カワイイ子猫や子犬などの画像や動画を見始めると、時間を忘れてしまうぐらい癒されますよね。実は赤ちゃんはカワイイだけでなく、人間の注意力を高めてくれる効果があるかもしれません。
カワイイ画像を見ると集中力が15.7%向上する!?
2012年に発表された広島大学の研究によると、 カワイイ写真を見ると注意力が向上することが示されています。ちなみに論文のタイトルは「The Power of Kawaii(カワイイの力)」というユニークなものになっています。
- 被験者:平均19.0歳の大学生48人
- 内容:カワイイ画像を見ることによって、注意力が必要な課題のパフォーマンスが向上するかどうかを試した
※研究に含まれる三つの実験のうち、一つをピックアップしています
方法
被験者には、数列の中から特定の数字を見つける課題に取り組んでもらった。数字を見つける課題とは、4×10列にランダムに配置された40個の数字の中から、特定の数字が何個含まれているかを答える課題。目で見て何かを発見する注意力が必要とされる。
課題は2回に分けて実践され、その間に休憩を取ってもらった。休憩を取る際に、「別の実験で使用する画像の選定を手伝ってもらう」という口実で、 18×25cm(B5サイズぐらい)のカラー写真を見てもらった。その際、被験者を三つのグループに分けて比較。
- 課題の間の4分程度、子犬や子猫のカワイイ画像を見るグループ
- 課題の間の4分程度、成犬や成猫の画像を見るグループ
- 課題の間の4分程度、ステーキ・パスタ・お寿司など美味しそうな画像を見るグループ(対照群)
実験終了時、休憩中に見た画像を再び見て、「かわいさ・幼さ・快適さ」といった評価項目で画像を評価してもらった。
結果
画像評価の結果は以下の通り。
- グループ1が見た幼い動物の画像は、グループ2が見た大人の動物の画像よりもカワイイと評価された。
- なお、女性の被験者は動物の画像に対して男性よりもカワイイと評価する傾向が高かった。
数列の課題の結果は以下の通り。
- 幼い動物の画像を見たグループ1は、画像を見た後の課題でパフォーマンスが向上した。具体的には1回目の実施よりも2回目の実施では平均15.7%パフォーマンスが向上した。
- 大人の動物の画像を見たグループ2と、食べ物の画像を見たグループ3では画像を見た後でもパフォーマンスは向上しなかった。
- なお、かわいさと幼さの評価が高い人ほど、パフォーマンスの向上率も高かった。
考察
実験結果を簡単にまとめると以下の通りになります。
- カワイイ画像を見ると全ての中から特定の数字を見つける課題のパフォーマンスが向上した
- 食べ物の画像ではパフォーマンス向上の効果は見られなかったから、単にポジティブな感情が注意力を上げているわけではない
つまり、カワイイ画像を見ることで注意力が促進されて、細かい対象への認識力が高まったのです。まさにパワー・オブ・カワイイが発揮されたと言っていいでしょう。加えて、この研究に含まれる別の実験では手先の器用さを必要とする課題でもパフォーマンスが高まっています。ただ、反応時間を計測する課題においてはパフォーマンスが向上していないため、あくまでも細かい注意力が高まる効果があるにすぎないのでしょう。
研究チームの考察によると、カワイイ画像を見ると集中力が高まることによって細かな対象に気づきやすくなるのではと考えられています。人間の本能として、赤ちゃんの面倒をみるときには、周囲の環境や赤ちゃんの体調の変化などの細かいことに注意を払わなければならないからかもしれません。ただし、注意が狭まることによって逆に広い注意力が必要な課題にはネガティブに働く可能性があると示されています。
少なくとも、手先を使う細かい作業や間違いを発見する作業に対しては効果的と言えそうです。
【実践】4分間カワイイ画像を閲覧して集中力を高めよう!
ステップ1:注意力が必要になりそうな課題をピックアップしてみよう
精密な注意力が求められる課題や手先を使う課題をピックアップしてみましょう。
例:
- 勉強をする
- 絵を描く
- 外科手術の練習をする
ステップ2:インターネットでカワイイ画像を探してみよう
研究で用いられた画像は特別なものではなく、著作権フリーのインターネット画像なども含まれていました。見た枚数は七枚時間にして4分程度です。作業の合間に、インターネットでカワイイ画像を検索して何枚か眺めて癒やされてみるといいでしょう。
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注意点:
- ただし、カワイイ画像は細かい対象への注意力が上がるものの、広く注意力を向ける必要のある課題には不利に働くかもしれません。
- インターネットの画像に限らず、子犬や子猫の動画や写真集なども効果がありそうです。ただし動画の閲覧に夢中になって時間を浪費しないように気をつけてください。
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