傾向があった。
- 特に男性の音楽家でその傾向があった。
考察
つまり、音楽家は勤勉性(=きっちり計画を立てて動く性格特性)が低く、開放性(=新しいことに興味を持ちやすい性格特性)が高い性格を持つ傾向があるということです。以下のような人物像を想定することができるでしょう。
- 空想が好きで想像力がある。
- さまざまな分野に興味を示し探究心がある。
- 美的感覚が鋭い。
- あまり計画的ではなく、責任感は薄く、几帳面ではないかも。
知的好奇心が高くなければ文化活動に興味を示さないので、開放性が高いことは当然と言えるでしょう。また、開放性はワーキングメモリーとも関連していると言われています。楽器の演奏はまさにワーキングメモリーを使う作業です(例えば、譜面を一度頭の中に入れて実際に指を動かすなど)。
しかし、勤勉性が低かったのは意外なポイントです。理由は、まじめで規則的すぎても音楽家としての面白みに欠けるという印象になるからでしょう。
一方で、作曲や楽器の演奏ではコツコツとスキルを身につける忍耐力も求められます。実際に、研究でも勤勉性が低い傾向が示されましたが、開放性ほど大きい傾向ではありませんでした。地道な作業でもコツコツとやり遂げる最低限の勤勉性はあるといえるでしょう。
集中してぼーっとしてしまうのは「潜在的抑制」が低いから
開放性が高い人は潜在的抑制が働きづらいと言われています。
「潜在的抑制」とは、意識に入ってくる刺激の流れを制御する機能です。一般的な人は、日常で数多く流れてくる感覚・情報のうち、自分の行動や目的には無関係なものを無意識に除外して、処理負荷を下げています。例えば、壁の色や通り過ぎる人の服装のディテールなどは、細かく意識せずに済むようにフィルターが働いているわけです。
しかし、潜在的抑制が働きづらい人は、通常なら無意識レベルで捨てられる刺激でも意識的に受け止める傾向があります。例えば、以下のような刺激が気になってしまいます。
- 右斜めに掛かっているポスターの構造
- 遠くの人の靴音
- 何気ない雑音の微変化
- 街灯のチカチカした影
そのため、潜在的抑制が働きづらい人は、新しい発見をしたり独自の感性を発揮したりしやすいのです。
ぼんやりしているように見えても頭の中は大忙し
音楽家の場合なら、「音楽的にどう表現できるか?」「自分の心情と結び付けて比喩的な表現にできないか?」などと無意識に考えて、創作活動に結びつけてしまいます。例えば、「街灯のチカチカした影を見た」というケースで考えてみましょう。
- 普通の人なら「電球が古いな」くらいで終わる。
- 一方で、潜在的抑制が働きづらい音楽家は、「光が消えるたびに、胸の奥のざわつきが強くなる気がする」といった感想を抱く。
- 「希望と不安が交互に点滅しているようだ」などと表現し、創作脳を働かせる。
このように、開放性が高い人の頭の中では様々なことが起こるので、その分アイディアも出やすくなります。しかし、日常の中で様々な刺激に晒されるたびに空想を繰り返すと疲れてしまうのも想像できるでしょう。
また、時間を忘れて思索に没頭したり、ついつい人の話を聞いていなかったりなどと人とのトラブルに発展しかねません。そこに勤勉性の低さも加われば、時間や人との約束を守ることに対してどうしても優先順位が下がってしまいます。
音楽家の知り合いや恋人がいる人は、「ぼんやりしているように見えても頭の中は大忙しなのだ」という点を考慮してあげるといいでしょう。
【実践】音楽家の性格を理解してコミュニケーションをとろう!
音楽家は開放性が高く、潜在的抑制が低いため、周囲の刺激に反応して注意が散りやすい傾向があります。そのため、突然アイデアが浮かぶと時間を忘れて作業したり、約束の時間を軽視することがあります。
気まぐれや遅刻を「創作の副作用」として受け止めることが大事です。
例
- スケジュールを決めるときは「多少の遅れを見越す」
- 「なぜ遅れたか」を責めるより、「何に夢中だったの?」と興味を示す
- 「時間に厳しい人」と「創造的な人」は価値観の軸が違う、と理解する
まとめ
- 音楽家は開放性が高く、勤勉性がやや低い傾向がある。
- 開放性の高さは創造性を支えるが、同時に注意の散漫さにもつながる。
- 音楽家との関係では、気まぐれや遅刻を「創作の副作用」として理解する姿勢が大切。
音楽家は新しい刺激に敏感で、創造性を発揮しやすい一方、日常生活では注意が散りやすい傾向があります。また、勤勉性がやや低いため、約束や時間管理にルーズに見えることもあるでしょう。
周囲の人は柔軟な対応を心がけると良いでしょう。

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