自尊心教育の嘘
以前は自尊心が高ければ、将来的な成功や心身の健康などにつながるとされていました。
しかし、2002年に心理学者のロイバウマイスター がそれまでの研究の欠点を指摘しました。
自尊心に関わる研究の間違いは大まかに分けて3つあります。
自尊心教育の間違い①.「自尊心」と「自己受容」は別物
自尊心には二つあります。
一つは条件付きの自尊心。もう一つは条件付きでない自尊心です。
- 条件付きの自尊心とは周りと比べて自分の方が優れているという自尊心です。仮に自分よりも優れた人が現れたら自尊心は失われてしまいます。
- 条件付きでない自尊心は、ありのままの自分を受容すると精神です(自己受容)
今回は、条件付きのものを「自尊心」と呼び、条件付きでないものを自己受容」という風に分けて呼びます。そんでもって今回は「自己受容」の方を推奨していきたいと思います。
自尊心教育の間違い②「自尊心が高いほど成功する」というより「成功していれば自尊心は高くなるよ」という話だった
二つ目の問題は自尊心に関する研究で、「原因」と「結果」をまぜこぜにして考えてしまったことです。
確かに自尊感情と将来の業績には相関関係が見られたのですが、自尊心が原因となっているのか結果となっているだけなのかが考慮されていませんでした。
例えば、「自尊心が高ければ学業成績が良くなる」というのと、「学業成績が良い人ほど自分に自信を持ち自尊心が高まる」と言うのでは別の問題です。(そんでもって可能性としては後者の方が高い)
自尊心教育の間違い③三の要因「親との関係性」こそが大事だった
もうひとつの問題点は、第3の要因を見落としていたことです。
単に相関関係があるからといって必ずしも二つの要素が結びついているとは限りません。
例えば、「アイスクリームの消費量」と「水難事故の件数」には相関関係があります。しかしだからといって、アイスクリームを食べれば食べるほど水難事故に遭いやすくなるというわけではありません。第3の要因である「高い気温」というのが本当の原因です。
「自尊心」と「将来の成功」に関しても、「親との関係」という第3の要因が絡んでいるのです。
親子関係が健全な子は、自分に自信を持ちますし、将来の成功も収めやすいとされています。
つまり、親が行っていかなければならないことは、むやみに子供を褒め称えて自尊心を高めることではありません。
子供と適切な関係を保っていくことが本当に重要なのです。
自己受容の精神を鍛える
子育てで目指すべきなのは、自己受容の精神を育てることです。
自尊心教育→「あなたはできる子だよ」「あなたは賢いよ」
自己受容教育→「ありのままで素晴らしい」「つまずくときだってある」「成長が大事」「周りと比べるんじゃなくて自分だけの強みを探そう」
1.失敗したときの声のかけ方 ~セルフコンパッションを育てる~
セルフコンパッションとは自分に思いやりの心を向けることです。
子供が失敗してしまったときに親がどう声をかけるかはとても重要です。なぜなら、親がどう声かけをするかで、子供が適切なセルフコンパッションを持てるかどうかが決まるからです。
セルフコンパッションとはマインドフルネスと同様に仏教思想が元となっています。テキサスオースティン大学のクリスティーン・ネフという学者が先陣を切って研究している手法です。
セルフコンパッションが高いほど、ポジティブ感情が強く、不安感情や鬱的な感情が少なくなり、ウェルビーイング(良好性)が高まります。
セルフコンパッションを育てるには三つの要素が必要です。
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