今回は生産性アップのためにカフェインを有効活用したい人に向けた内容です。
- メール対応や雑務はサクサク進むが、企画書の構成を考え始めた途端、手が止まる。
- 難しいインプットをしようとすると、頭の中で内容を保持できず、同じ行を何度も読んでしまう。
- 「カフェインが集中力を高める」と言われるけど、覚醒しすぎる感じがして自分には合わないような気がする…。
実は、カフェインの作用は性格に影響されます。カフェインが能力を高めてくれるのは外向的な人だけかもしれないのです。
カフェインで記憶能力が上がるのは外向性が高い人のみ!?
少なくともワーキングメモリという能力に限っては、カフェインが有効なのは外向性が高い人だけかもしれません。
ワーキングメモリは生産性の鍵となる能力
「ワーキングメモリ」とは、脳に入ってきた情報を一時的に保持する能力です。脳の中の作業台にたとえられます。
日常生活において情報を短時間記憶しながら、様々な作業を行う上で必要となります。例えば、以下のような場面で活用されます。
- 日常生活において、会話で相手の話を理解しながら自分の返答を考える。
- 文章を読みながら少し前の内容を思い出す。
- お店で品出し作業をしている最中にお客さんに質問され、対応した後で元の作業に戻る。
日常生活においても仕事や勉強においても欠かせないワーキングメモリの機能ですが、一部の人はカフェインによってブーストすることができます。
外向性が高い人はカフェインによって覚醒レベルがベストに調整される
2010年のロンドン大学の研究者が発表した論文によると、性格的に外向性が高い人はカフェインを摂取することでワーキングメモリを発揮しやすくなるそうです。

内容
ロンドン大学から60人の成人を対象。すべての被験者は2つの分かれたセッションに取り組んだ。1つ目のセッションではカフェインとカフェインのプラセボのどちらかを摂取し、2回目のセッションではそれらを入れ替えた。
- カフェインを摂取するセッション(200mgのカフェイン)
- カフェインの偽薬を摂取するセッション(実際には100mgのビタミンサプリメント)
また、被験者には介入前に、「あなたはかなり活発なほうですか?」などの外向性を測る質問尺度に回答した。
カフェインが血流に入るまでの時間を考慮し、摂取から25分間開けて、Nバック課題(ワーキングメモリの働きを測るテスト)に取り組んでもらった。
結果
- 被験者全体ではカフェインを摂取することによってワーキングメモリの課題で成績が上がったという効果はみられなかった。
- しかし、外向性が高い人がカフェインを摂取した場合には、ワーキングメモリの課題の成績が上がる傾向が見られた。
- また、ワーキングメモリの課題が難しくなる際に、カフェインによる効果が出やすかった。
考察
カフェインが記憶能力の一部を高める理由は、ドーパミン活動を促す働きがあるからだと考えられています。そして、ドーパミン活動は外向性と結びつけられています。
実際に、外向性が高い人はドーパミン拮抗薬(ドーパミンの働きを抑える薬)を投与されるとワーキングメモリの成績が低下することが示されています。
古典的な研究でもカフェインの摂取によって外向性が高い人と低い人で認知能力のパフォーマンスが異なることが明らかになっています。この研究によって、パフォーマンスの差にワーキングメモリが関わっているという説明ができそうです。
【実践】カフェインでワーキングメモリをブーストしよう!
自分自身が外向性が高い性格であり、仕事や勉強のためにカフェインの力をうまく利用したい人は、以下の実践をしてみましょう。
おすすめの習慣プラン
- 【専門的な勉強の場合】休日の朝、お気に入りのカフェでコーヒーを飲んでリラックスしたら→図書館に向かうために30分移動する→到着したら集中して専門書を読む
- 【仕事の場合】作業はじめにコーヒーを1杯飲んだら→30分程度でTodoリストの中から3つ選んで軽い作業を済ませる→軽い作業で勢いづいたら難しい作業に取り組む
- 【ブログ作業の場合】作業はじめにコーヒーを1杯飲んだら→前日に書いた分のレイアウトを整える→30分経ったら新しいブログのプロットを考える。
ステップ1:ワーキングメモリが必要な作業をピックアップしよう
この研究で分かったカフェインの効果が特に現れたのがワーキングメモリの負荷が高い作業でした。つまり、複数のことを同時に覚え頭の中で処理することが求められる作業と言えます。
例:
- 企画書のアウトラインを作る作業:目的、読者、制約条件を同時に頭に置く必要があり、ワーキングメモリ負荷が高い。「この段落は前の話とつながっているか」などの情報の流れを保持し続ける必要がある。
- 難しめのインプットを要約しながら読む:少し前に読んだ内容を踏まえて、今読んでいる文を理解する必要があり、ワーキングメモリ負荷が高い。
- プログラム・システム設計の全体像を考える:現在考えている処理、前後の処理との関係、将来起きうる例外など考えるべきことが多く、ワーキングメモリ負荷が高い。
- アイデアを構造化する作業:複数のアイデアを一時的に保持して、アイデア同士を結びつけたりするため、ワーキングメモリ負荷が高い。
逆に、単純作業やメール処理などのルーティン的な仕事の前には不用意にカフェインを取らなくてもいいかもしれません。
ステップ2:カフェインを摂取するベストタイミングを逆算しよう
カフェインが効いてくるには30分ぐらいの時間を開けるのがベストだと考えられています。一日の中で、特に難しい仕事に取り組む30分前にカフェインを摂取する習慣をつけてみるといいでしょう。
また、タイミングとしては午前中〜15時ぐらいまでがベストです。別の研究では、夕方以降のカフェイン摂取は睡眠の質に影響することがわかっているからです。午後に難しい作業をすると眠気が襲ってきてしまうという人は、作業を午前中に設定しましょう。
まとめ
- カフェインは誰にでも同じように認知能力を高めるわけではない
- 特にワーキングメモリに関しては、外向性が高い人で効果が出やすい
- 難しい思考作業ほど、カフェインの影響が現れやすい
カフェインは「とりあえず飲めば集中できる万能薬」ではありません。自分の性格特性と、取り組む作業の種類を理解したうえで使うことで、初めて生産性を押し上げるツールになります。
覚醒レベルをどう調整するかを意識することが、カフェイン活用の本質です。
【関連知識】
ハーバード・ビジネス・スクールの研究では、簡単な作業から始めて難しい作業に取り組むことが勧められています。簡単な作業を達成することによって達成感を感じ、難しい作業への意欲がアップするからです。



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