「AIはなんとなく嫌」を解剖!5つの性格別に見る「AIへの態度」

性格を活かす・見抜く

今回は職場などの環境でAIを取り入れたい人に向けた内容です。

  • 同じチームにAIに前向きな人と強い抵抗を示す人がいる
  • 説明しても嫌がる理由が「なんとなく嫌」と曖昧
  • AIを取り入れるためにどのような介入をするべきか悩む

最近では「AIを使うのが当たり前」という風潮になってきています。しかし、同時にAIに対して抵抗感を示す人も多いです。そこで今回はAIに対してどのような態度をとるかは性格によって決まることを解説します(最初にビッグファイブの理論について解説しますが知っている方は目次から飛ばしてください)。

 

ビッグファイブとは?

ビッグファイブとは人間の性格は5つの要素の組み合わせで構成されているという考え方のことです。心理学者であるルイス・ゴールドバーグが提唱しました。特性五因子とも呼ばれています。
 
ビッグファイブの5つの特性は以下の通りです。
  1. 外向性:社交的、活発的かどうか
  2. 協調性:他人への思いやりや共感力が高いかどうか
  3. 勤勉性:意志力や責任感が強いかどうか
  4. 神経症傾向:不安やストレスを感じやすいかどうか
  5. 経験への開放性:知的好奇心や想像力が高いかどうか

ビッグファイブの特徴は「型」で判断するわけではない点です。MBTIやエニアグラムなどのように「あなたは◯◯タイプ」という判断はしません。例えば、「この人は外向性が高いから外向型」という表現ではなく、「この人は外向性が高く協調性も高く勤勉性は中ぐらい、神経症傾向は中ぐらい、開放性は低い」というように判断します。

5つの特性を数値で評価して総合的に判断するので、より多様な性格を説明することできます。

 

外向性が高い人は意外にもAIに否定的?

2022年に韓国の徳成女子大学校などの研究者たちが発表した論文によると、性格によってAIに対してどのような態度をとりやすいかが調べられています。

 

内容

オンライン調査のウェブサイトを通じて集めた1530人(平均年齢37.4歳)を対象。対象者には以下の項目について回答してもらった。

  • 個人の性格:ビッグファイブの5つの特性を測定。
  • 情報技術への革新性:新しい技術を試す意欲が高いか。
  • AIに対する態度
    • 感情的側面
      • ポジティブ感情:AIによって変化する未来について考えた時に喜びや興奮を感じる。
      • ネガティブ感情:AIによって変化する未来について考えた時に恐怖や不安を感じる。
    • 認知的側面
      • 社会性:AIを使うことで他人との関係構築に役立つと思うか、AIによって自立的になれると思うか、AIは温かみがあると思うか。
      • 機能性:AIを使うことで仕事で有能になれると感じるか、仕事をより効率的にこなせると思うか、どの程度AIを利用しようとするか。

 

結果
  • 協調性が高いほどAIに対して、ポジティブな気持ちもネガティブな気持ちも両方抱きやすい傾向が見られた。また、社会性と機能性の両方を高く評価する傾向があった。
    • 考察:「AIを使うのが当たり前になりつつある」という現代の流れに合わせやすいからだと考えられます。
  • 外向性が高い人ほど、AIに対してネガティブな感情を持ちやすく、機能性を低く評価しがち。
    • 考察:外向性が高い人は「自分が活躍したい」「評価されたい」という意欲が高いので、人間の能力を脅かすAIの機能に難色を示すと考えられます。
  • 勤勉性が高い人は、AIに対してネガティブな感情を持ちづらかった。機能性を高く評価するが、社会性は低く評価しがち。
    • 考察:勤勉性が高い人は成果を求め物事を効率的に進めるのを好むためAIにサポーターとして好意的に捉える傾向があると考えられます。
  • 神経症傾向が高い人は、ネガティブな感情を持ちやすかったが、社会性は高く評価する傾向もあった。
    • 考察:対人不安を感じずに済むため、AIによるチャットなどは高く評価すると考えられます。
  • 開放性が高い人は、AIの機能性を高く評価していた。また、開放性が高い人ほど、情報技術の革新性も高い傾向が見られた。
    • 考察:開放性が高い人は新しい知的経験に対して積極的なため、新しい技術の機能を高く評価するのは自然です。
  • 情報技術への革新性が高い人は、AIに対してポジティブな感情を持ちやすく社会性や機能性を高く評価した。

 

考察

協調性が高い人は、AIに対して多少の不安や恐怖はあるものの、ポジティブな気持ちを示そうと努力しているというニュアンスでしょう。理由は、協調性が高い人は「AIを使うことがこれからは当然になってくる」という規範に従いやすいからです。

なお、勤勉性が高い人はAIの機能面は高く評価するものの、チャットボットや音声アシスタントなどのAIの社会面には否定的なようです。理由は、勤勉性が高い人は曖昧さを苦手とするからだと考えられます。例えば、会話型のAIは同じ質問でも場面によって答えが変わるなど、曖昧さがあります。

 

さて、これらの結果から、AI開発者や教育者がAIを普及するためには、利用者の性格まで考慮した方がいいと考えられます。例えば、神経症傾向が高い人に対しては、AIによる恐怖心を和らげつつ、AIに手軽に悩みを相談できるツールなどを提供するのが効果的です。

【実践】性格に応じてAIを導入してみよう!

以下に、それぞれの性格別のAIへの態度をまとめてみました。また、AIを受け入れてもらうための対策も考えてみました。

 

外向性が高い人

  • AIの機能性を低く評価しやすい
  • ネガティブ感情が出やすい
  • 「自分が活躍したい」動機が強い

 

介入例
  • AIは「あなたの活躍をさらに引き出すツール」と位置づける(例:営業職なら「AI分析でプレゼンの説得力が上がる」)
  • 人との関わりを増やす用途で導入(例:AIが事務作業を肩代わり→顧客との時間が増える)
  • 競争を刺激しない説明をする(例:「AIが仕事を奪う」ではなく「強みを伸ばす補助役」と演出)

 

協調性が高い人

  • AIに対してポジティブ感情もネガティブ感情も両方感じやすい
  • 「みんなが使っているなら使う」傾向が強い
  • 機能性も社会性も肯定的に評価しやすい

 

介入例
  • 「職場で広く使われ始めている」など社会的規範を示す(例:社内で利用率を共有、他部署の成功事例を紹介)
  • AIを使うことでチーム協力が高まることを示す(例:AI要約で会議負担が減り、全員が公平に情報共有できる)

 

勤勉性が高い人

  • ネガティブ感情は少ない
  • 機能性は高評価
  • 曖昧な応答やルールの緩さが苦手なので、チャット系のAIは低く評価しがち
介入例:
  • 明確な手順・使い方を提示する(例:マニュアルを作成、テンプレート化)
  • 曖昧なチャットAIよりも、ルールが明確なAIツールを優先して使ってもらう(例:採点AI、検証AI、チェックリスト生成AIなど)

 

神経症傾向が高い人

  • 「自分でも活用できるか不安」などのネガティブ感情が出やすい
  • ただし、AI相手は気を遣わなくてよいため社会性の評価は高い
介入例:
  • 「失敗しても怒られない」「いつでも相談できる」AIの入り口を用意(例:ミスを気軽に聞けるAIヘルプデスク)
  • 小さな成功体験から慣れてもらう(例:まずAIに文章を軽く整えてもらう程度のタスクから)
  • 不安を減らす構造化された使い方を提示(例:入力例、手順、使い方動画など)

 

開放性が高い人

  • 新しい知的刺激が好き
  • 機能性を高評価
  • 技術革新にも関心が高い
介入例
  • 新機能やベータ版を優先して触ってもらう(例:社内でパイロット運用のメンバーに入ってもらう)
  • クリエイティブ用途を任せる(例:AIを使った発想補助、企画書プロトタイプ作成)
  • 発見を共有する場を作るとモチベーション向上(例:AITips会で活用案を紹介してもらう)

 

 

【実践②】AIに対する態度からその人の性格を見抜いてみよう

特に対人では分かりづらい神経症傾向や開放性などを知りたいときは、「AIについてどう思う?」「AIで何か使っているツールとかありますか?」と尋ねてみるといいでしょう。

  1. AIについての質問をしてみる(例:「AIについてどう思う?」「AIで何か使っているツールとかありますか?」)
  2. AIへの態度を以下の4点から分析
    1. 機能性の評価:便利、不便、精度、効率、仕事での使い道などをどう捉えているか。
    2. 社会性の評価:AIとの会話、AIで人脈作りやコミュニケーションサポートなどをどう捉えているか。
    3. ポジティブ評価:好き、感動、期待、安心などを感じているか。
    4. ネガティブ評価:嫌い、不安、戸惑い、恐怖などを感じているか。
  3. 性格を分析してみる

 

反応例:
  • 機能性をポジティブに評価:「AIってすごいよね。仕事が楽になる」「もっと新しい使い方があるはず!」
    • → 勤勉性・開放性が高い可能性。
  • 社会性をポジティブに評価:「AIって話し相手としては気楽でいいね」 
    • →神経症傾向が高い可能性。
  • 機能性をネガティブに評価:「自分に使いこなせるか不安」「AIに仕事取られそうで怖いな」「結局人間の代わりはできないでしょ」「自分でやったほうが早いし達成感ある」「間違っているかもしれないし、結局確認作業が増えるから嫌だ」
    • →外向性・神経症傾向が高い可能性。
  • 社会性をネガティブに評価:「AIに話しても無難な回答しか返ってこないし、解決にならないよ」「AIに相談しても、結局人間みたいな感情はないし、プライベートでは使わないかな」
    • →勤勉性が高い可能性。
  • ネガティブ混じりのポジティブ:「みんな使ってるし、まぁ使わないとな」
    • → 協調性が高い可能性。

 

まとめ

  • AIに対する態度はビッグファイブの性格特性によって大きく変わる。
  • 外向性が高い人はAIを脅威として認識しやすく、開放性が高い人は積極的に技術を評価する。
  • 協調性・勤勉性・神経症傾向も、それぞれ異なる理由でAIへの評価に影響する。
  • 性格別にアプローチを変えることで、職場でのAI導入がスムーズになる。

 

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