「クラスの発表が地獄…」読むだけで緊張に強くなる研究

陰キャのためのメンタルアップコース
この記事はこんな方にオススメ
「試験やスピーチなどで手が震えたり、声が震えたりする」「ひとりひとり発表させられる授業が地獄」「受験や試合などで能力を発揮できない」

今回は読むだけで緊張に強くなるメンタルを手にいれることができるお話です。

 

読むだけで緊張に強くなる!科学的に認められたマインドセット介入

 
突然ですが、以下のメッセージを読んでみてください。
多くの人が共通テストを受ける時不安になったら失敗してしまうと思っています。 しかし最近の研究によるとストレスを感じるとテストの成績が落ちるどころかストレスを感じている方がむしろ良くなることが分かっています。
 
ですから試験中にストレスを感じてしまっても焦ることはありません。 「ストレスのおかげでうまくいきそうだ!という風に思えばいいのです
はい、これで皆さんは読む前よりも、緊張に強くなることができました。
 

種明かしをしましょう。

上記はロチェスター大学の心理学者ジェレミー・ジェイミソンが行った実験で使われたメッセージです。「緊張する場面にて、緊張は自分を強くしてくれるものだ」というメッセージを知っているだけで、実際に緊張を力に変えることができるという結果が出ています。

 

根拠となる研究

ロチェスター大学の心理学者ジェレミー・ジェイミソンが行った実験

  1. 被験者として大学生を集め数学の模擬テストを行う
  2. 試験前にストレスを測るために唾液を採取する
  3. 一部の被験者には、模擬テストの前に上記のようなメッセージを伝える
  4. 結果、メッセージ聞いた生徒は、メッセージを聞いていない人よりも成績が優位に向上した
  5. なお、試験後にも唾液を採取した結果、成績が良かった生徒たちはストレスホルモンの量が減っていたわけではなく、むしろ増えていたことがわかった
ポイントは、たったメッセージを贈るというだけの介入でストレスに強くなったという点。
 
そしてストレスに強くなったといっても、ストレスを感じていないわけではないという点です。
  
 
つまり、「ストレスや緊張は有害ではない」と知っているだけで、実際にストレスを力に変えることができるのです。
 
 
ですから、クラス内でのスピーチなどに苦手意識がある場合は、「緊張は自分を強くしてくれるんだ。緊張のおかげでうまくいきそうだ!」と考えるようにしてみましょう。

 

直前まではネガティブに考えまくれ!?

「ネガティブに考えてしまう」「不安が抑えられない」そんな風に心配して夜も眠れないという経験はあるかと思います。

 

大事な場面で物事をネガティブに考えてしまう人のことを防衛的悲観主義者と言います。防衛的悲観主義とは、あり得るマイナスの出来事を想像して心の準備をしておくとする人たちのことです。

 

防衛的悲観主義者の人は大事な場面の前には、よりネガティブな想像をしていた方がパフォーマンスが上がることが証明されています。

つまり、「緊張したら駄目だ」「大丈夫大丈夫」と無理やりポジティブに考えるのではなく、「もしかしたら受験中にお腹が痛くなるかもしれない」「もしかしたら遅刻してしまうかもしれない」「問題が全く解けないかもしれない」「覚えたことを忘れてパニックになるかもしれない」…などなど考えられるマイナスの状況を全て想定しておきましょう。

 

頭の中で究極のマイナスイメージを作っておけば、本番で「意外と大丈夫かも」と安心することができます。

緊張してなんかない。興奮してるんだ!「リアプレイザル」

受験前日までにいくら準備してもやはり本番は緊張するものです。

試験本番で有効なテクニックは「リアプレイザル」というテクニックです。リアプレイザルとはネガティブな感情をポジティブに考え直すことです。

 

「緊張しているんじゃなくて、興奮しているんだ」と捉えることによって、緊張をうまく使うことができます。

 

根拠となる研究

リアプレイザルの有効性を確かめたある研究をご紹介します。

  • 被験者を集めてスピーチをしてもらった
  • スピーチをしてもらう前に二つのグループに分け、片方のグループには「不安を感じたらその間を受け入れてください」と介入。
  • もう片方のグループには「不安を感じたら緊張してではなくて興奮しているのだ」と考えてみてくださいと介入した。
  • 「緊張ではなく興奮だ」と捉えたグループの方がスピーチを堂々と行い、説得力も高いと評価された

つまり、「緊張したらダメだ」と抑圧するのではなく、「パフォーマンスを発揮するために体が準備しているのが興奮しているのだ」と捉え直してみるといいです。

 

別人格になりきって自分を励ます

ユニークな手法では別人格になりきるというものがあります。

 

根拠となる研究

被験者にスピーチをさせる実験。

  1. スピーチの前には5分間待機してもらう。待機するときに被験者を2つのパターンに分ける
  2. ①「自分はどうして緊張しているんだ」「ゆっくりと話すぞ」と一人称で対話してもらう
  3. ②「君は緊張しているのかい?」「君はゆっくりと話したほうがいいよ」と二人称で対話してもらう
  4. 結果、②の二人称で自分に語りかけたグループの方がスピーチの評価が高かった

つまり、緊張する場では誰か他の視点から自分を観察したほうがいいのです。もう一人の別の人格を憑依させて自分に語りかけるようなイメージです。

緊張で頭がいっぱいになっている自分と距離をとることができるので、落ち着きを取り戻すことができると考えられます。

 

「他人だとしたらどう思うか」と考えるだけで、失敗しても恥ずかしくなくなる

人前に出てから何かをするときには、「失敗して恥をかいたらどうしよう」という不安が襲いかかります。

僕は人よりも緊張しやすいタイプなので、教室で一人でスピーチをする場面では、必ず声が震えていました。「声が震えるのが恥ずかしい」という意識にとらわれる分、失敗する確率も上がってしまうという悪循環でした。

 

「恥ずかしい」という感情に支配されたときには、他人事として考えてみると効果的です。

例えば、「自分ではなくてAさんが声を震わせながらスピーチをしていたらどう思うか?」と考えてみるのです。

すると「『緊張しているんだな』と思うぐらいで、意外と気にしないかもな」と思えてきます。

 

 

カナダのウォータールー大学のイゴールグロスマン教授 によって行われた研究でも、 他人の視点で一歩引いて考えるだけでも恥の感情が激減することが分かっています。

人間は自分のこととなると、自意識過剰になりがちです。一度人前で恥をかいただけで、「一生笑われるかもしれない」「弱い人間だと思われるかもしれない」と被害妄想を繰り広げてしまいます。

 

一度他人事としてとらえてみると、恥ずかしさが軽減されるので試してみてください。

 

プレ・パフォーマンス・ルーティンを行う

部活などで練習通りのパフォーマンスができないという方は「プレ・パフォーマンス・ルーティン」がオススメです。

「プレ・パフォーマンス・ルーティン」とはプレッシャーがかかる場面において、精神を乱さないための決まったルーティンを行うことです。

 

例えばサッカーのフリーキックや、バレーのサーブなど緊張する場面で、ルーティンを取り入れているスポーツ選手は多いです。例えばラグビーの五郎丸選手の「五郎丸ポーズ」も自分を落ち着かせるためのルーティンと言えますね。

根拠となる研究

プレパフォーマンスルーティンの効果について、ハーバード大学が研究しています。

被験者を集めて人前で歌を歌ってもらうという実験を行う。その際被験者を二つのグループに分ける

  1. プレパフォーマンスルーティンを行ってもらってから歌い始める
  2. 特に何もせず歌い始める

その結果、1のプレパフォーマンスルーティンを行ってから歌い始めた被験者は堂々と歌いきることができた。対して、何も行っていない2の被験者は「緊張で声が出ない」など散々な結果に終わった

 

ちなみに被験者にやってもらったプレ・パフォーマンス・ルーティンの手順は、

  1. 今の自分の感情を絵に描いてもらう
  2. 描いた紙に塩をふりかける
  3. 5秒数える
  4. その紙をくしゃくしゃにまとめる

というもの。行動自体には何の効果もないのですが、自分への暗示として働くのでしょう。

 

ルーティンが緊張する場面で効果的な理由は、ルーティンを行うことによって脳のメモリを奪うからです。

例えばサッカーのフリーシュートの前にこのようなルーティンを用意するとしましょう。

  1. ボールを手の平で回転させてから地面に置く
  2. 助走をとってその場で4回跳ぶ
  3. 自分のつま先で地面をとんとんっと2回つく。2回ついたらすぐに助走を始めてシュートする。

このようなルーティンを用意しておくと、フリーキックの場面ではルーティンをこなすことで頭がいっぱいになるでしょう。すると「緊張するなぁ」とか「はずしたらどうしよう」といった邪念が入る余地がなくなるのです。

 

ですから緊張する場面では、自分なりのルーティンを用意しておいて実践しましょう。

ルーティンは基本的に何でもいいですが、3つか4つぐらいの手順で行うのをおすすめします。短すぎると頭をいっぱいにする効果が薄くなってしまうからです。

 

まとめ

さて、いろいろ紹介してきたので最後にまとめておきましょう。

  1. 「緊張している方がいい成績が残せる」と知っておく
  2. 直前まではネガティブに考えまくる
  3. 「緊張ではなく興奮しているんだ!と開き直る」
  4. 別人格になりきって自分を励ます
  5. 失敗したら他人事として恥ずかしさを減らす
  6. ルーティンを行う

すべてを行おうとする必要はありません。試してみて自分に合ったものを使ってみてください。

また、「こんなにたくさん科学的な対策を知ってるんだ」と思えるだけで楽になると思います。

 

【今日のクエスト】「緊張を感じる人のほうがパフォーマンスは高い」と知っておこう

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