「最近、前よりも疲れやすい……」
そんな風に感じること、ありませんか?
実はその“疲れ”、体力だけじゃなく、性格のクセが関係していることがあります。実際に、2022年に発表されたモンペリエ大学やフロリダ州立大学などによる研究では、性格と疲労感が関係していることが明らかになっています。
例えば、
- 人の目が気になりやすい人は、ちょっとしたことでぐったりしてしまったり、
- 計画通りに動くのが苦手な人は、生活が乱れて疲れを引きずってしまったり……。
でも安心してください。これは「あなたがダメな人だから」ではなく、あなたに合った疲れ対策を知らないだけなんです。
今回は、心や体の疲れがたまりやすい、30〜50代の繊細な大人世代にこそ届けたい内容です。ぜひ、あなたの「疲れやすさの正体」と「ちょっとした対処法」を一緒に見つけていきましょう。
不安になりやすい人、ズボラな人、内向的な人ほど疲れやすい!?
2022年に発表されたモンペリエ大学やフロリダ州立大学などによる研究では、性格と疲労感の関係を調べ、性格の違いがどのように疲れやすさに影響するかが分析されています。
内容
16〜104歳の4万人以上を対象に、性格(ビッグファイブ)と疲労感の関係を調べた。最初に年齢・性別・性格・疲れやすさを記録し、その5〜20年後にもう一度疲れやすさを調査。その人の体の健康や、どれくらい体を動かしているかも合わせて調べた。
結果
- 神経症傾向(不安やネガティブ感情に敏感)が高い人は、今も将来も疲れを感じやすい傾向があった。
- 外向性(明るくて社交的)、勤勉性(コツコツ努力する)が高い人は、疲れにくい傾向があった。
- 開放性(新しいことに興味をもつ)や協調性(人と仲良くしようとする)が高い人も、疲れにくい傾向が少しあったが、効果はやや小さく、すべてのデータで同じような結果にはならなかった。
- 性格と疲れの関係は、年齢や性別によってあまり変わらなかった。
- また、体調や運動量が、性格と疲れやすさの関係に影響していることもわかった。
考察
研究のポイントをまとめると以下のようになります。
- ネガティブな人は疲れやすい。気持ちがネガティブになりやすく、あまり体を動かさなくなることもあるため。
- 活発な人やコツコツ努力する人は疲れにくい。外に出て人と話したり、目標に向かってがんばったりするので、気分が前向きになりやすいため。
- 新しいこと好きな人や協調的な人もやや疲れにくいかも。
- 性格は、ストレスへの反応、睡眠の質、活動量などに関係しており、それが疲れやすさにつながっていると考えられる。
「最近なんだか疲れやすいな……」と思ったら、体だけでなく自分の性格のクセも見直してみましょう。
例えば、気持ちが揺れやすい人(神経症傾向が高い人)は、周りのちょっとした言葉に敏感だったり、自分を責めてしまったりして「心の疲れ」がたまりやすい傾向があります。
【実践】「疲れやすさ」を性格から見直して、自分に合ったケアをはじめよう
ステップ1:まずは、自分の性格タイプを知ってみよう
ここでは、「神経症傾向」「勤勉性」「外向性」の3つにしぼって、簡単にチェックできるリストを用意しました。当てはまるものが多いほど、その傾向が強いと考えられます。
3つの性格傾向チェック
※各リストで3つ以上当てはまったら、その傾向が強めと考えられます。3つの性格でそれぞれチェックしてみましょう。
【1】神経症傾向が高いかも?
こんなことが多い人は、気持ちの波で疲れやすいタイプかもしれません。
- 小さなことで不安になりやすい
- 人の言葉を気にしてモヤモヤする
- すぐに「自分が悪いのかな」と思ってしまう
- 失敗したことを何度も思い出してしまう
- 緊張しやすく、心が休まらない
- つい先のことを心配してしまう
【2】勤勉性が低めかも?
こんなことが多い人は、生活習慣が乱れやすく、疲れがたまりやすいタイプかも。
- 気分で動くことが多く、決まった時間に行動するのが苦手
- 片付けや整理整頓が後回しになりがち
- 「また今度でいいや」と思うことがよくある
- 計画を立てるのが面倒に感じる
- 忘れ物やうっかりミスが多い
-
続けるのが苦手で、三日坊主になりがち
【3】外向性が低めかも?
こんなことが多い人は、人との関わりで疲れやすく、ひとりの時間で元気を取り戻すタイプかもしれません。
- 一人の時間がないとつらい
- 大人数の集まりが苦手
- 話すより聞く方がラク
- 初対面の人と話すとすごく気を使う
- 週末は「家でのんびり」が一番落ち着く
- 人に会うと、あとでどっと疲れる
このチェックを通じて、「自分の疲れやすさは、性格の影響もあるかも」と気づくことができたら、それは落ち込む材料ではなく、自分を大切にするためのヒントになります。
ステップ2:自分のタイプに合った「疲れ対策」を選ぼう
診断結果をもとに、自分に合った対策を選んでいきましょう。ここでは、いくつかの性格タイプ別に実践できるヒントを紹介します。
神経症傾向が高い人(心配性・感情の波が大きい)
- 気持ちがたまりやすいので、ノートに思ったことを書く習慣がおすすめです。頭の中を整理できて、寝つきも良くなります。
- 人間関係で疲れた日は、「今日は何に疲れた?」と自分に聞いてみる5分日記をつけましょう。
- 音や光、情報にも敏感になりやすいので、夜はスマホを見ない時間を作ると頭が休まりやすくなります。
勤勉性が低い人(ズボラ・ルールに縛られたくない)
- ストレスに負けがちなので、1日10分の軽い運動から始めてみましょう(ストレッチやラジオ体操などがおすすめ)。
- 「やらなきゃ」ではなく、「これならできそう」と思えることを少しずつ。習慣化アプリを使ってゲーム感覚で続けるのもOKです。
- 食事も不規則になりがちなので、朝食にタンパク質を足すなど、無理のない一歩から。
外向性が低い人(内向的・ひとりが好き)
- 無理に人付き合いを増やすより、一人で体を動かす時間(散歩・ヨガ・自転車など)を大切に。
- 「休みの日は1人時間を最優先する」と決めるだけで、心のバッテリーが充電されやすくなります。
ステップ3:生活全体をちょっとだけ整えていこう
「心と体はつながっている」ので、生活の土台(睡眠・運動・栄養)にも少し目を向けてみましょう。
【睡眠】寝つきが悪いときは…
- 寝る前に「今日思ったこと」をノートにざっくり書いてみましょう。
- それだけで頭が整理されて、モヤモヤが少しスッキリして眠りやすくなります。
【運動】やる気が出ない人は…
- 楽しいと感じることを優先して。散歩、ダンス、YouTubeの体操動画などでOK。
- 続けるコツは「がんばる」より「気分転換になるからやる」くらいの軽さで。
【栄養】疲れやすいときは…
- お菓子やコーヒーに頼りすぎていないかチェック。
- 朝食に卵や納豆などタンパク質を足すだけで、午前中のだるさが軽くなることも。
ステップ4:「刺激」や「気疲れ」との付き合い方を変える
気疲れしやすいタイプ(神経症傾向が高い)の人には、刺激との距離の取り方がとても大事です。
感情疲れには…
-
「今日は何に疲れたのか?」を夜5分だけメモ。感情を切り分けると、心が軽くなります。
情報疲れには…
-
夜はスマホの通知をオフにして、ニュースやSNSから離れる時間をつくるのがおすすめ。
刺激の自己管理には…
-
耳栓やアイマスク、アロマ、やさしい照明などで、五感を休ませる工夫を。
-
週末は「予定をあえて入れない日」をつくると、心が元気になります。
最後に:自分の「疲れ方」と、仲良くなろう
疲れやすいのは、サボっているからでも、弱いからでもありません。
あなたの性格や感じ方の特徴があるからこそ、そう感じやすいだけなんです。
でも、「ああ、私ってこういう傾向があるんだな」と知るだけで、少しだけ心の荷物が軽くなります。そして、「じゃあ、こう対処してみよう」と自分に合ったケアができるようになります。
疲れない人になる必要はありません。疲れたときに、自分にやさしくできる人になることのほうが、ずっと大切です。
自分に合ったケアを少しずつ生活に取り入れて、今日よりもちょっとだけ、軽やかな明日をつくっていきましょう。
コメント