ビールのロング缶1本で乳ガンのリスクが1.74倍に!
今回は、お酒を飲むと乳がんのリスクがアップするぜ~というお話です。
根拠となる研究
愛知県がんセンターなどのメタ分析によると、飲酒が乳がんのリスクを高めてしまうという結果が示されています。
Alcohol consumption and breast cancer risk in Japan: A pooled analysis of eight population-based cohort studies - PubMed
Although alcohol consumption is reported to increase the incidence of breast cancer in European studies, evidence for an association between alcohol and breast ...
分析
愛知県がんセンター、国立がん研究センター、多目的コホート研究といった8つのコホート研究をまとめて分析(被験者の合計は日本人女性約16万人)。
- その際、BMI・初経年齢・女性ホルモン剤の使用の有無・出産の有無などの条件は調整。
- 閉経前と閉経後のグループに分けて、それぞれ飲酒による乳がんへの影響を調べた
- 飲む量に関しては、純アルコール量換算で全く飲まない(0g)・11.5g未満・11.5~23g未満・23g以上の4つのカテゴリで評価
- 飲酒頻度に関して、現在は飲まない・週1日以下・週1日以上・週4日以下・週5日以上の5つのカテゴリで評価
結果
14年間で2208人が乳がんに罹患。そのうち閉経前が235人、閉経後が1934人だった
閉経前の女性において、飲酒量や頻度が多くなるほど乳がんの罹患率が上がっていた。
- 週5日以上飲む人たちは全く飲まない人に比べて1.37倍
- 量に関しては、1日23g以上飲む人で1.74倍
一方、閉経後における乳がんと飲酒の関係性は統計的に有意と言えなかった
- 週5日以上飲む人で1.11倍
- 1日23g以上飲む人で1.18倍
考察
飲酒で乳ガンのリスクが上がってしまう理由としては、アルコールがエストロゲンの酵素を活性化するからだと思われます。
というのも、エストロゲンがさらされる期間が長ければ長いほど乳がんのリスクがアップしてしまいます。エストロゲンは乳がん細胞の中にあるエストロゲン受容体と結びついてがん細胞を増やしてしまうのです。エストロゲンを作る酵素である「アロマターゼ」はアルコールによって活性化されます。
一方で、閉経後は飲酒によるリスクが低くなるという結果でした。
というのも、閉経後はエストロゲンが卵巣ではなく皮下脂肪の中で作られるようになります。日本人の場合、そもそも皮下脂肪の量が少ないためエストロゲンの量も少なくなります。そのため閉経後では飲酒によってエストロゲンが増加する量も少なく、乳ガンのリスクが低いのだと考えられています。
逆に言えば、肥満の人は乳がんのリスクも上がると考えていいでしょうBMIが25以上になると乳がんのリスクが上がると言われています。
【今日のクエスト】危険ラインから量と頻度を減らそう
厚生労働省によると純アルコール量20gは適量とされていますが、研究を見てみると20gでも多いぐらいでしょう。
20gが具体的にどれぐらいかと言うと以下のようになります。
純アルコール量20gはどれぐらい?
- ビールだとアルコール度数5%のロング缶1本(500ml)
- 日本酒なら1合(180ml)
- ウイスキーならダブル1杯(60ml)
- 焼酎コップ1杯(100ml)
- ワイングラス2杯(200ml)
- チューハイ7%の缶1本(350ml)
毎日上記の量飲んでいる人は、上記の量よりも減らすか、毎日ではなく週末だけにするといいでしょう。
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