今回は創作活動に取り組んでいる人に向けた内容です。
- 小説で登場人物を描写するときに、会話や地の文に偏って素人っぽさが出る(例:「彼は几帳面な性格だった」と書いてしまうなど)。
- 演劇で小物を用意するときに効果的に人物のイメージを伝えたい。
- イラストや漫画で背景を書くのが苦手。人物は描けても部屋に説得力がない。
このようにキャラクターの性格の表現に悩んでいるときには、心理学の知識が使えるかもしれません。部屋に残る手がかりと居住者の性格について調べた研究を見てみましょう。
予備知識

部屋から性格を見抜く!性格が表れる32項目の観察リスト【オフィス&寝室】
今回は、シャーロック・ホームズのように「部屋を観察するだけでその人の人となりを見抜きたい」という人に向けた内容です。オフィスや寝室を見るだけでその人の性格を見抜く!2002年にテキサス大学などの研究者たちが発表した論文によると、オフィスや寝...
以前の記事では、オフィスや寝室を見るだけでその人の性格を見抜くことができることを解説しました。今回は同じ論文なので、詳しい研究のデザインの解説はこちらの記事に譲ります。
性格を演出する空間の描き方
2002年にテキサス大学などの研究者たちが発表した論文によると、オフィスや寝室に残る手がかりが居住者のどんな性格をイメージさせるのかを調べています。
この研究は創作活動に活かすことができます。例えば、部屋のデザインやレイアウト、飾るもの、置くものを工夫することで、その部屋を見た人に対して特定の人物像のイメージを抱かせることができるからです。
例えば、真面目なキャラクターについて「◯◯は真面目な人物だ。」と描写するのでは芸がないですよね。一方で、「オフィスの机の上には几帳面にペンが並べられている」と描写すれば、真面目で几帳面な人物だと効果的に伝えることができるでしょう。

A room with a cue: personality judgments based on offices and bedrooms - PubMed
The authors articulate a model specifying links between (a) individuals and the physical environments they occupy and (b...
研究の結果は以下の通りでした。
結果(オフィス)
- 観察する人が同じような印象を抱くか:観察者同士の性格の評価は概ね一致していた。中でも最も一致が強かったのは開放性、次に勤勉性となり、外向性、協調性もある程度の一致が見られたが、情緒安定性は一致度が低かった。
- 注目されやすい手がかりは何か:
- 勤勉性:空間の良い使い方(相関係数r = 0.56)、清潔さ(r = 0.44)、整理されている(r =0.73)、物が散らかっていない(r = 0.55)などの項目に当てはまる部屋に対しては「勤勉性が高そう」という印象を抱いた。
- 開放性:空間の独自性(r =0.60)、装飾の多さ(r =0.49)、雑誌の量(r =0.34)、本の量と種類の多さ(r =0.28、0.44)、CDの量と種類の多さ(r =0.32、0.61)などの項目に当てはまる部屋に対しては「開放性が高そう」という印象を抱いた。
- 外向性:装飾が多い(r =0.48)、明るい雰囲気(r =0.47)、カラフル(r =0.46)、散らかっている(r =0.24)、招き入れる雰囲気がある(r =0.35)、型にはまらない(r =0.41)などの項目に当てはまる部屋に対しては「外向性が高そう」という印象を抱いた。
結果(寝室)
- 観察する人が同じような印象を抱くか:観察者の評価は一致している傾向が見られた。開放性、勤勉性、外向性、協調性の順番に一致しており、情緒安定性はほとんど一致していなかった。
- 注目されやすい手がかりは何か:
- 勤勉性:清潔さ(相関係数r =0.61)、整理整頓(r =0.70)、散らかり具合(r =0.56)などの項目に当てはまる部屋に対しては「勤勉性が高そう」という印象を抱いた。
- 開放性:部屋の独自性(r =0.35)、装飾の程度(r =0.35)、本・雑誌・CDの量や種類などの項目に当てはまる部屋に対しては「開放性が高そう」という印象を抱いた。
- 協調性:明るい(r =0.66)、カラフル(r =0.51)、清潔(r =0.37)、整理整頓(r =0.26)、きちんとしている(r =0.33)、快適(r =0.43)、招かれた感じ(r =0.52)、衣服が散らかっていない(r =0.39)などの項目に当てはまる部屋に対しては「協調性が高そう」という印象を抱いた。
- 外向性:装飾(r =0.41)や散らかり具合(r =0.24)などの項目に当てはまる部屋に対しては「外向性が高そう」という印象を抱いた。
考察
オフィスでも寝室(自室)でも、観察者が共通のイメージを抱いていたことがポイントです。
- 例えば、外向性が高いキャラクターを描写したいなら、部屋をカラフルで明るい雰囲気に描写すればよさそうです。これは世間のイメージ通りですね。
- 開放性が高い人(好奇心があり、独自の感性を持っている人)を描写したいなら、本や装飾がたくさんある雰囲気を描写すればよさそうです。
特に、そのキャラクターの開放性や勤勉性などは空間の表現によってアピールしやすく一貫した印象を与えられそうです。
性格を演出できるオフィスと寝室の手がかりについて、詳しい結果は実践編でまとめます。
【実践】空間の描写で、キャラクターの個性を効果的に表現してみよう!
性格を印象付ける部屋の特徴として、研究のなかで観察者の共通認識が得られたものだけをまとめてみました。実践は以下のステップで進めてみましょう。
- 表現したい性格を決めよう
- リストを参考に、性格に該当する空間の描写をリストアップしよう
- 実際に空間を描いてみよう(例:文章で描写する、背景に配置する)
オフィスから性格を演出する36のリスト

コメント