「没頭して仕事をしていたらあっという間に時間が経っていた」
そんな経験をされたことがあるかもしれません。目の前のことに100%没頭し最大限の集中力が発揮されている状態を心理学で「フロー」と呼びます。
スポーツの世界では「ゾーン」(黒子のバスケでお馴染み)と言ったり、音楽の世界では「ジャックイン」と言ったりするそうです。
フローに意図的に入るのは大変ですが、正しいステップを踏めば再現することは可能です。
脳波の動きから見るフロー
強い感情でベータ波、リラックスでアルファ波を刺激
フローを経験しているときの脳波の動きは、シータ波→ベータ波→アルファ波という風に流れていきます。シータ波は新しい刺激に対して反応し、強い感情を生み出します。ベータ波は入ってきた刺激に対しての問題解決を図ります。ベータ波は集中状態を生み出すフローの要となる脳波です。アルファ波はリラックスしているときの脳波です。
フローの真っ最中は高いベータ波と低いアルファ波が出ている状態です。
なのでフローに入るためには強い感情とリラックス状態の2つが重要です。フローというのは強い感情とリラックスが同居しているという不思議な状態なんですね~。
フローに入る5つのステップ
ステップ1.強い感情を取り入れる
まずは強い感情を味わってフローの要であるベータ波に働いてもらうことが大事です。
感情はポジティブなものでも、ネガティブなものでもいいです。勉強や仕事に取りかかる前に強い感情を呼び起こすようにしてみましょう。
- 知的好奇心などのワクワク感を生かす
- イライラしているときに仕事する
- ホラー系・感動系などの動画を見る
などなんでも大丈夫です。
読書に生かすフロー:新しい本を買ったときのワクワク感を活かす
読書をする際には知的好奇心を活かすことがてっとりはやいです。本を買ったときのワクワク感が続いているうちに一気に読んでしまうのがいいでしょう。
オススメは電子書籍のkindleです。「この本が読みたい!」と思ったときに、その場で買って読むことができるからです。
ステップ2.一気にリラックスする
強い感情を味わったあとは一気にリラックスしましょう。リラックスすることによってアルファ波を出すことができます。
強い感情でベータ波、リラックスによってアルファ波を出すことができるので、フロー時の脳波を再現することができます。
リラックス法としてオススメなのは、瞑想をしたり、温かいものを飲んだりすることです。机の上に魔法瓶を置いておくとか、深呼吸をしたりしましょう。
読書に活かすフロー:瞑想をして読書に取りかかる
新しい本を買ってワクワクしているときの状態から、一呼吸置くために瞑想に取り組んでみましょう。瞑想はアルファ波を生み出すだけではなく、集中力を高める働きもあります。
ステップ3.自分の能力よりちょっと上ぐらいの目標をつくる(時間制限と具体的な数値)
次に意識してほしいのはちょうどいい目標です。フローに入るためには頑張ったら達成できるぐらいの目標が大事です。
というのも簡単すぎたり、難しすぎたりすると集中力が続かないからです。
目標は具体的な数字をつくった方がいいかと思います。「クリアできた!」とか「クリアできなかった」という評価がしやすいからです。
例えば、25分間で3000文字執筆するとか、10ページまで覚えるみたいな感じです。
読書に活かすフロー:ページ数で目標を管理
読書でもっとも分かりやすい目標はページ数でしょうか。25分間でタイマーを設定して、何ページ読めるかタイムアタックしてみてください。
ただ、電子書籍だとページ数が出なかったりするので今悩んでます。
ステップ4.報酬設定を設定する
具体的な目標を達成できたら仕事に対する報酬も用意しましょう。
報酬によってモチベーションを保つことができるようになります。また、報酬は行動に対して即時に与えないと効果が落ちてしまいます。
例えば「25分集中したら5分間報酬タイムを与える」というサイクルを繰り返してみるといいでしょう。
スコアを設定して仕事をタイムアタックに変えよう
スコアは人間のモチベーションを大きく高めます。作業にスコアを設定してみましょう。
例えば、読書をしたい場合なら「25分間で何ページぐらい読めたか」を評価するようにしてみましょう。文章を書く場合なら「25分間で何文字書けたか」を評価してみましょう。
このようにスコアを設定すると、「さっきの25分よりも集中できたな」みたいな評価ができるので、ゲーム感覚で取り組めるようになります。
ある研究では無意味な数字すらも課題に対するモチベーションを上げることが分かっています。
- 被験者を集めて、パソコンでの課題を行ってもらう
- その際モニター上には、ランダムな数字が作業ごとに現れるようになっている。数字は作業量や成績を評価したものではなく、適当なもので、被験者もそれが分かっている
- にも関わらず、ランダムな数字が表示される場合作業へのモチベーションが高まり、数字が表示されなくなるとモチベーションが落ちる傾向が確認された
つまり、人間は自分がしたことに対して、何かしらの反応がある方が(それが適当な反応であっても)やる気が高まるのです。大体でいいので、特定の時間ごとに自分の仕事をスコアで測るようにしてみるといいでしょう。
お笑いの動画を見る
報酬タイムでお笑いの動画を見るのもオススメです。漫才の動画なら1つでちょうど5分~10分ぐらいで終わりますから、報酬タイムに最適です。
ある研究では10分間のコメディを見てから課題に取り組むと、生産性が14%高まったということが分かっています。休憩時間にぜひ取り入れてみましょう。
ステップ5.ルーティンを用意する
最後のポイントはルーティンを意識することです。
イチロー選手がバッターボックスに入るときのように、決まったルーティンをつくっておくと、集中するべきスイッチを覚え込ませることができます。
ルーティンは自分がやりやすいものなら何でもいいです。
- その場で背伸びをする
- ネクタイをギュッと締め直す
- 特定の服を羽織る
- 20分~30分ぐらいの運動をする
儀式を取り入れる
ルーティンのなかには一見意味がないような儀式も有効です。ある研究によると、試験前に指を10回鳴らすという儀式を行った生徒は認知テストの成績が向上したとか。
儀式に効果があるのは、反復動作によって脳に安心感を覚えさせることができるからです。
作業の前に特定の儀式を行う習慣をつけて定着させていきましょう。すると段々脳が「この儀式をやったということは勉強をする時間なんだな」と認識してくれ、集中モードに入りやすくなります。
読書に活かすフロー:集中力を底上げするルーティン
例えば、外で20分ぐらい歩く→新しい本を買う→ワクワク感を味わう(強い感情)→5分間瞑想する(リラックス)→指を10回鳴らす(儀式)→タイマーを押してとりかかる(時間制限と具体的な目標)→スコアを評価する(報酬)
とか。
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