今回はやろうと思っているのに先延ばししてしまう人に向けた内容です。
- 「教養的な映画を観たい」とは思っていても、つい娯楽的な映画の方を選んでしまう。
- 「今日は本を読もう」と決めていたのに、結局YouTubeや漫画で時間が溶けて終わる。
- 休日に「有意義に過ごそう」と思っていたのに、終わってみると何も残っていない。
実は、その日にやりたいことをその日に決めるより、数日分を計画しておいた方がうまくいきます。
「今日は何を観よう」ではなく、「3日で何を観よう」と考える
1999年のリーズ大学ビジネススクールなどの研究者たちが発表した論文によると、一度に選択をした方が長期的な利益を考慮した選択ができることが示されています。
具体的にこの研究では、被験者が映画を選ぶときに、教養的な映画と娯楽的な映画のどちらを選ぶかをテーマにしました。すると、
- 1日1本映画を選ぶ場合、3日間とも娯楽的な映画を選びがちでした。
- 対して、初めの1日に3日分の映画を選ぶ場合、教養的な映画を選びやすかったのです。
※論文に載っている実験のうち、実験①を解説しています。
内容
インターネット広告や大学の掲示板広告を通して集められた77人を対象。教養的な映画と娯楽的な映画が混ざった24本の映画のリストが提示された。
- 娯楽的な映画:主に興行収入の大きいヒット作。人気スターが出演している作品。アクションコメディロマンスなどが中心
- 教養的な映画:あまり有名でない俳優が出演することが多い。字幕映画で、一般的には人気がそれほど高くないが知的に挑戦的な内容。
被験者には観たい映画を全部で3作品選んでもらった。その際、被験者をランダムに2つのグループに分けて比較。
- その日ごとに選択するグループ:その日ごとに見る映画を1つ選んでもらう。
- 初日に一気に選択するグループ:1日目に3日分の映画を選んでもらう。
結果
- その日ごとに選んだグループは、3日とも娯楽的な映画を選ぶ傾向が見られた。
- 初日に同時に選んだグループは、教養的な映画が選ぶ傾向があった。
- 具体的には、日ごとの選択では平均で43%が教養的な映画を選んだ。同時の選択では平均で59%が教養的な映画を選んだ(約1.4倍)。
- また、どちらのグループでも1日目に教養的な映画を選ぶ割合は変わらなかった。
- 日ごとの選択では42%、同時の選択では44%だった。
- →1日目はどちらのグループもその日に見る映画を選ぶため、娯楽的なものを選びやすいといえます。
- 3日目では、大きく割合が変化し、日ごとの選択では44%、同時の選択では71%が教養的な映画を選んだ。
- →未来のことについて考えるときには、より教養的なものを選びやすいと言えます。
考察
研究のポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
- 将来見る映画を選ぶときほど人は教養的な映画を選びやすい。つまり、将来について考えたときほど、より長期的なメリットを重視した選択をしやすい。
- 1日ごとに映画を選ぶ場合、娯楽→娯楽→娯楽というパターンで選ばれやすい。
- 初日に3日分の映画を選ぶ場合、娯楽→教養→教養というパターンで選ばれやすい。
教養的な作品を見ようとしているのに娯楽的な作品に走ってしまうことは誰しもが経験することでしょう。
- 娯楽的な作品は見ていて楽しいですが、すぐに忘れてしまい、人生の役にはあまり立たないことが多いです。
- それに対して、教養的な作品は観ていて楽しいとは限りませんが、観た後も記憶に残り、後から考えさせられることも多いです。
しかし、多くの人は教養的な作品を見ようとしません。「これ観たいな」と口では言いつつも、「また今度にしよう…」と先送りにしてしまうことが多いのではないでしょうか。その理由は、教養的で観た方が良さそうな映画は、今この瞬間に観たい映画ではないからです。
楽しいだけの娯楽に流されてしまうのは、映画以外でも起こり得ます。
やりたいと思っていた重要なことがあるのに、つい娯楽に流されてしまう人は計画の立て方を工夫してみましょう。その日に「何をやろうか?」と考えるのではなく、数日分の計画を事前に立てることが重要です。
【実践】週の初めに計画を立てて、やりたいことを実践しよう!
ステップ1:自分がやりたいことをピックアップしよう
誰しも、「これをやれば人生が豊かになりそうだな」と考えているものがあるでしょう。それをピックアップしてみましょう。
例:
- 気になっていた小説を読む
- 少しハードルが高そうな映画を観る
- 教養として身につけたい分野の読書をする
ステップ2:事前にコンテンツを選択しよう
週の初めに、自分の時間の作り方とどのコンテンツを楽しむかを決めておきましょう。
例:週の初めのルーティン(日曜日の夜など)
- 楽しみたい作品をあらかじめリストアップ
- 趣味を楽しむ日を設定(金曜の夜、土曜の夜、日曜の昼など)
- 具体的な作品を割り振る
例:小説を読みたい人なら…
- 金曜日(夜):「コンビニ人間」を読む
- 土曜日(夜):「こころ」を読む
- 日曜日(昼):「ノルウェイの森」を読む
また、すべてが教養的なものでなくてもOKです。趣味を楽しむ日を3日決めたならそのうちの1日は娯楽要素の強いものなどと決めておいてもいいでしょう。
ステップ3:少しだけ行動を起こそう
計画する段階で楽しみたい具体的なコンテンツまで決まったら、早速行動をしましょう。その日を迎えたときに、自分がやらざるを得ない状況をつくるのがポイントです。
例:
- 映画なら→決めた映画のチケットを事前に買っておく。
- 小説なら→早速Amazonで注文して1日目の作品の冒頭を少しだけ読む。
- 読書なら→「前に言ってたビジネス書、◯曜日に読むつもりだから、読んだら感想送るね」と友だちにメッセージを送る。
おすすめの習慣プラン
- 別の娯楽に逃げたくなったら→
- 先に決めたコンテンツを5分だけ観る(読む)
- 予定の時間になったら→
- 内容を考えず、事前に決めたものをそのまま実行する
まとめ
- 人はその場で選ぶと、短期的に楽な娯楽に流れやすい。
- 事前にまとめて選ぶと、教養的で長期的に価値のある選択をしやすくなる。
- 先に決めて、さらにやらざるを得ない状況を作ることで実行率が上がる。
人は意志が弱いから先延ばしするのではなく、その場で判断してしまう構造に問題があります。あらかじめ数日分の行動を決めておくだけで、自然と長期的に良い選択ができるようになるでしょう。

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