悪の三兄弟「ダークトライアド」は職業的に成功しやすい?
職業的に成功しやすいのは人望や温かみのある人だけとは限りません。「ダークトライアド」とは、サイコパシー・ナルシシズム・マキャベリズムの三つの特性の総称です。ダークトライアドという言葉は、カナダのブリティッシュコロンビア大学教授デルロイ・ポールハスによって、名付けられました。
ダークトライアドの概要
- サイコパシー:良心や善意を持たない傾向。人を傷つける言動をしたり重大な嘘をついたりしても、責任を全く取ろうとせず良心の呵責を微塵も感じない
- マキャベリズム:他人を操作しようとする傾向。相手の反応を想定した上で、言葉によって他人を操作しようとする
- ナルシシズム:自分に対する誇大な感覚を抱く傾向。「自分はこんなにすごいのだから特別扱いされるのは当然だ」と確信を持つ
2015年に発表されたベルン大学たちの研究によると、ダークトライアドのうちマキャベリストとナルシストは社会的に成功する傾向が高いです。
被験者:25歳から34歳の793人(スクリーニング後)
内容:ダークトライアドを計測する質問とキャリアの成功についての評価を比べて、ダークトライアドが職業的に成功しやすいかどうかを調べた。
計測
①ダークトライアドの傾向
短縮版DDTD(ダークトライアドの傾向を調べる質問票)によって、ダークトライアドの傾向を調べた。例えば、以下のような質問がなされた。
- 「他の人には私に注目してほしい」→ナルシスト傾向の例
- 「私には後悔の感情が欠如している(I tend to lack remorse)」→サイコパシー傾向の例
- 「私は思うように他人を操作する(I tend to manipulate others to get my way)」→マキャリズム傾向の例
②客観的な成功度合い
③主観的な成功度合い
主観的な指標として、5項目の職務満足度の質問を行った。例えば、「私は全体的なキャリア目標の達成に向けての進歩に満足しています(I am satisfied with the progress I have made toward meeting my overall career goals)」など。
④その他
職業的成功に影響を与えうる年齢・契約上の業務時間・職業教育の有無・就労期間・組織サイズについて調べて、それらの影響を調整した。
結果
- ナルシシズムの傾向が高いほど給料が高い
- しかし、ナルシシズムと指導的立場・職務満足度は関係性を示さなかった。
- マキャベリズムの傾向が高いほど、指導的立場に立ちやすく、職務満足度もわずかに高かった
- しかし、マキャベリズムと給料は関係性を示さなかった
- サイコパシーの傾向が高いほど、給料・指導的立場・職務満足度が低い
要約・考察
つまり、マキャベリズムとナルシシズムは給料が高い傾向があり、客観的に見て成功しやすいと言えるでしょう。
理由としては、激しく他人を蹴落として行くような競争場面ではダークトライアドの性格が有利になるからでしょう。
それに対して、サイコパシーが職業的な成功に結びついていないのは意外です。サイコパスは他人に共感せず冷徹に目的を成し遂げるイメージがあります。もしかするとサイコパスの中でも、種類によって職業的に成功しやすいかどうかが変わるのかも知れません。実際に、サイコパスには衝動性が高いタイプや計算高いタイプなどさまざまなタイプがいます。
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