- わざわざ声を荒らげることなく、子どものわがままを上手くコントロールできる
- 子どもに舐められるのでは?という不安を解消して、堂々と怒らない子育てを実践できる
- 年齢ごとに、子どもがきちんと理解してくれる叱り方が分かる
- 好奇心に任せて、ものを倒したり投げたりする
- お友達とおもちゃの取り合いでもめる
- 何を言っても「イヤイヤ!」と反抗する
小学生に上がる前の子どもは、言葉が発達してくるもののまだまだ精神が未熟で親をヒヤッとさせることも多いです。子どもの行動についてきちんとしつけなければならないと思いつつも、子どもを叱りつけるのが苦手という人は多いでしょう。そこで今回は感情的に怒らない子どものしつけについて提案します。
「しつけ」は子どもが社会で幸せに生きるためのギフト
しつけをするのは、子どもが学生、社会人と成長して行く上で、幸せに生きていくための習慣をつけさせるのが目的です。例えば、しつけをすることで子どもには以下のようなスキルを身につけさせることを目指します。
- 着替え・手洗い・睡眠といった生活習慣
- やりたいことを我慢してやらなければならないことに取り組む
- ほかの人の気持ちに共感する
- 社会のルールを守ることができる
- 危ないことに対して正しく危機察知することができる
まず、しつけをする上で基準を持っておきパートナーと共有しておくのが良いでしょう。例えば、「他人に迷惑をかけるようなことをしたらきちんと叱ろうね」といった基準です。この基準に従えば、スーパーなどのほかの人がいるような場所で走り回っていれば、叱る必要があります。ただ、外で走りまわっている時に「走ったら危ないでしょ!」とわざわざ叱る必要もないでしょう。
叱る基準を明確に持っておくことによって、無駄に疲れず子どもをしつけていくことができます。
「怒る」のではなく「叱る」しつけをしよう
今回実践してもらうのは感情的に怒らない子育てであって、「叱らない子育て」ではありません。ダメなことや危ないことをした時にはきちんと叱ることが重要です。まずは、「怒る」と「叱る」の違いを押さえておきましょう。
- 怒る:感情的になる。罰を与える。恐怖によって子どもをコントロールする
- 叱る:理性的に話をする。何がいけなかったのかを理解させる
「怒るのではなく叱る」を意識することによって、声を荒らげることなくストレスフリーで効果的なしつけをすることができます。
「怒るしつけ」がダメな理由
理由①力を使った問題解決が正当化される
怒るしつけは、「圧力をかけることによって問題を解決することができる」と子どもにメッセージを送るようなものです。なぜなら、怒って言うことを聞かせるのは「なぜダメなのか」を理解させないまま、恐怖によって子どもをコントロールすることだからです。
実際に、子どもがお友達とのトラブルに巻き込まれた時にも、怒鳴ったり暴力を振るったりして相手をコントロールする解決方法を取り入れてしまいかねません。
理由②反省を促すことができない
怒るしつけでは子供に適切な反省を促すことができません。なぜなら、「いかに怒られないようにするか」を考えてしまうからです。なぜダメなのかを理解せず、「怒られなければ問題ない」と考えてしまいます。
よく「怒らない子育てなんてしていたら、子どもに舐められて余計に言うことを聞かなくなってしまう」という意見も聞きます。確かに「お母さんは怖い」と思われていた方が、子どもは従順に聞いてくれるかもしれません。しかし、「怖いから言うことを聞こう」という考え方では意味がないのです。
仮に「叱るしつけ」を適切に実践して、子どもが言うことを聞かなかったとしましょう。そんなときこそ、子どもが分かるまで根気強く叱っていく覚悟を持たなければいけません。短期的に解決しようとして、怒って言うことを聞かせるのは、子どもにきちんと理解させることから逃げているだけとも言えるのです。
親が怒らないでいると、「甘やかして育てている」という周囲の目があるかもしれません。それでも、しつけの目的は子どもにダメなことをきちんと理解させることだと思い出して、堂々と適切な叱り方を実践しましょう。
理由③余計に好奇心を煽ってしまう
怒るしつけがダメな最後の理由は、怒ることが子どもの行動を矯正する上で有効でないからです。
ミネソタ大学のアロンソンとハーバード大学のカールスミスたちの研究によると、子どもに対して厳しく禁止した方が逆に好奇心が増すことが示されています。
- 被験者:幼稚園児22人
- 内容:園児たちに対して、好きなおもちゃを厳しく禁止することで、そのおもちゃに対しての魅力度が逆に上がってしまうのではないかを調べた
介入
園児たちにいくつかのおもちゃで遊んでもらう。その後、おもちゃを好きな順に並べてもらった。その際、二番目に並べた好きなおもちゃを指して、実験者が「私が部屋の外で用事をしている間は、このおもちゃでは遊んじゃいけない」と伝えて退席した。なお、退席した時間は十分間。その際、園児たちへの指示の仕方を2つのパターンを二つに分けて比較。
- 「もし、そのおもちゃで遊んだら怒るし、おもちゃを私が全部持って帰って二度と遊ばせない」と厳しく伝えた
- 「このおもちゃで遊んだら困ってしまうからやめてね」と穏やかに伝えた
10分の間退席した後、園児たちにもう一度おもちゃを好きな順に並べてもらった。
結果
- 厳しく伝えた場合は、二番目に並べたおもちゃが一位に浮上する傾向が見られた
- 穏やかに伝えた場合では、順位は下がるもしくは同じ順位に留まる傾向が見られた
要約・考察
つまり、厳しく禁止するほどおもちゃの魅力度が上がってしまったということです。理由としては、「遊びたいけど遊べない」という気持ちが強くなることで、おもちゃに対する魅力が増してしまうからだと考えられます。これは1種の「カリギュラ効果」です。
カリギュラ効果とは、禁止されるとその行為をやってみたくなる心理です。例えば、モザイクがかかっていると内容が気になったり、「立ち入り禁止」と書かれていると何があるのかが気になったりしますよね。
ですから、子どもに対して何かを厳しく禁止するほど好奇心を煽ってしまい、やめさせることが難しくなってしまいます。声を荒らげて怒鳴るやり方は、親が疲れるだけでしつけとしては逆効果なのです。
【実践】「叱る子育て」で子どもの理解を促そう
ここからは、怒らずに叱るしつけの実践編です。具体的には以下のポイントに気をつけて、しつけを実践して行きましょう。
「しなさい!」ではなく「しようね」と穏やかに伝える
「しなさい!」ではなく「しようね」と語尾を変えてみることが有効です。つまり、やってはいけないことを言うのではなく、やってほしいことを伝えるのです。
例:
やめさせたいことを禁止するのではなく、代わりにやらせたいことをあえて遠ざける
代わりにやらせたいことをあえて遠ざけて魅力度を高めるテクニックも有効です。例えば、子どもがテレビの前に張り付いて視聴時間が増えているとします。テレビをさせる時間を減らしたいけど、そこで「テレビを見ては駄目!」と注意するのは逆効果。
そこで「いいよ、じゃあパパはこっちでブロック遊びするから」「じゃあ、お母さんだけでお散歩行くからいいよ」とほかの楽しみを独占してみるのです。すると、「チャンスを逃したくない」という心理が働き、テレビのから離れるようになるかもしれません。
例:ずっとテレビを見ている子どもに対して…
→「じゃあパパはこっちでブロック遊びしようっと」「お母さんたちだけでお散歩行くけどお留守番しておく?」(他の楽しいことを独占する)
ダメな理由を分かるように説明する
叱るときには「ダメ!」と言うだけでなく、なぜダメなのかという理由を添えることが重要です。また、説明する理由は子供がわかるものでなければ意味がありません。子どもの発達段階に応じて説明の仕方を工夫する必要があります。
一歳から二歳に対して→好奇心に対して共感してあげる
一歳から二歳は好奇心旺盛になってくる時期です。例えば、物を投げたり、食器を倒したり、人がいる場所でいきなり走りだしたり、危ないところをのぞき込んだり…などの行動が見られます。
叱るときのポイントは2つ。好奇心に共感してあげることと、目の前で起こったことについてのみ言及することです。
というのも、この時期は言葉が発達してきますが親が言うことを全て理解できるわけではないからです。「他の人がこう思うよね?」と伝えても、他人の立場に立って共感する能力はまだ発達しきっていないので、うまく伝わらない可能性があります。
「倒したらどうなるのか知りたかったんだよね。でも、お水がこぼれてしまうから食べるときはやめようね」
二歳から三歳に対して→親がお手本を見せる
二歳から三歳はイヤイヤ期に入る時期です。子どもは「こうしたい」という自分の考えが芽生えてくるものの、うまく言葉にできないことでかんしゃくを起こしやすくなります。例えば、友達と喧嘩になったり、親の言うことを聞かなくなったりするでしょう。
イヤイヤ期の子どもに対しては、親がお手本を見せることを意識してみましょう。お手本を見せてあげることによって、「どうすればいいかわからない」という気持ちを解消してあげることができるからです。親がお手本として振る舞うためには、我が家のルールを作ってみるのが有効です。家族全員が従うことによって、子どもは自然と真似をして適切な行動を取れるようになります。
「部屋や机の上はきれいな状態に保つ」「ご飯を食べるときには手を合わせていただきます」を言う
四歳以降→他の人の気持ちを想像させながら
四歳以降では人の気持ちや社会のルールを理解し始めます。なので、ほかの人の気持ちを想像させながら注意すると良いでしょう。ただし、言葉が長くなりすぎないように簡潔に伝えるようにしましょう。
→「せっかくおもちゃを貸してくれたのに『ありがとう』を言わなかったら、相手は悲しいよね」
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