お金を貯める、勉強をする、ダイエットを続けるなど様々な目標を達成するために必要なのは我慢する能力です。
しかし、あるものが不足すると我慢する能力が発揮できない場合があります。
タンパク質不足が我慢強さを奪う!?
不足すると我慢が効かなくなるものとは、セロトニンです。
セロトニンは安らぎホルモンと呼ばれ、メンタルの安定に関わるホルモンです。実はセロトニンは我慢強さを働かせることにも一役買っているとのこと。
セロトニンはトリプトファンという物質からつくられます。トリプトファンは大豆・卵・バナナ・牛乳・肉類などのタンパク質に含まれています。
ですので不規則な食生活によってタンパク質が不足するとセロトニンがつくれなくなり、忍耐力が失われてしまうのです。
実際にセロトニンの不足と我慢強さについて研究した実験を見てみましょう。
- 被験者には前日からタンパク質をとらないでもらい、脳内のセロトニン濃度が低下している状態をつくる
- 双曲割引を測るゲーム(少ない報酬を今すぐもらえるか、少し我慢したら大きい報酬をもらえるかを選ぶゲーム)に取り組んでもらう
- その際、被験者を3つのグループに分ける
- ①課題に取り組む前にトリプトファンをたくさん摂取してもらう
- ②トリプトファンを適度に摂取してもらう
- ③トリプトファンをまったく摂取しない
- 結果、①と②のグループに比べ、③のグループは双曲割引率が高かった(=我慢強さが失われていた)
※双曲割引とは未来の報酬を現在もらえる報酬の価値よりも低く見積もることです。双曲割引をするということは、現在もらえる少ない報酬を重視するということを示します。
- 双曲割引をする:我慢したらもらえる大きい報酬よりも、今すぐもらえる少ない報酬をもらう
- 双曲割引をしない:今すぐもらえる少ない報酬よりも、我慢したらもらえる大きい報酬をもらう
トリプトファンが不足していると、双曲割引が高くなる(=我慢強さがなくなる)ということを示しています。
トリプトファンの過剰摂取は逆効果?
また、もうひとつのポイントはトリプトファンを過剰に摂取してもめちゃくちゃ我慢強くなるわけではないということです。
逆にトリプトファンの過剰摂取は、今すぐ行動すべきときにも行動を抑制してしまう危険性があります。
双曲割引の課題をしているときにfMRIを使って脳の中を調べる実験も行われているようです。
- トリプトファンが不足している被験者の脳を見てみると、線条体の下の方(辺縁系の近く)が強く活性化するとか。線条体の下の方は今すぐもらえる報酬に反応する領域です。
- トリプトファンが過剰にある場合は、線条体の上の方(前頭前野の近く)のみしか活性化しません。線条体の上の方は未来の大きい報酬を司る領域です。
- トリプトファンが適度に足りている場合は、線条体が全体的に活性化します。状況に応じて「今すぐ得るべきか」「未来まで我慢するべきか」を判断できるというわけです。
ですのであくまでもタンパク質は不足しないように摂るのがポイントです。
【今日のクエスト】大豆・卵・バナナ・牛乳・肉類などのタンパク質を食べよう
【獲得経験値】
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