パンデミック中に病む外向型、生き生きして生存率まで上がる内向型

外向性を活かす・見抜く

今回は内向的な性格で悩んでいる人に向けた内容です。

  • 「静かに生きることって悪いことなんだろうか」とふと考え込んでしまう。
  • 大人数の集まりや長時間の会話のあと、ぐったり疲れて「自分だけおかしいのかな」と感じる。
  • コロナ禍で人と会わなくても平気だった自分に驚き、同時に少し不安を感じた。

世間では「外向的な性格の方がいい」という風潮があります。しかし、外向的であることはいいことばかりではありません。実は新型コロナウイルスによるパンデミック中は外向性が高い人ほど死亡率が高くなったと言われています。

 

外向性が高い人はパンデミックで死亡率が増加!

2023年にジョージタウン大学などの研究者たちが発表した論文によると、外向性が高い人は新型コロナウイルスのパンデミック中に死亡率が上がっていたようです。

In the midst of a pandemic, more introverted individuals may have a mortality advantage - PubMed
The slight mortality advantage enjoyed by more extroverted Americans prior to the pandemic disappeared during the first ...

 

内容

アメリカの中年期の男女6325人を対象(そのうち期間中に1767人が死亡)。性格(ビッグファイブ)と、新型コロナウイルスのパンデミックの間の死亡率の関係性について調べた。

 

結果
  • パンデミック前は、外向性が高いほど死亡率がやや低い傾向があった。
    • 具体的には、パンデミック前では、平均的な外向性を持つ人と比べると非常に外向性が高い人は死亡率は10%低かった。非常に内向的な人では死亡率が12%高かった。
  • しかし、パンデミック中には外向性が高いほどパンデミックに関連する過死亡が増加する傾向があった
    • つまり、内向的な人と比べて非常に外向的な人はパンデミック中の死亡率が上がった。
    • パンデミック中では、平均的な外向性の人と比較して非常に外向的な人は死亡率が高く、非常に内向的な人では死亡率が低くなっていた
  • パンデミックの前後で比較すると、非常に外向的な人は生存する確率が9%低下し、非常に内向的な人では15%上昇していた。

 

考察

つまり、外向性が低い人の方がパンデミック中は死亡リスクが下がっていたのです

理由は、内向的な人が感染リスクをうまく回避していたからだと考えられます。確かに、内向的な人は社会的な交流が減少してもあまり気にならず、ストレスを感じにくいでしょう。ストレスが増えないので、薬物やアルコール乱用などによるストレス解消法にも手を出しにくいと言えます。

 

面白いのは、普段の状況であれば外向的な人の方がやや死亡率が低いという点です。これは、外向的な人が人との交流や社会的な場面で活力を得る性質があるからだと考えられます。

  • 人との交流が避けられない環境(普段)では、内向的な人にはストレスや気疲れの原因が多くなります。
  • しかし、逆に人の交流が制限された環境(パンデミック中)では、外向的な人は気がめいってしまい、精神的なストレスが増えてしまったと言えるでしょう。

実際に、別の研究でも外向性が高い人ほどパンデミック中の孤独感の増加が大きく、メンタルヘルスの悪化も激しかったという結果が出ています。

 

内向的な遺伝子の真価はパンデミック中に発揮される?

性格は遺伝子によってある程度決まると言われています。もちろん環境によって変化しますが、もともと生まれつき影響しているものを完全に変えることは難しいでしょう。

では、社会では不利とされる内向的な遺伝子がなぜ生き残ってきたのでしょうか。それは、感染症が蔓延したときに人類の存続を支えるため、と考えると面白いです。

 

原始の世界においても、人とのコミュニケーションは人間の大きな武器でした。では、人との交流で疲弊してしまう内向的な人は淘汰され、外向的な人のみが生き残った方が種の保存という観点では有利だったと言えそうです。しかし、もしも外向的な人の遺伝子だけが残ってしまえば、感染症の蔓延によって人間は大打撃を受けてしまいます。適度に内向的な遺伝子を残しておくことが種の保存に役立ったと考えると面白いです。

 

ですから、内向的な性格に悩むのではなく、「社会にとって必要だからこの性格が淘汰されずに残ってきたのだ」と考えてみましょう。

実際に、他のマイナスに見える性格に関してもメリットがあるから生き残ってきたのです。

  • 例えば協調性が低く利己的な人は周りから煙たがられます。
    • しかし、競争が激しく個人主義が重視される環境ではむしろ協調性が低い人の方が成功しやすいでしょう。
  • 勤勉性が低い人も同様です。計画的でなく衝動的に行動してしまう人は損をすることも多いです。
    • 一方で、原始の世界においては計画通りに動くことが逆にチャンスを逃してしまう場面もありました。
    • 例えば、「今日は山菜や木の実の採集に出かけよう」と計画したとします。
    • しかし、採集をしていると目の前に手負いの野生動物が通過します。確実に獲物として捉えられるチャンスですから、持っている山菜を投げ捨ててでも武器をもって狩猟するべきでしょう。
    • そんなとき、勤勉性が高すぎる人では「今日は山菜採りに出かけたのだから、計画にないことはするまい」と躊躇して獲物を逃がしてしまうかもしれません。

このように、世間ではマイナスに見られる性格も必ず存在意義があります。内向的な性格の真価はパンデミック中にまさに発揮されたと言えるでしょう。

 

「大人数の集まりに疲れてしまう」「一人で静かに家の中で過ごすのが好き」といった特徴は何もおかしなことではありません。生まれ持った内向的な性格を受け入れ、ひとりの時間や静かな時間を楽しむと良いでしょう。

 

まとめ

  • 外向的な人は普段は死亡率が低いが、パンデミック中は逆に死亡率が高かった。
  • 内向的な人は感染リスクを避ける行動をとり、ストレスや孤独に強く生存率が高まったとされる。
  • 内向性も社会に必要な性質であり、淘汰されずに残った進化的な意義がある。

パンデミックという極限状況が、内向的な性格の強みを浮き彫りにしました。
「静かに過ごす」「一人を楽しむ」といった性質は、社会の多様性を支える大切な資質です。自分の内向性を否定せず、それを人類の生存に貢献した静かな才能として捉えてみましょう。

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