何かを制限するダイエットは続かない
食べるのが好きで量を減らしたくない
今回は無理なく糖質を制限できてダイエットできる知識を解説します。
まずはざっくりと今回のポイントをまとめておきます。
- 糖質が太る原因になるのはなぜ?→中性脂肪として蓄えられるから
- 「炭水化物」は減らしすぎるとダメ!50%が理想
- でも「炭水化物=糖質」ではない
- 白い炭水化物を茶色い炭水化物に変えるだけで自然と糖質を減らせる
- 食べる量を劇的に減らさず「バランス」を意識する
なぜ糖質で太るのか?
余った糖質が貯蔵される2つの場所
太ってしまう原因は糖質を過剰に摂取して「中性脂肪」となって蓄えられてしまうことです。中性脂肪は「トリグリセリド」とも呼ばれ、体の中で使い切れなかったエネルギーのことです。
具体的には余ったブドウ糖(※)が貯蔵される場所は2つあります。
※ブドウ糖:ご飯に含まれるデンプンなどが分解されたもの。体のエネルギーであり肥満の原因にもなる
- 第1貯蔵庫:肝臓や筋肉(グリコーゲンとして)
- 第2保存庫:脂肪細胞(中性脂肪として)
糖質を摂取して血液中の ブドウ糖が増えると、余ったぶんのブドウ糖を処理する「インスリン」が働きます。インスリンの仕事は余ったブドウ糖をいつでも使えるように貯蔵しておくことです。
まずインスリンは、余ったブドウ糖を「グリコーゲン」に変えて筋肉や肝臓の細胞に取り込みます。しかし肝臓や筋肉に貯蔵しても余ってしまう場合は、中性脂肪として体中にある脂肪細胞に溜め込まれます。
つまり、お腹がぽっこりと出ている人は第1貯蔵庫がすでにいっぱいで第2貯蔵庫に蓄えられているからです。いかに糖質を摂りすぎているかどうかが分かりますね。
なかなか痩せない原因は?
なかなか痩せない原因はすでに蓄えられているエネルギーがたくさんあるからだと言えます。
ブドウ糖が蓄えられるときは第1貯蔵(グリコーゲン)→第2貯蔵(中性脂肪)の順番でしたね。
ブドウ糖が必要になったとき使われるときも同じように第1貯蔵(グリコーゲン)→第2貯蔵(中性脂肪)の順番なのです。
つまり、グリコーゲンとして蓄えられているブドウ糖が使われてからやっと中性脂肪が燃え始めます。どうりでちょっと運動したぐらいではなかなか痩せないわけです。
炭水化物=糖質ではない
糖質制限の話をする上で絶対に知っておくべき知識が、「炭水化物と糖質は同じじゃないよ」ということです。
一般的に「炭水化物」と「糖質」は同じように扱われますが、実は別物なんです。
「炭水化物」の減らしすぎは逆に不健康!?
1日の理想的な炭水化物の量は食事全体の50%ぐらいです。
浜田大学が2018年に発表した糖質の摂取量と死亡率の関連性を調べた研究を見てみましょう。
極端な糖質摂取をしていない 15428人の成人男女を対象として、平均で25年間の間食事の内容と 死亡率の関係を調べた結果以下のことが分かっています。
- 炭水化物からの総摂取量が50%から55%の間の場合、最も死亡率が低くなることが分かった
- 炭水化物摂取量が70%のグループと40%のグループは最も死亡率が高かった
炭水化物を食べ過ぎてもダメですが、減らしすぎるのも健康によくないみたいですね。
しかし、「50%は炭水化物でいい」というのは、「1日の食事のうち半分は白米(糖質)を食べていい」ということではありません。
なぜなら、前述したように炭水化物は糖質+食物繊維の総量だからです。そもそも糖質は白米だけでなく野菜や肉にも含まれますし、食物繊維は野菜に含まれます。
それらをすべてひっくるめて「炭水化物は50%が理想だよ」という話です。
ただし、糖質50%とは意味が違う
「純粋な糖質=白い炭水化物」を避けろ!
無理なく体重を減らすための2つの戦略
- 量は変えずに白い炭水化物を茶色い炭水化物に変える
- タンパク質・脂質とのバランスを意識する
この2つの戦略を実践していただければ劇的に炭水化物を減らす必要はありません。詳しく見ていきましょう。
炭水化物の制限は必要なし!「白」を「茶色」に変えるだけ
太る原因は糖質ですから、糖質が多いご飯やパンを制限すれば確かに痩せられるかもしれません。しかし、制限する食事法では我慢した分食欲が爆発してリバウンドするのは目に見えています。
ですから、炭水化物を「制限」しようとせずに「置き換え」を実践してみましょう。ご飯や小麦粉のパンなどの白い炭水化物を玄米や全粒粉のパンなどの茶色い炭水化物に変えるだけでダイエットの効果が期待できます。
なぜなら、玄米や全粒粉にはビタミンや食物繊維が含まれているからです。仮に今と同じ量を食べたとしても糖質の量を減らすことができます。
また、茶色い炭水化物は白い炭水化物に比べて血糖値を上げないので、ブドウ糖が中性脂肪としてたくさん溜め込まれるのを防ぐことができます。
小さい頃から親しんできた白いご飯を食べないのは不自然なことのように思えますが、そもそも白米として精製されている方が不自然なのです。玄米には糖質だけでなくビタミンB1が含まれています。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えて消費されるのを助けるビタミンです。
つまり、玄米はエネルギーである糖質とそのエネルギーを燃やすためのビタミンが同時に含まれている超合理的な食品なのです。わざわざエネルギーとして使われにくい方の白米を食べる理由はないかと思います。
制限ではなくバランス「マクロ管理法」
炭水化物を「制限」しようとするのではなく「野菜や肉を増やす」という発想に切り替えてみましょう。ぜひ実践してほしいのが「マクロ管理法」です。
マクロ管理法とは「マクロバランス」を意識した食事法のことです。マクロバランスとは3大栄養素であるタンパク質・脂質・炭水化物の割合のことを指します。
マクロ管理法を実践するときには、性別・身長・体重・年齢・活動量・目的(減量なのか維持なのか)などを加味した上で、1日に摂取すべき総摂取カロリーとマクロバランス(※)を導き出しそれに沿って食事をします。
自分に最適なマクロバランスはこちらのサイトで1分程度で診断することができます。
どうしても白い炭水化物が食べたい!
「どうしても甘いものを食べたい」もしくは「甘いものを食べてしまった!」という場合でも諦めないでください。いくつか対処法があります。
マクロバランスを徹底。臨機応変にバランスを保とう
人間は「1つがダメになってしまったら、すべてダメになっていいや」と思ってしまう心理が働きます。
例えば、「クッキー食べちゃったから今日もダイエットは失敗だ。夜も好きなように糖質を食べよう」と考えてしまいます。
ですが、バランスを意識した食事を徹底すれば、多少甘いものを食べてしまった場合でも取り返すことができます。
「間食にケーキを食べてしまったら今炭水化物が多めだな。夕食はご飯を少なめにして野菜とタンパク質中心で食べよう」と冷静に対処すればいいからです。
炭水化物は運動後に食べると 脂肪になりにくい
運動後に食べる糖質は普段よりも中性脂肪になりにくいです。
なぜなら、運動後に栄養を一刻も早く吸収したがっている筋肉は、ブドウ糖をグリコーゲンとして筋肉内に吸収しようとするからです。
グリコーゲンを貯蔵できる範囲内であれば炭水化物を食べても中性脂肪にはなりにくいんですね。
ですから、「どうしても糖質を食べたい!」と思ったら「10分だけ運動してから食べる」と決めておくのがオススメです。
ちなみに、運動することによって空腹感が抑えられることも分かっています。運がよかったら「食べたいと思ってたけどやっぱりいいや」と考え直せるかもしれません。
アルコールと一緒に食べるのだけは避ける
アルコールは肥満を加速させてしまいます。理由は主に2つです。
- アルコールはそれ自体カロリーが高いから
- 食事で摂取したカロリーがアルコールのせいで効率良く使用されないから
2については解説が必要でしょう。アルコールを摂取すると肝臓がアルコールの解毒に忙しくなります。すると肝臓へのグリコーゲン貯蔵ができなくなります。前述したようにグリコーゲンのほうに保存できない余った分の糖質は体脂肪に変わってしまいます。
ですから、アルコールと糖質を合わせて食べるのは最悪です。お酒を飲みながら砂糖がたくさん入ったお菓子などを食べてそのまま寝るという生活をすると脂肪がつきやすくなるのは当たり前です。
【今日のクエスト】無理なく体重を減らす2つの戦略を実践しよう
- 白い炭水化物(白米・小麦粉)を茶色い炭水化物(玄米・全粒粉)に変えよう
- 自分に合ったマクロバランスを知ろう
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