今回は難しいプロジェクトに挑んでいる不安を感じやすい人に向けた内容です。難易度が高い場面では、不安になりやすい人ほどプレッシャーを感じてしまいますよね。例えば、
- 国家試験や実習が控えている中、膨大な暗記が求められる医学部での学位取得。
- 成果が出るかわからない大学院での研究。
- 「失敗したらメンバーの人生を狂わせてしまう」「資金が尽きるかもしれない」と不安なスタートアップ立ち上げ。
しかし、ある研究では不安が強い人ほど成果を出せるということも知られています。不安は悪いものだと考えず不安は努力の燃料になると考えて有効に活用しましょう。
不安になりやすい傾向の方が成績がよくなる!?
1993年にイーストロンドン大学の研究者たちによって発表された論文によると、神経症傾向(=不安になりやすい)の高い人が勤勉性を発揮できれば成績が良くなることが示されています。

内容
被験者は108名の学生。不安になりやすい性格の度合いと学業成績の関係を調べた。
結果
- その結果、不安になりやすい性格の学生はやり抜く強さがある場合にのみ学業成績が高い傾向が見られた。
- また、不安になりやすい性格と内向的な性格が合わさったとき、単に不安になりやすい場合よりも、成績も高い傾向があった。また、この傾向はレベルが高い学部で特に見られる傾向だった。
- 不安になりやすく内向的な人においては言語能力が高いほど学業成績が低い傾向があった。
考察
研究のポイントをまとめると以下のようになります。
- 勤勉さが高い場合、不安になりやすい性格であるほど学業成績が高まる。
- 不安になりやすい性格と内向的な性格が合わさると、より成績が高い傾向が見られた。
- しかし、不安になりやすく内向的な人においては言葉を使う学業成績で実力が発揮できていなかった。
不安になりやすい+勤勉な性格な人は成績が高い
つまり、不安になりやすい性格が高い人は、失敗を極度に恐れるため、失敗を避けようとして努力すると言えます。
逆に、不安になりにくい性格の人は危機感に欠けるため、不安によるモチベーションアップは期待できません。実際に、人間は自分の行動の結果について、楽観的すぎる側面があります。一度計画した後は達成した未来ばかり考えてしまいそれが失敗するイメージを持つことをしません。実際にビジネスの世界でも楽観的すぎる成長プランについて指摘されています。
その点、不安になりやすい性格が高い人は失敗のイメージも思い描き、その対策をすることができます。例えば、「誘惑に負けて勉強の時間がとれないかもしれない。」「本番では緊張して頭が真っ白になってしまうから、うろ覚えに頼らず完璧に覚えよう」と対策するのがうまいのです。
ただし、ワーカホリックには不安になりやすい性格が高い人が多いという研究もあるので注意が必要です。
しかし、不安を原動力に変えられるのは、勤勉さを発揮できればという条件付きです。理由は、不安すぎて現実逃避に走るといった失敗パターンが増えてしまうからだと考えられます。
内向的+不安を感じやすい人はパフォーマンスが下がりがち
また、不安になりやすく内向的な人は、もともと刺激に敏感で不安を感じやすいため、言語課題のような「考えすぎる」状況ではパフォーマンスが下がる傾向があります。つまり、能力(言語力)はあるのに、不安によって成果を発揮しにくくなってしまう。
逆に、「メンタルが安定していて内向的(=落ち着いていて集中できる)」な学生では、言語能力が高いほど学業成績も高かったと報告されています。理由は、不安による妨害が少なく、持っている知的能力を最大限に発揮できたからでしょう。
【実践】不安を努力の燃料に変えよう!
ステップ1:不安を危険信号ではなく集中モードのサインと捉える
ある程度の不安は集中や警戒を高める機能を持ちます。緊張してきたとき、「焦ってる=やる気のスイッチが入った」と言い換えてみましょう。
例
面接や試験前などで不安を感じたら、心拍数上昇=集中の準備と意識的に再解釈する。
ステップ2:過度な楽観視ではなく、現実的で具体的な目標を立てる
不安になりやすい人は、楽観的に考えようとしてもうまくいきません。ポジティブすぎる目標よりも「現実的で具体的な対策がある目標」の方が安心して動くことができます。
目標を立てたら、「失敗の可能性リスト」を書き出し、それぞれに対策を立ててみましょう。「心配性な計画」は、長期的には実現率が高い計画になります。
例
- WebサイトのPVを増やしたい。
- →「もしかしたらトラブルで投稿した内容が消えるかも…」
- →定期バックアップをとるようにする。
- 大事な試験を受ける。
- →「緊張して失敗するかも。」
- →緊張して頭が真っ白になったら深呼吸する。わかる問題から手をつけて時間的な余裕を作る。
ステップ3:実例を見て学ぼう
ケース①:医学部での学位取得(国家試験・実習を控えている状況)
膨大な暗記量。試験範囲も広く、「全部覚えられるのか?」という不安が強い。周囲の学生が要領よく進めているように見えて焦る。
対策:
- 「もし試験前に全範囲を網羅できないとしたら、どの領域で失点しても合格できるか?」という視点で、出題頻度と重要度を分析して優先順位を決める。
- 「実習で急に聞かれたときに答えられないと焦る」と感じたら、実習で最低限必要な知識リストを作り、1日10分だけ復習する時間を固定する。
- 「暗記した内容が定着しているか不安」という気持ちを、1週間ごとに小テスト形式で振り返る習慣につなげる。
ケース②:大学院での研究(成果が出るかわからないテーマ)
論文が通る保証がなく、進展が見えない日々が続く。教授や同僚との比較も生まれる。
対策
- 「失敗したら次に何を試すか」を事前に3パターン考えておく(バックアップ仮説リスト)。
- 「進まない」と感じたら焦る前に、“進まなかった理由を明文化”する1ページノートを作成する。
- 「結果が出なかったらどうしよう」という不安を、“出なかった場合の論文化(否定的結果を意義ある形にまとめる)”のプランに変える。
ケース③:スタートアップ立ち上げ(資金や仲間の将来がかかっている)
成果が出なければチームの生活や信頼を失うリスク。資金繰り、競合、顧客獲得など課題が山積。
対策
- 「最悪の月次売上を想定した場合でも運転資金が何ヶ月持つか」を算出し、「リスク耐性カレンダー」を作る。
- 「顧客がつかなかったらどうしよう」という不安を、β版リリース前のフィードバックインタビュー(10人)を目標に設定することで対策。
- 「資金が尽きたら終わる」という焦りを、投資家・助成金リストの更新と定期的な接触ルーチンに変換する。
まとめ
- 不安になりやすい性格(神経症傾向)は、成果を押し上げる。
- 不安を努力の燃料に変えるためには、「勤勉さ(やり抜く力)」が鍵。不安が強すぎると現実逃避に走る危険もあるため、計画的な習慣化が重要。
- 内向的で不安を感じやすい人は、考えすぎによってパフォーマンスが下がりやすい。
- 不安は敵ではなく、「現実的な行動を促すエネルギー源」として活かせる。

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