価値観が合わない人とどう向き合う?ビッグファイブを使った見抜き方と実践法

性格を活かす・見抜く

「あの人、何考えてるのか分からない…」そう感じたことはありませんか?

実は、「性格」と「価値観(どんなことを大事にするか)」のつながりをちょっと意識するだけで、相手の考え方や反応の理由がぐんと見えやすくなるのです。

たとえば、

  • 「活発な子には、こう伝えると響く」
  • 「まじめな部下には、こう提案すると動いてくれる」

…そんなふうに、ふだんの言動から“その人の中にある大切な気持ち”を読み取って、それに合った関わり方をすることができます。

 

今回は、性格と価値観の関係を見ぬくコツと、それを使った関わり方の実践例を、ステップごとにわかりやすく紹介します。チームビルディング・教育・恋愛・子育てなど、さまざまな場面で役立ちます。

「人づきあいが苦手…」という人も、「もっと上手にチームをまとめたい!」という人も、ぜひ読んでみてください。

 

  • 2015年に発表されたビクトリア大学などの研究をもとに作成した、性格と10の価値観を一発でつなげるマップ表つき
  • 相手の言動から「性格」をざっくり見抜くポイントも紹介!
  • 推定された価値観に合わせて、どんな言い方・関わり方が効果的かも具体例で解説
 

10の価値観からその人が大事にしている気持ちを探ろう

シュワルツの価値理論

その人が大事にしていることを調べるために、「シュワルツの価値理論」を参考にしてみましょう。これは心理学者のシャローム・シュワルツによって開発されたもので、人間の価値観を10のタイプにまとめています。
  1. 権力:他の人や物を動かしたい、お金や地位を手に入れたいという気持ち
  2. 達成:頑張って成果を出し、まわりから「すごい」と思われたい気持ち
  3. 快楽:楽しいことや気持ちいいことをいっぱい味わいたい気持ち
  4. 刺激:ドキドキわくわくする新しい体験を求める気持ち
  5. 自律:自分の考えで自由に行動したい、やりたいことを追求したい気持ち
  6. 普遍:すべての人や自然が幸せであることを大切にしたい気持ち
  7. 博愛:自分の身近な人たちの幸せを大切にしたい気持ち
  8. 調和:ケンカせず落ち着いて行動し、自分の感情をおさえることを大切にする気持ち
  9. 伝統:昔からの習わしや信じてきたことを守りたい気持ち
  10. 安全:自分やまわりの人が安心して暮らせるようにしたい気持ち

 

性格が読めれば価値観も読める

2015年に発表されたビクトリア大学などの研究では、人の性格と「どんなことを大事にするか(価値観)」が結びついていることが示されています。日常で現れるその人の性格から、どんな価値観を持っているのかという深い理解も可能なのです。

内容

この研究では、世界14か国の約1万人を対象に、5つの性格の特徴(ビッグファイブ)と、10の価値観との関係を調べました。さらに、「社会や生活が不安定な国」と「安定していて自由な国」とで、性格と価値観の関係がどう変わるかも調べました。

 

結果

性格と価値観の結びつきに関しては以下のような結果になりました。

 

◯「新しいことに興味を持つ性格(開放性)」の人は、

  • 自分の考えで自由に行動したい、やりたいことを追求したい気持ち(=自律)や、楽しいことや気持ちいいことをいっぱい味わいたい気持ち(=快楽)、ドキドキわくわくする新しい体験を求める気持ち(=刺激)とつながりが強かった
  • 一方で、伝統や安定を大事にする考え(=調和、伝統、安全)とは合わない傾向が強くあった
  • また、人の幸せや自然を大事にする気持ち(=普遍)や、身近な人たちの幸せを大切にしたい気持ち(=博愛)も持っている傾向があった
  • お金や地位を手に入れたいという気持ち(=権力)は、持たない傾向が少しあった

 

◯「人にやさしい性格(協調性)」の人は、

  • 人の幸せや自然を大事にする気持ち(=普遍)、分の身近な人たちの幸せを大切にしたい気持ち(=博愛)を持っている傾向が強くあった
  • 反対に、お金や地位を手に入れたいという気持ち(=権力)や、頑張って成果を出してまわりから「すごい」と思われたい気持ち(=達成)は持たない傾向があった
  • 自分の感情をおさえることを大切にする気持ち(=調和)、昔からの習わしや信じてきたことを守りたい気持ち(=伝統)を持つ傾向もあった

 

◯「しっかりした性格(勤勉性)」の人は、

  • 自分の感情をおさえることを大切にする気持ち(=調和)、自分やまわりの人が安心して暮らせるようにしたい気持ち(=安全)、昔からの習わしや信じてきたことを守りたい気持ち(=伝統)を持つ傾向があった
  • 一方で、楽しいことや気持ちいいことをいっぱい味わいたい気持ち(=快楽)やドキドキわくわくする新しい体験を求める気持ち(=刺激)は持たない傾向があった
  • 頑張って成果を出し、まわりから「すごい」と思われたい気持ち(=達成)と、身近な人たちの幸せを大切にしたい気持ち(=博愛)を持つ傾向もあった

 

◯「明るく活発な性格(外向性)」の人は、頑張って成果を出し、まわりから「すごい」と思われたい気持ち(=達成)やお金や地位を手に入れたいという気持ち(=権力)を持つ傾向があった

 

◯「心配しやすい性格(神経症傾向)」の人は、どの価値観ともあまり強いつながりはなかった。

 

また、社会や環境による価値観と性格の結びつきは以下のような傾向がありました。

  • 社会が不安定だったり、お金や自然環境に不安があったりする国では、性格と価値観のつながりが弱まる傾向があった。
  • ただし、「明るく活発な性格(外向性)」だけは例外で、困難な環境になると、逆に人の幸せや自然を大事にする気持ち(=普遍)や、身近な人たちの幸せを大切にしたい気持ち(=博愛)、頑張って成果を出し、まわりから「すごい」と思われたい気持ち(=達成)、お金や地位を手に入れたいという気持ち(=権力)とのつながりが強くなることも少しあった。

 

考察

研究のポイントをまとめると、次のようになります。

  • 人の性格と「どんなことを大切にするか」は、ある程度つながっている。たとえば、やさしい人は人の幸せを大事にし、新しいことが好きな人は自由を好む。
  • ただし、国や社会の状況によって、このつながりが変わる。特に、社会が安定しているほど、性格と価値観の関係がはっきり見える。
  • 性格の中では、開放性(好奇心)と協調性(やさしさ)が、価値観との関係がとても強い。

 

 

【実践】相手の性格と価値観を見抜いて、うまく関わる方法

性格と価値観を見抜いてうまく関わる方法の流れはざっくり以下のようなものです。

  • 【恋愛】相手が好奇心旺盛で新しい話題に食いつく→開放性が高い→自律・快楽・刺激が価値観にある→型にはめすぎず、自由さや新鮮さのあるデートプランを提案
  • 【教育】生徒がよく人のことを気にかける→協調性が高い→博愛・普遍・調和が価値観にある→「みんなの役に立つことだよ」という形で動機づけする

まずは相手がどのような性格をもっているのかをざっくりと把握してみましょう。

 

ステップ1:相手のふだんの言動や反応をよく観察する

まずは、相手がどんな性格かを見ていきます。特に注目するのは以下の4つのポイントです。

  • 新しいことが好きかどうか(=開放性)
  • 人にやさしいか、思いやりがあるか(=協調性)
  • 元気で明るく、人と話すのが好きかどうか(=外向性)
  • まじめでコツコツタイプかどうか(=勤勉性)

 

観察するときは、こんなことに注目すると分かりやすいです。

ビッグファイブ 高い傾向がある人の特徴 よくある言葉・反応の例
開放性

新しいアイデアを出す、変わったものが好き、ルールに縛られたくない、旅行好き、新しいものに興味津々、本のジャンルが広い

「こんな面白いの見つけたよ!」「◯◯行ってみたいな」話題の幅が広い
協調性 人の話をよく聞く、もめごとをさける、困っている人を手伝う、「ありがとう」が多い、 「大丈夫だった?」「それは困るよね」空気を読む、相手に合わせる
外向性

自分から話しかける、人前で話すのが好き、イベントが好き、誘いに乗りやすい、目立つのが好き

初対面でも積極的に話す「もっと派手にいこう!」大勢での活動が好き
勤勉性 課題をきちんとやる、忘れ物が少ない、決めたことを守る 遅刻が少ない、目標を守る「ちゃんと段取り考えておこう」タスクを細かく管理
 

 

ステップ2:性格から「大事にしている気持ち(価値観)」を予想する

その人の性格が見えてきたら、「どんなことを大事にしている人なのか」も想像してみます。以下の対応を参考にしましょう。

  • 開放性が高い人→自由に動きたい(自律)・新しいことにワクワクする(快楽)・いろんな人や考えに興味がある(刺激)
  • 協調性が高い人→人の幸せや平和が大事(普遍)・助け合いたい(博愛)・ケンカしたくない(調和)
  • 外向性が高い人→成功して目立ちたい(権力)・がんばって「すごい」って言われたい(達成)
  • 勤勉性が高い人→ちゃんとしたい(達成)・安心したい(安全)・伝統やルールを守りたい(伝統)

 

他にも、以下のリストを参考にその人が持っていそうな価値観を考えてみましょう。

  1. 権力:他の人や物を動かしたい、お金や地位を手に入れたいという気持ち
  2. 達成:頑張って成果を出し、まわりから「すごい」と思われたい気持ち
  3. 快楽:楽しいことや気持ちいいことをいっぱい味わいたい気持ち
  4. 刺激:ドキドキわくわくする新しい体験を求める気持ち
  5. 自律:自分の考えで自由に行動したい、やりたいことを追求したい気持ち
  6. 普遍:すべての人や自然が幸せであることを大切にしたい気持ち
  7. 博愛:自分の身近な人たちの幸せを大切にしたい気持ち
  8. 調和:ケンカせず落ち着いて行動し、自分の感情をおさえることを大切にする気持ち
  9. 伝統:昔からの習わしや信じてきたことを守りたい気持ち
  10. 安全:自分やまわりの人が安心して暮らせるようにしたい気持ち

 

ステップ3:その人の価値観に合った関わり方や提案をしてみる

ここからが大事なポイント!性格や価値観をふまえて、その人に合いそうな話し方・頼み方・すすめ方を考えてみましょう。

 

相手の開放性が高そうなら
  • 「これ、新しいやり方なんだけど、試してみない?」
  • 「自由に決めていいよ。工夫してくれるとうれしい!」
  • 【ビジネス】「新しいアイデアを出せる場」を用意

 

相手の協調性が高そうなら
  • 「みんなが助かるから、お願いできる?」
  • 「○○くんなら、気づいてくれると思ってたよ」
  • 【教育】「◯◯さんの気づかいで、クラスが助かったよ」という関わりが響く

 

相手の外向性が高そうなら
  • 「これ成功したら、きっと注目されるよ!」
  • 「リーダーやってくれたら、場が盛り上がりそう!」
  • 【恋愛】「◯◯できてすごいね!」の承認が効果的

 

相手の勤勉性が高そうなら
  • 「しっかり準備してくれて助かったよ」
  • 「このやり方、順番も決まってるから安心だよ」

 

 

ステップ4:相手の反応を見て、関わり方を調整する

うまくいったかどうかは、相手の反応を見ればわかります。

  • 目が輝いたり、やる気を出したりしてくれたら→価値観に合っているサイン!
  • んとなく反応がにぶかったら→他の価値観を考えて、別の声かけにチャレンジ!
例:
  • 「自由でいいよ」って言ったときに不安そうなら→その子は「安全」の方が大事かもしれません。やるべき手順を明確にしてから頼んだ方が良いでしょう。
  • 権力」志向がある人には→「リーダー役を任せる」など、責任や影響力を意識して頼むといいでしょう。

 

ステップ5:「合わない相手」への理解でストレスを緩和しよう

自分と違う価値観にイライラしたら、相手の性格や価値観の背景を考えてみるといいでしょう。

例:
  • 「なんであの人は慎重すぎるのか」→勤勉性が高く、「安全」を大事にしているのかも
  • 「遊びのノリが通じない」→勤勉性が高く、「快楽」「刺激」を好まない価値観と理解し、求め方を変える
  • 「やけに権力志向の人に違和感がある」→外向性が高く、「権力」を大事にしているのかもと客観視する

 

【実践②】性格・価値観一覧マップで自分と相手の価値観を見える化しよう

ビッグファイブの性格特性と、対応する10の価値観の関係を一覧化したマップです。自分や他人の性格から価値観を探るときに活用できます。

 

価値観(10分類) 内容(簡略) 開放性 協調性 外向性 勤勉性
自律 自分で自由に選びたい ◎強くつながる △ややあり
刺激 新しい体験を求める ◎強くつながる ×弱い ○ややあり ×弱い
快楽 楽しさ・気持ちよさを重視 ◎つながる ○つながる ×弱い
達成 努力して成果を出したい ○つながる ×弱い ◎強くつながる ◎強くつながる
権力 地位や影響力を得たい △やや弱い ×弱い ◎つながる
普遍 すべての人・自然を大事に ○ややつながる ◎強くつながる
博愛 身近な人の幸せを大事に ◎強くつながる
調和 感情を抑え、平和を重視 ×弱い ◎つながる ◎強くつながる
伝統 習慣や文化を守る ×やや弱い ○つながる ◎強くつながる
安全 安心・安定を求める ×やや弱い ○つながる ◎強くつながる

自分と相手それぞれの価値観を把握するために、以下のステップを踏んでみましょう。

  1. それぞれの価値観に対して、「自分はこれが大事だな」と思うところに○をつける。
  2. 価値観を知りたい相手に対して、大事だと思う価値観に○(別の色で)をつけてもらう。
  3. 相手の○と自分の○が重なる部分→「共感しやすい価値観」
  4. 違いが出た部分→「意見が合わない理由」や「価値観のすれ違いポイント」
  5. 特にずれが大きい価値観があれば、実践①を参考に、その人との接し方・頼み方の工夫を考える。

 

まとめ

人との関わりって、つい「自分のやり方」で進めたくなるものですよね。でも、相手がどんなことを大切にしているかをほんの少し想像してみるだけで、空気がふわっとやわらかくなったり、信頼感が生まれたりします。

今回紹介した方法は、特別な道具もテクニックもいりません。

学校でも、職場でも、家族との会話でも、今日からすぐに使える“やさしいスキル”です。

あなたも、ぜひ身近な人をちょっとだけ観察して、「この人はどんな価値観を持っているのかな?」と考えてみてください。きっと、今まで見えなかったその人の“本当の顔”が、少しずつ見えてくるはずです。

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