- 頑張りと諦めのバランスが重要だと知れる
- 自分に高いハードルを課しすぎて過度なストレスを溜めずに済む
- 実際の研究や具体例をもとに、「努力だけではどうにもならないこともある!」と考え方を変えて楽に生きることができる
頑張りより諦める人の方が生活満足度は高い!?
逆境に負けずに頑張る人が最終的に幸せをつかむとは限らないみたいです。諦める戦略をうまく使う方が全体的な生活満足度はアップさせることができます。
2015年のジョンズホプキンス大学などの研究によると、頑張り戦略よりも諦め戦略の方が大切になるケースもあると示されています。
観察
- 被験者:500人の男女
- 観察:アンケートを行い毎日の暮らしの中で、頑張りと諦めのどちらを大切にするかを調べた
被験者には以下の2つのアンケートを実施した。
- 一次的コントロールと二次的コントロールのどちらかをより多く使うかをアンケート
- 毎日の肯定的/否定的な感情経験、および全体的な生活満足度を調べた
頑張りと諦めの程度は、それぞれ「一次的コントロール」と「二次的コントロール」という言葉で調べられています。
一次的コントロールとは、困ったことがあったときに環境を変えようとするタイプです。
二次的コントロールとは、困ったことがあったときに自分の認識を変えて環境に適応しようとするタイプです。
例えば、体重が増えたなと思う時に「体重を減らすためにカロリー制限や厳しい運動などをしよう!」と考えるのが、一次的コントロール。
対して、「多少太ったところで健康に問題はないだろう」と自分の認識を変えるのが二次的コントロールと言えます。
簡単に言うと、一次的コントロールは頑張り戦略、二次的コントロールは諦め戦略と言えます。
結果
- どちらの戦略でも幸福度は高まるものの、一次的コントロール(頑張り戦略)にこだわるほど幸福度が下がっていた
- 一次コントロールの戦略をとる人の方が、より感情的経験の度合いが大きかった
- 二次コントロールの戦略(諦め戦略)をとる人の方が、より生活満足度が大きかった
考察
つまり、状況に応じて頑張りと諦めの戦略を使い分けなければならないと言えます。そうでないと頑張りすぎて自分を追い込んでしまい幸福度が下がってしまったり、逆に諦めすぎて現状に危機感を覚えられなかったりと問題が起きてしまうからです。
理由としては、全ての問題を頑張りでコントロールすることができないからでしょう。例えば、仕事で誰かがミスをしてしまったときや職場で嫌いな人がいる場合など自分の頑張りだけではどうしようもないでしょう。
【今日のクエスト】時には諦めも重要というマインドセットを作る
戦略1:「辛い」ものなら続ける、「苦しい」ものならやめてしまう
「辛い」ものなら続けるけど、「苦しい」ものならやめてしまうという基準を持っておくといいでしょう。
例えば、筋トレや勉強など辛くても「頑張れば効果が出て自分の糧になる!」というものなら根気強く取り組んでみるのがいいでしょう。
しかし、「苦しい」と感じるものはやめてしまってもいいのではないでしょうか。例えば、毎日勉強をしていて「自分がやりたいこととは違う気がする…」と苦しく思うのならば、一度やめて別のことに手を広げてみることも検討してみます。
実際、筆者も統計学を勉強していたとき、最初に統計学検定の公式のテキストを使って勉強していました。しかし、数式や理論ばっかりで正直勉強していることが苦しくなり始めました。そこで、そのテキストは半分以上進んでいたものの、すっぱり諦めて理解しやすい統計学の入門書から勉強し始めることにしました。もともと「統計学を学んで科学論文を読めるようになりたい!」という目標だったので、資格を取るための知識よりも実用的な知識の方が自分に合っていたようで学習が続けられています。
諦め戦略の例:
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もっと自分のレベルに合ったテキストを選びなおした方が学んでいて自分も楽しいだろう。
戦略2:努力だけではどうにもならないものもあると理解しておく
例えば、学力を例にあげてみましょう。学力は本人の努力だけでどうにかなる範囲には限界があります。なぜなら、学力は本人の努力以外にも家庭の資源や遺伝、生まれた環境といった影響が強いからです。
例えば、2009年の一橋大学の研究によると、4月生まれが早生まれよりも学歴が高いことを示しています。身も蓋もない話ですが、学力が遺伝や出生順序、出生体重などによって決まるという研究は他にもあります。
https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/22170/0101107601.pdf
誕生月のような自分ではどうすることもできないような要因でも学力が決定してしまうのならば、「成績が思うように上がらないのは自分の努力不足なのだ!」と過剰に思いつめる必要はないと分かるでしょう。
ですから、例えば中学生のうちに英検1級を取れた子が周りにいるとして、「自分もあれぐらい頑張らないとダメだ!」と考える必要はないのです。出来がいい人はもちろん努力もしているでしょうが、環境要因が自分よりも恵まれている可能性だってあるのです。例えば、親が教育熱心であるとか教育にお金をかけているとか。
もちろん、人の恵まれた環境を自分が努力しない言い訳にするのはよくありません。しかし、「自分が特別努力を怠っているわけではないのだな」と認識して肩の力を抜いてみるのもいいでしょう。
諦め戦略の例:
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そもそも遺伝や環境などの条件が自分と違うのだから結果だけ比べてもしょうがない
戦略3:100%頑張っていることを「70%努力」で楽しむ
頑張りすぎてしまう人の最終形態が完璧主義者です。完璧主義の傾向がある人は「やるかやらないか」という極端な二択に走りやすいです。やるとなったら徹底的にやるから頑張りすぎて疲れる原因になってしまいます。
そこで、100%全力の状態から30%だけ労力を削減してみるアイデアを考えてみましょう。
諦め戦略の例:
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1日の終わりに見返してみて、面白いと思えたメモだけ厳選して保存することにする
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読んだ本の内容の中ですぐに使えそうな知識だけ覚えておき実践に移す
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その場ですべて書こうとするのではなく、後から何度も思い返すぐらい心に残ったものだけをピックアップしてコツコツメモしていく
力を抜いてみることによって逆に成果が上がるという例も挙げられます。例えば筆者の場合、本や論文を読んでブログのネタにしていますが、以前までは本を読んで得た知識はほぼ全てノートに入力して保存していました。しかし、情報量が多すぎると逆に本当に必要な知識が埋もれてしまい、ブログ執筆時に効率が悪かったのです。
そこで、「すぐに実践案としてブログで紹介できそうだ」と思った知識のみ厳選してノートを取るようにしました。自分が面白いと思った知識なので書くのも楽しいし、より実践的でいい記事が書けたという感覚も出てきました。
戦略4:今はまだ自分のレベルが足りないのだと考える
物事がうまくいかなくて落ち込んだり、イライラしたりしたときには、「今は自分のレベルが及んでいないから頑張りすぎてもしょうがないだろう」と諦めてみるのです。
たとえるなら、レベル1の状態でボス戦に挑んだとして「自分のゲームのセンスがないのだ…」と落ち込むのは的外れでしょう。まずはゲームのセオリー通り、弱い敵から倒して行ってレベルを上げながらボス戦の攻略を進めていくのが賢いやり方です。
仲良くなりたい人がいて一生懸命話しかけて会話を盛り上げようとしたとします。しかし、相手はどうやら人見知りらしく、話しかけてもあんまりいい反応が返ってこない…というケースを考えてみましょう。
「やはり自分の会話のセンスがないのだろう…」と落ち込むのは間違っています。センスどうこうの問題ではなく、レベルが足りていないのに難しすぎる相手を攻略しようとしているのが問題です。「今の自分ではレベルが足りなかったな」と素直に受け止めて、もう少しハードルが低そうな人と仲良くなってみようと切り替えることが重要です。
諦め戦略の例:
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まだ自分のコミュ力のレベルでは足りなかったのだ。もう少し話しやすそうな相手から攻略しよう
以上が筆者が提案する諦める戦略のアイデアです。「頑張りすぎているな」と思ったときには「諦めるのも戦略のうち」と考え方を変えてみるのがいいでしょう。
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