突然ですが、「恐竜」と言えば最初に何を挙げるでしょうか?
ティラノサウルス、トリケラトプス…
次に浮かんでくるのは「プテラノドン」ではないでしょうか?
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにも、「フライング・ダイナソー」と呼ばれるプテラノドンをモチーフにしたアトラクションがあります。プテラノドンに持ち上げられて空を飛んでいるようなスリルを味わうことができるアトラクションです。
テーマパークの顔ともなるぐらいですから、プテラノドンは世間でも人気な古生物なのでしょう。
しかし、プテラノドンは恐竜類ではありません。
「翼竜」と呼ばれるプテラノドンの仲間は爬虫類ではありますが、恐竜とは別のグループに属しています。
恐竜類には他の爬虫類には見られないある特徴があるんです。
それは腰骨から垂直に足が生えているという特徴です。ティラノサウルスやトリケラトプスはこの特徴に当てはまります。
対して、ワニやイグアナなどの爬虫類は腰骨の横から足が生えています。ですからワニやイグアナは当然恐竜ではありません。
プテラノドンもまた腰の横から足が生えています。ですので恐竜の特徴からは外れるのです。
※ちなみに恐竜と分類できる動物はすべて腰からまっすぐ足が出ていますが、腰からまっすぐ足が出ている動物がすべて恐竜とは限らないのでご注意を。
ですからUSJのフライング・ダイナソーは、厳密に言えばダイナソー(恐竜)ではないのです。
厳密な意味で「フライングダイナソー」を名乗るのなら、プテラノドンの代わりに飛べる恐竜をキャスティングしなければいけませんね。
空を飛ぶかもしれないと考えられている恐竜には以前にも紹介した「イー」や「始祖鳥(アーケオプテリスク)」、「ミクロラプトル」などがいます。しかし彼らは人間を持ち上げて空を飛ぶほどの力はありませんので、フライング・ダイナソーを任せることはできなさそうです。まぁそれを言ったらプテラノドンも人間を持ち上げることはできなさそうですけど。(あくまで映画の演出です)
フライング・ダイナソーの後継ぎ問題はさておき、プテラノドンについての生態を解説してみます。
プテラノドンは海を上を飛んでいた
中生代と言えばティラノサウルスとトリケラトプスが戦っていてその上をプテラノドンが飛んでいるというイメージがあるかもしれませんが、それは誤解です。
まず時代が少し異なります。プテラノドンは確かにティラノサウルスやトリケラトプスと同じ北アメリカに住んでいましたが、彼らが登場する時代にはすでにプテラノドンは絶滅しておりました。
そしてもう一つ。プテラノドンは陸ではなく主に海の上を飛んでいるからです。そう考えられているのは2つの理由があります。
第一に大きな翼が邪魔で鬱蒼と樹木が生い茂った森の中を飛ぶことなどできないからです。しかも翼竜の翼は羽毛でできている小回りの効く鳥類の翼とは違い、下手くそな滑空しかできない翼膜でできています。
第二に、くちばしが水中の獲物を獲るのに適している点です。長いくちばしは水の抵抗を抑えながら水面の魚をすくい取るのに最適な形をしています。
ですからプテラノドンは海面の上で上昇気流に乗りながら翼膜で滑空し、鋭いくちばしで魚をすくい取る生活スタイルだったと思われます。
トサカは超派手派手?
次にプテラノドンのもうひとつの特徴であるトサカについてです。
トサカは異性にアピールするためについていたと考えられます。というのもオスのトサカは長く、メスのトサカは短いという性差があるからです。オスがメスを引きつけるためのディスプレイを持っているのは現代の孔雀とかと同じです。
一説によると、トサカは長いだけではなく派手派手だったのではないかと言われています。
というのもプテラノドンは色覚に優れていたからです。仲間を認識したり、異性を探すために派手なトサカを認識できるようにしていたのではないかと言われています。
翼の軸となっているのは薬指!?
プテラノドンの翼には可愛らしい爪が3本ついております。
爪は短いけどちゃんと役に立っているそうで、高いところに登ったり、陸を歩いたりするときに使ったり、羽づくろいをするときに使ったそうです。
ちなみに翼竜は手をついて歩くことができます。プテラノドンを夜に知らしめたジュラシック・パークⅢにおいても、翼をたたんで橋の上を4足で歩いているシーンがあります。
翼に3本の爪がついているという言い方をしましたが、厳密には4本の指があります。1番外側の第四指が異様に長く翼の軸になっています。
ここがコウモリの翼とは違う点です。コウモリの場合5本指の間にそれぞれ膜が張っています。対してプテラノドンをはじめとする翼竜は、第4指(薬指)の部分のみ膜が張っています。
人間で言えば薬指なんて一番力が入らない指です。キーボードのタイピングを始めたばかりの人は、薬指で押さないといけない「O」とか「S」とかに一番苦労します。
その点プテラノドンは薬指で風を受けているのですから、面白いものです。
コメント