【コスパ悪い?】カカオが血圧を下げる効果はわずか1.8mmHg!?

ヘルスポイント

「ダークチョコレートは健康にいい」「カカオに含まれるポリフェノールは血圧を下げる効果がある」というのは本当なのでしょうか。

実際に、店頭で「カカオ◯◯%」と書かれた高カカオのチョコレート製品を見かけたこともあるでしょう。チョコレートを食べて健康になれるのならとてもラッキーな気がしますよね。

今回は高カカオチョコレートが血圧に与える影響に注目していきます。

 

血圧への「チョコレート効果」はそれほど高くない?

実際に、チョコレートやココアには「フラバノール」が含まれており健康効果があるとされています。フラバノールとは、カカオ豆や緑茶などに含まれるポリフェノールの1種で、抗酸化作用やアンチエイジング効果が期待されています。

 

しかし、研究を参考にすると高カカオチョコレートが血圧に与える影響は思ったよりも少ないかもしれません。

血圧は120/80mmHgが理想

まず基本となる血圧の知識から押さえていきましょう。

 

血圧には上の血圧と下の血圧があります。

  1. 上の血圧(収縮期血圧):心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧。
  2. 下の血圧(拡張期血圧):血圧が心臓に戻って心臓が膨らむときの血圧。

なお、血圧を表すときには「140/90mmHg」という風にスラッシュで区切って、上の血圧/下の血圧が表現されます。「mmHg(ミリメートルエイチジー)」とは圧力の単位で、血圧の単位として使用されます。

 

血圧の低血圧・正常値・高血圧の基準

血圧には正常値か高血圧かなどの基準が定められています。また血圧の基準は診断室血圧とか低血圧によって変わります。

  1. 低血圧:上の血圧が100mmHg未満(診察室血圧および家庭血圧)
  2. 正常値:130/90mmHg以下(診察室血圧)、125/75mmHg以下(家庭血圧)
  3. 高血圧:140/90mmHg以上(診察室血圧)、135/85mmHg以上(家庭血圧)

 

高血圧と判断されるのは診察室血圧で140/90mmHg以上です。なお、上の血圧が120から139mmHg、または下の血圧が80から89mmHgは「前高血圧」と呼ばれ、高血圧の前段階と判断されることもあります。なので、正常値の範囲内であっても、なるべく120/80mmHg以下を目指すといいと言われています。

なお、上と下の両方の血圧を測定して、両方が基準値に収まっていることが大切です。例えば、130/105mmHgのように片方の血圧だけが基準より高い場合にも注意が必要です。

 

チョコレートで改善できるの血圧は1.8mmHgだけ!

2017年に発表された南オーストラリア州のアデレード大学の研究によると、高カカオの食品が血圧に与える影響について分析されています。

Effect of cocoa on blood pressure - PubMed
This review provides moderate-quality evidence that flavanol-rich chocolate and cocoa products cause a small (2 mmHg) blood pressure-lowering effect in mainly h...

 

根拠となる研究
方法

チョコレートやココア製品が血圧に与える影響について調べたランダム化比較試験を35件ピックアップ(スクリーニング後)。また、それぞれの研究のベースラインの血圧や介入期間の違いなどを考慮した分析も行った。

結果
  • 試験で介入群に摂取されたフラバノール量は平均670mgで、一日当たり1.4gから105gのココア製品を摂取させていた
  • 2週間から18週間(平均9週間)でフラバノールが高いココア製品を摂取したグループにおいては血圧を低くするわずかな効果がみられた。高い方の血圧の平均は-1.76mmHg低い方の血圧は平均-1.76mmHgの減少がみられた
  • また、もともと血圧の高さによって効果が異なることが示された。高血圧の人においては高い血圧が4mmHg減少していたのに対して、前高血圧の人においては減少の度合いが比較低く正常血圧者においては有意な効果は見られなかった
  • 副作用として、胃腸の愁訴、試験の製品が好みではない、頭痛、神経過敏などが含まれていた。それでも副作用は強くなく、報告したのは介入グループでは被験者の1%にとどまっていた
要約・考察

つまり、フラバノールが高いチョコレート・ココア製品を9週間(2ヶ月と少し)食べることで血圧をおよそ平均で1.8mmHg程度減少させるということです。

理由としては、カカオフラバノールが血液中のHDLコレステロールを増やすことによって血流を改善し、血圧を下げるのだと考えられます。

 

確かに血圧を下げる効果は認められたものの、減量する量が2mmHg弱では効果は小さいと言えるでしょう。実際、正常値と判断される130mmHg(上の血圧)と高血圧と判断される140mmHg(上の血圧)では10mmHgの差があります。2mmHg程度下がったとしても、血圧が改善したとは言いにくいでしょう。

 

【実践】高血圧の人はダークチョコレートを3枚食べてみよう

確かにダークチョコレートなどの高カカオの製品は血圧を下げる効果があると言えます。ですので、適度な量を食べるのであれば健康にメリットがあると言えなくもないでしょう。しかし、値段が高いことや食べ過ぎると糖分の摂りすぎになる点も考慮すると無理に取り入れる必要もないのかなという印象です。

 

研究では高血圧の人には比較的高い効果が示されているので、高血圧の人はいつものお菓子の代わりにダークチョコレートを食べてみてもいいでしょう。

メタ分析の対象になった研究では、被験者が食べたチョコレート製品の量は1.4gから105gとさまざまでした。店頭でよく見かける「チョコレート効果 カカオ72%」という商品では、1日あたり3枚(15g)食べることが勧められています。そのガイドラインに従って、1日3枚を目安に食べてみるといいのではないでしょうか。

チョコレート効果 カカオ72%26枚入り 130g
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