今回は絵画・音楽・文章などの想像的な活動において力を発揮したい人に向けた内容です。
- 新しい刺激が欲しいのに、仕事や日常が単調で創造力が枯れている。
- 作品のテーマに“愛”を扱っても、どこか空虚な気がしてリアルさが出せない。
- 恋愛の熱をうまく創作のエネルギーに変換したい。
実は、実際に恋愛をしていなくても異性を意識するだけで創造性がアップすることがわかっています。
男性は魅力的な女性とデートする妄想をするだけで創造性が高まる。女性は…
2006年にミネソタ大学などの研究者たちが発表した論文によると、異性を意識することによって創造性がアップしたことが示されています。
内容(実験①)
91名の男女(平均年齢19歳)を対象。
- 対象者に短い物語を書いてもらった(ベースの創造性を把握)。
- その後、対象者を2つのグループに分けてそれぞれのワークに取り組んでもらった。
- 魅力的な異性を意識するグループ:出会い系サイトから収集した魅力的な異性6枚の写真を見せる。その中から最も理想的な恋愛相手を選んでもらい、「この人との理想的な初デートを想像しその内容を文書で書いてください」と指示した。
- 無関係な写真を見るグループ:恋愛的要素を含まない写真(街並みの写真など)を見て、「その通りを散歩するとしたら最も気持ち良い天気はどんな天気か書いてください」と指示した。
- それぞれの写真を見た後、もう一度短い物語を書いてもらった(介入の後の創造性の変化を把握)。
なお、介入の前と後に書いてもらった物語に関しては、対象者とは別の学生がその内容の創造性(創造的・独創的・機知に富む・面白い・楽しい・魅力的などの項目)を評価した。
また、対象者が物語を作る上でどれだけ努力したかを測るために、物語を書くのに費やした執筆時間や語数も把握した。
結果
- 男性において魅力的な女性を意識したグループは創造性の評価が上がっていた。
- ただし、魅力的な女性を意識した後でも努力量は変わっておらず、執筆により多くの時間をかけたり、より多くの語を使ったという傾向はみられなかった。
- つまり、異性を意識することによって努力量が増えたのではなく、創造性の質そのものが高まったと言える。
- 女性は魅力的な男性を意識したグループでも創造性の評価に変化はなかった。
内容(実験③)
157人の男女を対象。実験①と基本的な流れは変えず、今度は対象者を4つのグループに分けて比較。
- 異性との短期交際を意識するグループ:異国の島での休暇日にて、魅力的な異性と出会い、ロマンチックな夕食をともに過ごし、月明かりのビーチで情熱的にキスをするといったストーリーを想像。二度と会わない可能性が高い点を強調。
- 異性との長期交際を意識するグループ:大学キャンパスで魅力的な相手と出会い、素敵な午後やディナーを過ごし、夜にはキスをする、この相手が将来的にいいパートナーになるかもしれないといったストーリーを想像。
- すでに良好な関係にある異性との長期交際を意識するグループ:2のストーリーに、カップルはすでに付き合っており、周りの友だちにも認められており、良好な関係性であるといった点を加えた。
- 異性を意識しないグループ(対照グループ):同性の友達とコンサートに行くシナリオを想像する。
結果(実験③)
- 男性において、短期交際・長期交際・信頼性の高い長期交際のうち、どのパターンであっても創造性がアップする傾向があった。
- 女性において、信頼性の高い長期交際を意識した場合のみ、創造性がアップする傾向があった。
- つまり、女性は長期的な関係を安心して望める異性に対してのみ、自分の創造性をアピールする動機になったと言える。
考察
2つの実験を解説しましたが、研究のポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
- 男性は魅力的な女性を意識することで創造性がアップする。
- 女性は長期的な関係を安心して望める異性とのストーリーを想像したときのみ、創造性がアップする。
お金などの報酬がなくても、魅力的な異性と交際している場面を想像するだけで創造性が上がったのは驚きでしょう。理由は、異性を意識することによって自分を魅力的に見せたい心理が働き、自己表現がうまくなるからだと考えられます。恋愛へのモチベーションを活用すれば、創作活動もはかどるかもしれません。
また、この研究では実際に異性と交際している時に創造性が高まるかどうかは調べられていません。しかし、研究チームの予想によると、魅力的なパートナーがまさに目の前にいるときには、創造性を発揮する効果が最大限に高くなると考えられています。まさに今恋愛を楽しんでいる人も創造性アップの効果が期待できると言えます。
創造性の発揮は異性への性的なアピール!
異性への意識と創造性が関連しているのは不思議かもしれません。創造性と恋愛の関係性は進化論から説明することができます。
つまり、人間が進化して行く上で創造性が高いパートナーを選ぶことが生存率に繋がったということです。なぜなら、原始の生活でも創造性の高さは生存につながったからです。例えば、魚を突くための効率的な方法や小屋を建てる工夫などは、生活の役に立ち子孫を残すことに貢献したでしょう。
ですから、原始の世界ではパートナーを選ぶときに創造性が高い人に惹かれる本能が生まれました。いわば、孔雀にとっての美しい羽と同じように、人間にとっての創造性は異性を惹きつける役割を持っているということです。
ただ、女性では異性を意識することが創造性のアップにつながりにくいようです。その理由は、単に魅力的な異性を見るだけでは足りなかったからでしょう。というのも、女性は目の前の異性が自分を捨てたり浮気することなく、自分や自分の子どものために尽くしているかを確認する必要があります。なぜなら、女性は妊娠すると体の自由が制限され、他の異性と生殖できなくなってしまうからです。妊娠させた後に他の女性に浮気して自分たちに投資してくれない男性ではいけません。
そのため、創造性を発揮して自分の優秀さをアピールするまでのハードルが高いと言えます。
【実践】魅力的な異性を妄想して創造性を高めよう
【男性編】創作前に恋愛イメージをしてみよう
男性の場合は単純です。魅力的な異性を想像し、デートするイメージや、一夜限りの関係を楽しむイメージなどを持つだけで創造性がアップします。
例
- 創作に入る前に、理想的な異性の写真や映像を数分眺める。
- その相手と会話したり、一緒に過ごす場面をリアルに想像する(例:カフェで笑い合う、プレゼントを渡して喜ばれるなど)。
- 「その人に好印象を与えたい」と感じるまで想像を深めてから作業開始。
- 「この作品を見たら、自分に惚れてしまうかも」と思いながら作品を作る。
創作物を「異性にアピールする自己表現」として意識的に位置づけるのがポイントです。
【女性編】
女性の場合は、単に魅力的な異性を想像するだけでは創造性を発揮しません。創造性のスイッチを入れるためには、魅力的な異性が自分に対して尽くしてくれる人で、長期的な関係を望んでくれているというストーリーを意識する必要があります。創作に入る前に以下のようなルーティンを試してみましょう。
例
- 自分への純愛を語りかけてくれるラブソングを聞く。
- すでに恋人として自分を支えてくれている異性を想像する(架空のストーリーでもOK)。
- 一緒に料理をする、会話の中で理解し合うなどパートナーとしての振る舞いを具体的に思い描く。
- 「この作品を見たとき、彼が私をどう感じるだろう?」という視点でアイデアを磨く。
まとめ
- 男性は魅力的な異性を思い浮かべるだけで創造性が上がる。
- 女性は信頼できる長期的パートナーを想像したときに創造性が上がる。
- 恋愛を「創作の妨げ」と考えるのではなく、創造力を点火するエネルギー源として活用できる。
恋愛への意識は、創造性を高めるスイッチになるようです。実際の恋愛相手がいなくても、「理想の登場人物」や「想像上の恋人」で十分効果があるようなので、空想に浸ってから創作を始めてみるといいでしょう。
関連知識
以前解説した研究では成功した男性の芸術家は女性からモテやすいことを示しました。モテるために芸術を極めるのは下心を感じるかもしれません。しかし、今回の研究で示したように、創造性を発揮する上で、異性にモテることをモチベーションとするのは合理的なのです。


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