古生代のイルカ!?進化を超えろ!収斂進化!カウンターシェーディング!

0時限目の恐竜学

今回は魚竜についてのお話です。

ご存じの通り、中生代では恐竜が陸を支配していました。そのとき、海では3つの爬虫類のグループが台頭したのです。「中生代の三大海生爬虫類」と呼ばれる方々がおります。

 

魚竜・クビナガリュウ類・モササウルス類です。

クビナガリュウとモササウルスに比べて影が薄い「魚竜」というやつ

クビナガリュウで有名なのは「フタバスズキリュウ(フタバサウルス・スズキィ)」です。

 

「カルカロドントサウルス」やら「シノルニトサウルス」やらとは違い、とても発音しやすい名前ですね。

それもそのはず、なんたって日本産の古生物であり、「双葉鈴木竜」ですから。名前の由来は福島県の「双葉層」という地層で、当時高校生だった「鈴木」さんが化石を発見したからです。

映画「ドラえもん のび太の恐竜」で登場する「ピー助」もフタバスズキリュウです。確か。

 

「モササウルス」もジェラシックパークシリーズのファンの方ならご存知でしょう。シリーズの四作目「ジェラシックワールド」でのインパクトが強いです。

そんなクビナガリュウやモササウルスと比べると、影が薄いのが同時期に生息していた「魚竜」です。だけどとっても面白い生物なのでお勉強していきましょう。

 

魚竜・クビナガリュウ類・モササウルス類は「恐竜」ではない!?

水を差すようで、…いや海生爬虫類だけに、海水を差すようで申し訳ないのですが、魚竜・クビナガリュウ類・モササウルス類はいずれも恐竜ではありません

恐竜と同じように爬虫類ではありますが、恐竜類には属さないのです。

恐竜類は腰から垂直に足が生えているのが特徴です。ティラノサウルスやトリケラトプスはこの特徴が見られます。

ワニやイグアナなどの現世の爬虫類は足が腰の横から出ているのが特徴的です。ですからワニやイグアナはもちろん恐竜ではありません。

「のび太の恐竜」や「ジェラシックワールド」を見た方は思い出してみてください。フタバスズキリュウやモササウルスもワニと同じように腰の横から足(ヒレ)が出ています。

ですからモササウルスもフタバサウルスも恐竜ではないのです。ついでに魚竜も。

進化を超えろ!収斂進化

さて、やっと「魚竜」の話をしていきたいと思います。魚竜を一言で言うならイルカにめっちゃ似ている爬虫類です。

「へぇ~」って感じでしょうか。「イルカの仲間も昔から居たんだな~」っ的な感想?

 

そんな呑気なことを言っている場合ではありません。めちゃくちゃ違和感があると思いませんか?イルカは哺乳類です

魚竜はさっきから言うように爬虫類です。ですから魚竜はイルカの仲間ではありません。なのに見た目がそっくり。これはとても不思議なことです。

このような現象は「収斂進化」と呼ばれます。

とてもカッコいい名前ですね。ポケットに入るモンスターを繰り出して戦うアニメでも出てきそうです。しかし収斂進化は別に進化を越える進化ではありません。イルカが「メガイルカ」になるわけでもないし、火を吹くようになるわけでも、背中に大砲がつくわけでもありません。

 

収斂進化とは、別のグループの生き物であるにも関わらず、生活スタイルが似ているため似たような形に進化したことを指します

イルカと魚竜はまったく別のグループの生き物ですが、海という環境で生きるために同じような進化をしたと考えられます。

 

魚竜で有名なのは「ステノプテリギウス」です。ステノプテリギウスはまさにイルカにそっくり。

  1. 突き出した口
  2. 4本の足ひれ
  3. 背中に背びれ
  4. 三日月型の尾ひれ

あと、イルカよりもちょっと目がギョロッとしています。目が大きいことで暗い海のなかでも光を効率よく取り込んで視界を確保できたとか。

ステノプテリギウスは外見だけでなく体の機能までイルカと似ています。

例えば、両者とも薄い皮膚下脂肪を持っています。皮膚下脂肪は冷たい水のなかで体温調節をしたり、浮力を得る働きがあります。

また、両者とも「カウンターシェーディング」が搭載されています。カウンターシェーディング。これまたカッコいい名前です。ポケットに入るモンスターを繰り出して戦うアニメで出てくる技ではありません。

 

カウンターシェーディングとは保護色の一種です。イルカやステノプテリギウスを初めとした海の生物は、背中側の色が濃く、腹側の色が薄くなっていますよね

これは下を泳ぐ生物が見上げたときには明るい色が、上を泳ぐ生物が見下げたときには暗い色が見えることによって、周りと溶け込んでいるのです。

 

現代の動物で見られる特徴が、古生物でも見られるのは、当然なのかもしれませんが何だか不思議です。

最古の魚竜「ウタツサウルス」

ちなみに発見されている最古の魚竜である「ウタツサウルス」は日本で発見されました。

名前の由来は宮城県南三陸町の旧町名である「歌津」です。フタバスズキリュウにしろ、ウタツサウルスにしろ日本は古生代の海生爬虫類に恵まれていますな~。

 

ウタツサウルスは、4本の足ひれは持っていますが、尾ひれが三日月型の下半分しかないという中途半端な形をしています。

もちろん、完全に三日月型になっているイルカやステノプテリギウスの尾ひれの方が効率的に水の中を進むことができます。プールのなかで足ヒレって使ったことありますかね?ウタツサウルスの場合は、足ヒレが半分欠けている状態で泳いでいるようなものです。

 

つまり、いきなり尾ひれが完成していたのではなく、段々と水中での運動に適した形に進化していったのですね。

 

コメント

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あああかかかささ

 

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tigerだよ。