今回は創作的な活動(文章・絵・音楽・創作料理など)をしている人に向けた内容です。世間で成功しているクリエイターを見ると、「自分も創作活動で生計を立てられるようになりたい!」と思ってしまいますよね。
しかし、クリエイターになることを目標にするとクリエイティブさが落ちてしまうかもしれません。
義務感は創造性を下げる
2019年にグラーツ大学などの研究者たちによって発表された論文によると、義務感で創作活動をしてしまうと成果につながりにくいことが示されています。
内容
被験者がどのような動機を持って創造的な活動に取り組んでいるかを調べた。また、被験者が創造的な成果をどれぐらい上げているかを調べた。
なお、ピックアップされた動機は以下の9つ(実践で詳しく解説)。
- 楽しさ
- 自己表現
- 挑戦
- コーピング(ストレス対処)
- 向社会性
- 社会性
- 物質的報酬
- 承認
- 義務感
結果
- 楽しみ・表現・挑戦といった動機は、創造的行動と強く結びついていた。
- 一方で物質的動機・義務感は創造的行動に結びつかなかった。
- また、視覚芸術(絵画やマンガ、写真など)・文学(小説やブログなど)・音楽などでは自己表現やストレス対処の動機を持つ傾向があった。→「自分を表現したい」という動機や、「自分の心の傷を癒したい」という動機がある。
- 手工芸(編み物やアクセサリーなど)や創作料理では向社会性や承認欲求によって動かされる傾向があった。→「誰かの役に立ちたい」「誰かに認められたい」と言う動機がある。
考察
研究の重要なポイントをまとめると以下のようになります。
- 「楽しいからやる」「自分の世界を表現したいからやる」「難しい技術を上達させたいからやる」という動機を持つと、創造的になりやすい
- 「お金のためにやる」「仕事だからやる」という動機を持つと創造的になりにくい
重要なのは内発的動機(「好き」「やりたい」など内側から湧いてくる動機)であることです。逆に外発的動機(「褒められるから」「お金をもらえるから」という外側からの動機)で創作活動すると上手くいかない傾向があります。
ですから、クリエイターとしてお金を稼ぐために創作活動に取り組むという動機では、クリエイティブな作品を作れなくなってしまうでしょう。仕事は別に持って、創作的な活動はあくまでも趣味として続けるというのが創造性を発揮する上でベストと言えるかもしれません。
それでも自分の趣味を仕事にしたいと思う場合、あくまでも自分が好きだからやる、腕を磨きたいからやるという動機を失わないようにしましょう。逆に、お金のためやみんなの期待に応えるためという動機に差し変わらないように注意が必要です。
実際に、歴史を見てみても、創造的な哲学や芸術が生まれた時代の背景には、義務感のない自由な風潮がありました。
- 例えば、古代ギリシャの哲学者は革新的思想を生み出しています。彼らは労働の義務がなく、自由な思索に集中できた背景があります。
- また、ルネサンス期の文化人も資産家に保護されることによって活躍できました。
やはり義務感がなく、自由に創造性を発揮できる環境が、新しい発見や表現につながるのでしょう。
【実践】義務感を捨てて創作を楽しもう!
ステップ1:まずは自分の興味のある創作分野をピックアップしよう
まずは自分がワクワクする創作分野をリストアップします。やらなきゃではなくやってみたい!という気持ちを優先することが大切です。
以下は、研究で使われた9つの創作活動の分類をもとに、創作活動をピックアップしたものです。参考にしてください。
- 手工芸:編み物、刺繍、パッチワーク、陶芸、木工、レザークラフト、アクセサリー作りやDIY家具
- 創造的料理:冷蔵庫の残り物でオリジナルレシピを考案、世界各国の料理をアレンジして再現、食材の組み合わせを工夫した新しいスイーツ作り
- 視覚芸術:絵画、イラスト、マンガ、写真、映像制作、デジタルアートやCG作品
- 文学:詩や短編小説を書く、ブログやエッセイで自己表現、シナリオや脚本を創作する
- 音楽:作曲や即興演奏、歌詞を書く、弾き語りする、DTMでトラックを作る
- パフォーミングアート:演劇、ダンス、即興パフォーマンス、コメディ、パントマイム、YouTubeやSNSでのライブ配信パフォーマンス
- 科学技術:プログラミングやアプリ開発、ロボットや電子工作の製作、3Dプリントや新素材を使ったものづくり
- 自然科学:実験や観察から新しい仮説を立てる、独自の研究ノートを作成する、身近な自然(植物、昆虫、天体など)をテーマにした調査や記録
- 社会的・人間関係的活動:誕生日会や文化祭などのイベントを企画する、友人同士で遊びのルールを作る、オンラインコミュニティで新しい交流の形を考える
ステップ2:自分が創作活動に取り組むときの「動機」をチェックしよう
研究でピックアップされた創造的活動の動機について詳しく見ていきましょう。自分がどのような動機を持って創作活動をしているかチェックしてみるといいです。
9つの動機
- 楽しみ:創作そのものが楽しいからやる。やってると時間を忘れる単純に好きだからという動機。
- 自己表現:自分の考えや感情を形にしたいからやる。日記を書く、絵を描く、曲を作るなど、自分らしさを外に出すことが目的。
- 挑戦:難しいことに取り組んでみたい、限界に挑戦したいからやる。新しい技術を覚える、より高いレベルを目指すといった動機。
- コーピング(ストレス対処):ストレスや悩みを和らげるためにやる。モヤモヤしたときに絵を描いたり、文章を書いて気持ちを整理するような動機。
- 向社会的動機:誰かの役に立ちたい、社会に貢献したいからやる。教育用の教材を作る、人のためにデザインするなど。
- 社会的動機:人とのつながりのためにやる。仲間と一緒に創作したい、交流のきっかけにしたいといった動機。
- 物質的動機:お金や物質的な見返りのためにやる。収入になる、商品化できる、人気が出れば得をするなど。
- 承認:他人から褒められたい、認められたいからやる。評価や注目を求める気持ちが中心。
- 義務感:やらなければならないからやる。仕事や役割の一部として創作が求められている場合など。
ステップ3:スケジュールはゆるく設定しよう
まずは毎日投稿や毎週制作ではなく、3日に1回、週に2回など、自分が無理なく続けられるペースで創作をスケジュールします。
例
- 投稿頻度を柔軟に決める:毎日ではなく週に2~3回、あるいは3日に1回といったゆるいスケジュールにする、投稿日をカレンダーに書き込むのではなく、週内に〇回とだけ決めると、気楽
- 小さなアウトプットを設定する:作品1つ完成を目標にせず、スケッチやアイデアメモなどの小さなアウトプットでOKとする(例:1日1行の文章、ラフスケッチ1枚、音楽のワンフレーズなど)
- ルーチンではなくトリガーを使う:生活の中の既存の行動にくっつけて習慣化する(例:コーヒーを飲んだ後に5分だけ創作メモを書く、入浴後にアイデア整理する)
ちなみに、筆者もブログを投稿していますが、最初は情報を網羅した完璧な記事を目指して投稿していました。しかし、完璧を目指すと一つの記事を完成させるのに何日もかかってしまいます。そこで、全ての情報を網羅しようとせず、「読者に一つだけでもメッセージが伝えればいい」という基準を設けてみました。例えば、今回の記事の場合なら、「『創作活動をする上で義務感が出ないように工夫してみよう』ということだけ伝わればいいかな」という感じです。
まとめ
創作活動で大切なのは、義務感ではなく「楽しさ」や「自己表現」といった内発的な動機です。お金や承認を目的にすると創造性が下がるため、無理のないペースで取り組むことがポイントになります。
自分の好きやワクワクを原動力にすることで、自然に創造的な成果が生まれていくでしょう。

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