問題のある子どもほど創造力が高い!?学校では評価されない7つの特徴

探究力
「うちの子、なんでこんなに空気が読めないんだろう」「どうしてすぐに感情的になるんだろう」
 
そう感じたこと、ありませんか?実は、一見「困った子」に見えるその特徴が、創造力の芽であるかもしれません。
 
 
実際に、ベイラー大学などが行った研究によると、創造的な子どもの特徴は、学校の先生から“あまり望ましくない”と見なされてしまうそうです。たとえば、「ルールを自分で決める」「あいまいなことが好き」「衝動的」…といった行動は、大人からすれば望ましくない特徴とされやすいのです。
 
しかし実は、望ましくない特徴こそ、創造力につながる特徴でもあります。例えば、
  • マイペースな子供は周りに流されず自分のアイデアを突き詰めることができる
  • 衝動的な子供は思いついたアイデアをすぐに実行に移す実践力がある
 
 
自分の子どもが「変わっている」「マイペース」だと先生から評価されると、不安に思ってしまいますよね。このブログでは、そんな「ちょっと変わった子」の行動が、どんなふうに創造性に結びついているのかを具体的に解説していきます。
 
  • 評価されづらい七つの創造的な特徴をピックアップ!→我が子のすごいところに気づいてあげられます。周りに自慢できるようなすごい才能を秘めているかも。
  • それぞれの特徴を具体的に活かせる場面を紹介!→:欠点ではなく個性。不安に思わなくて大丈夫です。

 

教師は創造的な子どもを嫌う!?

2018年に発表されたベイラー大学などの研究によると、教師は創造性のある子どもを問題がある子どもと考えてしまうことが示されています。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10400419.2018.1446503
内容

371名の教師に生徒の特徴(例:自立している、個性的であるなど)について、「非常に望ましくない」から「非常に望ましい」までの5段階で評価を行ってもらった。そして生徒の特徴を評価ごとにランク付けした。

結果

創造性が高いことを示す生徒の特徴(例:あいまいさを好む、独自のルールで行動するなど)は、教師によって望ましくないと評価される傾向があった。なお、実際に評価された生徒の特徴と評価の点数は以下の通りです。

特性(生徒) 平均値
責任感がある 4.73
正直で誠実 4.67
信頼できる 4.65
頼りになる 4.61
自立している 4.49
明確・簡潔 4.36
チャレンジを好む 4.27
個性的 4.24
妥協できる 4.21
実用的 4.07
不可能に挑戦しようとする 3.96
ルーチンや一貫性を好む 3.63
方法的または伝統的 3.49
深い感情を経験する 3.37
非同調的 3.30
一人で作業したがる/自律的 3.11
常に同じやり方で物事を行う 2.92
曖昧さを好む 2.78
衝動的 2.49
独自のルールで行動する 2.36

※太字が創造性に結びつく特徴。

  • 教師の担当する学年・経験年数担当している教科などによる影響はほとんどなかった
  • ただし、創造性が高い教師は、創造性に結びつく生徒の特徴をやや高く評価する傾向があった。また、創造性に結びつかない特徴(例:責任感がある、妥協できるなど)は低く評価する傾向があった。
  • 「創造性が教育上重要だ」と考えている教師が必ずしも生徒の創造性を高く評価すると限らなかった。逆に「批判的思考が重要だ」と考える教師の方が生徒の創造性を高く評価する傾向があった。

 

考察
  • 教師は創造性に結びつかない特徴である責任感の高さや従順さなどを好むと言えます。確かに効率的に学校を運営するためには、個性的な生徒よりも素直な生徒の方が扱いやすい点は否めないでしょう。
  • 創造性を重要だと考えている教師よりも、批判的思考が重要だと考える教師の方が生徒の創造性を尊重している点は面白いです。「独自のルールを好む」「あいまいさを好む」と言った特徴は、批判的に考えることとつながっているからでしょう。
  • 教師目線で「創造的思考を教えることが重要だ」と考えていても、本当に創造的な特徴を持つ生徒が尊重されるとは限らないのです。

 

 

【実践】本当に創造性がある子どもの能力を引き出そう

ステップ1:扱いにくい生徒の特徴の創造的なメリットに注目しよう

創造性に結びつくものの、生徒からの評価が低かった特徴は以下の7つでした。

  1. 不可能に挑戦しようとする
  2. 深い感情を経験する
  3. 非同調的
  4. 一人で作業したがる/自律的
  5. あいまいさを好む
  6. 衝動的
  7. 独自のルールで行動する

 

あまり望ましくないと感じる特徴こそ尊重していく必要があります。具体的に創造性に結びつくケースを見てみましょう。

 

不可能に挑戦しようとする
  • ありがちな評価:できもしないことをやりたがるといった印象を与えるため、協調性がないと見なされやすい。
  • 創造性を発揮する一面:限界や常識にとらわれず新しい可能性を模索できる。
  • 具体例
    • 科学の自由研究で、誰も成功していない「水で動く電池」を試作し続け、最終的に小さな発電に成功。周囲の「そんなの無理」という声を無視して継続した。

    • 美術の授業で「立体的に見える平面画」という課題に、3Dメガネと赤青フィルムを使って挑戦。評価基準からは外れていたが、発想は革新的。

    • 家庭科の授業で出された「エコバッグ作り」の課題で、「折りたためてリュックにもなる多機能バッグを作る」と自分で勝手にアレンジ。先生からは「指示通りに作って」と注意されたが、生徒や保護者の間で話題に。

 

深い感情を経験する
  • ありがちな評価:感情の起伏が激しいと評価され、よく生徒間でのトラブルを起こしやすく、集中力に欠けていると見なされやすい。
  • 創造性を発揮する一面:芸術・文学・音楽などの感情を伴う活動で独自の表現をすることができる。
  • 具体例
    • 失恋の経験を詩にしたところ、学校の文芸コンクールで最優秀賞を受賞。感情の起伏が豊かだったからこそ共感を呼ぶ表現ができた。
    • 自分が感じた「違和感」や「怒り」から着想して、社会問題をテーマにしたアニメーションを自主制作。
    • 読書感想文で、自身のいじめ体験と重ね合わせて、物語の登場人物の孤独を綴った結果、読み手の教師が涙をこぼすほどの共感を得た。

 

非同調的(=周りに合わせた行動をとらない)
  • ありがちな評価:指示に従わない、空気を読まないと評価されやすい。
  • 創造性を発揮する一面:周りの常識やルールに流されず独自のセンスを発揮しやすい。
  • 具体例
    • クラス全員が同じテーマでプレゼンをする中、唯一別視点(反対意見)で発表を行い、討論を活性化させた。

    • 課題で与えられた方法に従わず、まったく別のアプローチで解いた数学問題が、教師の予想を超えた解法になっていた。

    • 学芸会の劇で「皆がやりたがらない悪役」を自ら選び、独特の解釈と演技で観客に強い印象を残す。演出の意図と違った部分もあり、教師からは困惑されつつも「なんだか印象に残る演技だった」と評価が分かれた。

 

一人で作業したがる/自律的
  • ありがちな評価:グループワークで周りに合わせた行動を取ることができないと評価される。集団に溶け込めていないと評される。
  • 創造性を発揮する一面:他人の意見に左右されず、独自のアイデアを集中して練ることができる。
  • 具体例
    • グループ制作の場で一人別の手法を追求し、結果的に全体の完成度を高めるアイデアを提供した。

    • 図書室にこもって1年間、自主的に図鑑を作り上げ、校内で展示された。

    • 自由研究で友達と協力せず、一人で地域の古地図を調べて現在の街と比較する研究を進めた。提出先の先生は「もっと人と協力して」とコメントしたが、自宅でも図書館通いを続けて独自に研究を深めた。

 

曖昧さを好む
  • ありがちな評価:学校の授業では明確が求められるため、曖昧な回答はよく分からないと評価されやすい。教師が「何を言っているのか意図がつかめない」と感じる場合もある。
  • 創造性を発揮する一面:正解がないテーマについて、急いで声を出すことを我慢し、より深いアイデアを出すことができる。
  • 具体例
    • 哲学的な問い「人間とは何か」に対し、あえて答えを出さずに3つの視点から考察する作文を提出し、教師の間で話題に。

    • 正解のないテーマで作品を作る現代アート展に参加し、観る人の解釈を問いかける形式で高評価を得た。

    • 国語の「詩の創作」課題で、抽象的な言葉と比喩だけで構成された作品を提出し、教師からは「意味がよく分からない」とされたが、読書好きの友達から「この詩、すごく刺さった」と感想をもらう。

 

衝動的
  • ありがちな評価:計画性に欠けている、注意力が不足していると評されやすい。周りの生徒の集中力を妨げたり、教師の授業の進行を妨げたりしやすい。
  • 創造性を発揮する一面:自分のアイデアに対して瞬発的に行動できる
  • 具体例
    • 音楽の授業中、突発的に即興でメロディを演奏したところ、クラスメイトとセッションが始まり、学年発表会の曲に採用された。

    • 授業中に思いついたギャグをメモ帳に描き、それをもとに4コマ漫画を連載。SNSで人気を集めた。

    • 図工の時間中、突然ひらめいて絵の構図を変えてしまい、指示と異なる提出物になったが、偶然にもそれが独創的な構成になり、展覧会で特別賞を受けた。

 

独自のルールで行動する
  • ありがちな評価:教室ではルールを守ることが重要とされるため、自己中心的だと評価されやすい。
  • 創造性を発揮する一面:新しいゲームやクラス運用の仕組みを作る力になる
  • 具体例
    • 既存のボードゲームに飽きてしまい、自作のルールとマップを作り、クラスで大流行。

    • 授業中のノートの取り方を独自にアレンジし、図解・色分け・俳句形式などで構造化。あとで友達から「コピーさせて」と言われるほど分かりやすいと評判に。

    • プログラミングのクラブ活動で、教えられた通りではなく、独自のショートカットやライブラリを調べて導入。指導者からは「勝手にやるな」と言われつつも、処理速度が速くなり、最終的にチーム全体のプロジェクトにその方法が採用される。

 

ステップ2:発揮されている創造性に気づき、伸ばそう

ステップ1で、創造的な生徒の特徴や、その具体的なケースが頭に入ったと思います。創造的な生徒の特徴を頭に入れた上で、改めて子どもと向き合ってみましょう。

創造性が高い生徒の能力を生かすために、創造性を発揮しやすい場を作ってあげることが重要です。例えば、

  • ものづくりや創作の機会を設けて、子どもがマッチする分野を探してみる(例:新しい仕組みづくり、工作、演劇、美術、自由研究、作文、プログラミング)
  • その考え方やアプローチに注目してみる。
  • ものづくりや創作で現れる独自の視点を褒めてあげる。

 

【まとめ】広い視野で創造力の芽を見つけてあげよう

「ルールを守らない」「空気が読めない」「すぐカッとなる」

今まで“困った行動”と感じていた子どもの一面が、実は世界に新しいアイデアをもたらす「才能の原石」かもしれません。

 

学校という枠組みの中では、なかなか評価されにくい「創造性」。でも、家庭や身近な大人のまなざしひとつで、その子の未来は大きく変わります。

大人にできるのは、「問題行動」に見えるその瞬間に、「もしかしたらこの子の創造力かもしれない」と一歩立ち止まること。本当に創造的な子どもたちの力を伸ばすには、まず私たちがその可能性に気づくことが、何より大切です。

コメント