2か月の1日27分のマインドフルネスで海馬が増大!
「マインドフルネス」とは現在の感覚に注意を向けることです。マインドフルネスの種類には姿勢を正して自分の呼吸に集中する呼吸瞑想や、自分の体の動きに集中するムーブメント瞑想や歩行瞑想などがあります。
例えば、最も基本的な呼吸に集中する瞑想は以下のような手順で行われます。
マインドフルネス瞑想の基本のやり方
- 座って背筋を伸ばす
- 息を吸って息を吐くだけ
- 息を吸うときにお腹が膨らむ感覚や、息を吐くときにお腹が凹む感覚など自分の呼吸に意識を集中させる
マインドフルネス瞑想はストレス解消に効果があり、最近(執筆は2024年2月)では企業などでも取り入れられたり、ビジネス書で取り挙げられたりして話題になっています。
ただ、「宗教的で怪しい感じがして抵抗がある」という人もいるでしょう。しかし、マインドフルネスの効果は科学的に実証されているものも多くあります。例えば、1日30分程度のマインドフルネスによって脳が大きくなることが示されているのです。
2011年のハーバード大学医学大学院の研究によると、マインドフルネス瞑想を8週間実践することで海馬の体積が増えたとわかっています。
介入
35人のマインドフルネス初心者(平均年齢:25~55歳)を被験者に選定。そのうちの半数である18人(男性8人、女性10人)には、8週間のマインドフルネスを実践してもらう
- 8週間マインドフルネスを実践(処置群)
- 何もしない(対照群)
具体的には、以下のような介入が行われた
- 8週間の各2.5時間にわたるグループミーティング
- そのうち6週目には1日(6.5時間)にわたるレクチャーを受けてもらう
- マインドフルネスを実践するための45分の音声によるガイドを受け取り、自宅で実践
- 毎日の日常生活のなかで食べるとき、歩くとき、お皿を洗う時、シャワーを浴びるときなどにおいて、自分の感覚に集中するように指導
レクチャーでは、マインドフルネスのトレーニングを実践してもらう。具体的な手法としては、ボディスキャン瞑想・ヨガ・座禅が実践された。
なお、被験者はそれぞれ介入の前後でVBMを使って脳をスキャンし、脳の灰白質の密度を調べられた。マインドフルネスに取り組む被験者は、プログラムの介入の前後にそれぞれスキャンを受けた。対照群も8週間程度の間を空けて2回スキャンを受けた
結果
考察
「海馬」は記憶を司る脳の領域です。長期記憶を作ることを担当しています。「後帯状皮質」は、海馬や海馬周辺と相互に情報のやり取りをして学習や記憶に影響を与えていると考えられています。海馬や後帯状皮質が増えれば、記憶や学習の能力が高まると言えるでしょう。
「側頭頭頂接合部」は、側頭葉と頭頂葉が接する領域です。自他の区別や心の理論と関わる働きを担っていると考えられています。側頭頭頂接合部が増えることで、感情の調節・内省・視点取得などの能力が高まると言えます。
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